自費の義歯の特徴・メリットデメリット・患者への説明のコツ(前編)

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歯科衛生士コラム

 自費の義歯には金属床義歯やノンクラスプデンチャー、テレスコープ義歯などさまざまな種類があります。歯科医院によって扱う種類は異なるゆえ、自費の義歯について理解しきれていない歯科衛生士も多いのではないでしょうか。そこで今回は自費の義歯について、前編と後編に分けて解説します。

自費の義歯には以下のような種類があります。

自費の義歯の種類

前編
1. 金属床義歯
2.ホワイトクラスプ義歯
3.ノンクラスプデンチャー

後編
4.テレスコープ義歯
5.磁性アタッチメント義歯
6.バーアタッチメントデンチャー
7.インプラントオーバーデンチャー

 ポイントは、まず勤務先の歯科医院が扱っている義歯の特徴と、メリット・デメリットを理解することです。今回は上記のうち金属床義歯ホワイトクラスプ義歯ノンクラスプデンチャーについて解説します。では早速見ていきましょう。

1.金属床義歯

義歯の床部分が金属でできているものを金属床義歯といいます。自費の義歯の中でもよく選択されるものです。

金属床義歯の素材

 金属床義歯の素材にはコバルトクロム合金、純チタン、金・プラチナの3種類が主に使用されています。患者さんにはそれぞれの特徴と違いを説明できるようにしておきましょう。以下の表は金属床義歯の特徴をまとめたものです。

  コバルトクロム合金 純チタン 金・プラチナ
軽さ
薄さ
強度
温度の伝わりやすさ
生体親和性 金属アレルギーを
起こすことがある
金属アレルギーの
リスクが少ない
金属アレルギーの
リスクが少ない
価格 高額 やや高額 非常に高額

 コバルトクロム合金を使った金属床義歯は、レジン床の約1/3の薄さで作製することができます。比較的費用が抑えられ、破損時にもレーザー溶接で修理が可能です。ただ重さがやや重く、金属アレルギー発症のリスクがあるのがデメリットです。

 純チタンを使った金属床義歯は、軽量にもかかわらず強度が高く、たわみにくいのが特徴です。また腐食しにくいため長期間安定して使うことができます。生体親和性が高く金属アレルギー発症のリスクが低いのもメリットといえるでしょう。

 金・プラチナを使った金属床義歯は弾性と強度を持ち併せており、金属床の中でも口腔内になじみやすいとされています。ただ金属床の中で最も重さがあり、費用の高額になるのがデメリットといえます。

金属床義歯のメリット

金属床義歯に共通するメリットは以下のとおりです。

・厚みが少ない
金属床義歯はレジンと比較すると厚みが少ないです。そのため違和感が少なく、会話もしやすいです。
・強度が高い
金属を使用しているため強度があり、破損や変形、たわみが少ないという特徴があります。
・熱伝導率が高い
熱伝導率が高いと料理の温度を感じられるため、食べ物の味をしっかり感じることができます。なお料理が美味しいと感じる温度は温かいもので60~65℃、冷たいもので0~10℃といわれています。
金属床義歯のデメリット

金属床義歯のデメリットは以下のとおりです。

・費用が高額
金属の種類によって費用が大きく異なりますが、金・プラチナを使用したものは非常に高価になります。
・修理が困難
破損した場合は、レジン床と異なり修理の困難になることがあります。
ホワイトクラスプ義歯

 金属床義歯の次は、ホワイトクラスプ義歯についてご紹介します。ホワイトクラスプ義歯はクラスプをアセタル樹脂で作製したものです。クラスプにおいても天然歯や歯肉と同じ色調を再現できるため、目立ちにくい部分床義歯を作製することができます。アセタル樹脂は柔軟性と強度を持ち併せており、曲げても元の形状に戻るという特徴があります。

ホワイトクラスプ義歯のメリット

ホワイトクラスプ義歯のメリットは以下のとおりです。

・身体に優しい
金属を使用していないため、金属アレルギーの心配がありません。
・既存義歯のクラスプを付け替えられる
義歯や口腔内状況にもよりますが、それまで使用していた部分床義歯のクラスプのみ、ホワイトクラスプに付け替えられることがあります。
・装着時の違和感が少ない
強度と柔軟性を持ち併せているため、装着時の違和感が少ないです。
・歯にダメージを与えにくい
噛む動きに合わせてたわむ性質があるため、固定源の歯に与えるダメージが少ないです。
ホワイトクラスプ義歯のデメリット

ホワイトクラスプ義歯のデメリットは以下のとおりです。

・クラスプの強度が弱い
金属のクラスプよりも強度が弱く破損しやすいです。そのためクラスプが太めに作られています。
ノンクラスプデンチャー

 次にノンクラスプデンチャーについてです。ノンクラスプデンチャーは審美性の高い部分床義歯で、クラスプが歯肉の色となじむピンク色の樹脂でできています。保険の部分床義歯と比較すると薄くて軽いため、装着感が良いです。

 ノンクラスプデンチャーに使用される素材はポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリアミドの4種類が主となっています。素材によって柔軟性が異なり、破損した場合ポリエステルであればチェアサイドでの修理ができます。ポリカーボネートも多少の破損であればチェアサイドでの修理が可能です。ただポリプロピレン、ポリアミドはチェアサイドでの修理が難しいです。

 以下の表はノンクラスプデンチャーに使用される素材と特徴、主な名称をまとめたものです。

素材 ポリエステル ポリカーボネート ポリプロピレン ポリアミド
主な名称 エステショット スマートデンチャー デュラフレックス バルプラスト・スマイルデンチ
特徴 ほかの素材と比較すると厚みがある。即重で修理が可能 適度な弾性を持ち合わせている。多少の破損は歯科医院で修理が可能 柔軟性と強度を持ち合わせているため破損しにくい 柔軟性が高いため破損しにくい

素材の名称と臨床で使用される名称をそれぞれ覚えておくと理解が深まります。

ノンクラスプデンチャーのメリット

ノンクラスプデンチャーのメリットは以下のとおりです。

・審美性に優れている
クラスプの部分が義歯床部分と同じ素材でできているため、装着中も目立ちにくいです。
・柔軟性がある
保険の義歯で使用する素材と異なり、柔軟性があるため装着感が向上します。
ノンクラスプデンチャーのデメリット

ノンクラスプデンチャーのデメリットは以下のとおりです。

・素材の寿命が短い
ノンクラスプデンチャーの素材は耐久性が低いため、寿命は3~4年といわれています。
・支持作用がない
支持作用がないため義歯が動きやすく、顎堤の異常吸収や固定源の歯が移動する可能性があります。
・補修が困難
素材によって異なりますが、破損した場合補修が困難になることがあります。

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浜崎 実穂

東京医科歯科大学卒業後、大学病院に歯科衛生士として勤務。大学の卒業研究では、日本歯科衛生学会の学生研究賞(ライオン歯科研究所賞)を受賞。2019年4月からフリーライターに転向し、自身で立ち上げた歯科メディアは売約を達成。現在は「歯科衛生士ライター」として活動し、歯科企業や歯科医院でライティング業務を行う。

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© Dentwave.com

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