日本歯科衛生士会の「認定資格」とは?分野A・B・Cの審査資格を解説
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歯科衛生士という仕事は、経験年数が上がっていけばいくほど知識や技術がのびていきます。しかし同じ10年目であっても、経験分野や学習量、努力量によって大きな差があるもの。今回はそんな中で使われる「認定資格」について詳しく解説します。
そもそも「認定資格」とは
歯科衛生士における「認定資格」とは、その分野において豊富な知識と高い技術を持っているという証明になるものです。例えば「◯◯専門の歯科医院に××年勤務していました」と言っても、勤務年数は誰でも得られるものであり、実際に知識や技術が豊富にあるかの基準にはなりません。しかし「◯◯の認定歯科衛生士です」と言うと、その分野において知識・技術が豊富であるということを証明することができます。認定資格は誰でも取れるわけではなく、一定の条件をクリアした上で審査に合格する必要があります。なお条件や審査の基準・難易度は、学会や認定資格の種類によって異なります。
【日本歯科衛生士会】歯科衛生士の認定資格は3つに分けられる
まずは日本歯科衛生士会の定める認定資格について解説します。日本歯科衛生士会の認定資格はいくつかありますが、以下のように大きく3つに分けられます。
認定分野A
認定分野Aには、以下のような認定資格があります。- 生活習慣病予防(特定保健指導)
- 糖尿病予防指導
- 摂食嚥下リハビリテーション
- 在宅療養指導・口腔機能管理
- 医科歯科連携・口腔機能管理
- 歯科医療安全管理
<認定分野A全体の流れ>
▼
①日本歯科衛生士会の研修を受講▼
②30単位以上取得▼
③その他の条件をクリア▼
④認定分野Aの資格を得るための研修を受講・修了▼
⑤認定分野Aの審査▼
⑥審査を通過すれば認定資格を得られるなお日本歯科衛生士会の研修制度は4コースあり、例えば「1コースだけで30単位取得」ということはできません。
1コースあたり上限は15単位と定められており、2コース以上組み合わせて30単位以上取得することが条件となっています。
また③その他の条件は以下の通りです。
- 歯科衛生士としての実務経験が3年以上あり、認定を受けたい分野での業務経験が1年以上あること
- 認定を受けたい分野の専任教員として、学生教育を行なった経験が1年以上あること
- 歯科衛生士の賠償責任保険に加入していること
これらを見ると「認定資格の取得どころか、その審査資格を得るのも不可能なのでは・・・」と感じるかもしれませんね。お気付きの通り歯科衛生士の認定資格は、その機会やチャンスを待っていてもなかなか巡り会えるものではありません。認定資格を取りたいと思ったら、まずは上司や先輩に直接相談しましょう。上記のような条件をクリアするためのサポートを受けられる可能性があります。なお学生教育の経験ができる歯科医院は限られており、どの勤務先でもできる経験ではありません。場合によっては他の歯科医院や大学病院など、教育制度の整った職場への転職を視野に入れる必要があります。
認定分野B
認定分野Bには、以下のような認定資格があります。- 障害者歯科
- 老年歯科
- う蝕予防管理
- 障害者歯科:一般社団法人 日本障害者歯科学会
- 老年歯科:一般社団法人 日本老年歯科医学会
- う蝕予防管理:特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
- 地域歯科保健:一般社団法人 日本口腔衛生学会
- 口腔保健管理:一般社団法人 日本口腔衛生学会
まずは上記の学会にて審査を受けます。承認されると日本歯科衛生士会への推薦を受けることができ、これにより日本歯科衛生士会における審査に臨むことができます。こちらでも承認されると、認定資格が得られます。
認定分野C
認定分野Cには、以下のような認定資格があります。- 研修指導者・臨床実地指導者
認定分野Cは、認定分野A・Bと違って指導者としての認定資格です。そのため認定分野AあるいはBの認定資格を持った上で、「研修指導者講習会」を修了している必要があります。
<認定分野C全体の流れ>
▼
①認定分野AあるいはBの認定資格を取得▼
②上記の条件をクリア▼
③研修指導者講習会を受講・修了▼
④認定分野Cの審査▼
⑤審査を通過すれば認定資格を得られるなお「研修指導者講習会」は、希望すれば誰でも受けられるというものではありません。この講習会を受講するには、以下の4つのうちいずれかに当てはまる必要があります。
- 都道府県歯科衛生士会などにおいて研修事業の企画あるいは運営を行なっていること
- 歯科衛生士学校の専任教員あるいは実習指導員であること
- 臨床実習施設の指導教員であること
- 臨地実習施設において実習生の指導を行なっていること
認定分野Cでは、原則として都道府県歯科衛生士会長あるいは所属長などの推薦が必要となります。指導者としての業務を日頃から行なっており、かつその行いが認められた歯科衛生士のみ審査を受けられるということですね。なおこれらの条件がそろっていても、必ず審査を通過するとは限りません。
認定分野A・B・Cいずれにおいても、毎日の業務をこなしているだけでは取得の難しいことがわかりましたね。日本歯科衛生士会の認定資格を得るには、あらかじめ上司や先輩に相談しておきましょう。日々の業務と認定取得のための業務を組み合わせるなど、逆算して業務を進める必要があるからです。
なお認定取得のための転職を考えている場合は、「◯◯認定歯科衛生士在籍」「◯◯認定歯科衛生士取得歴あり」などと書かれた歯科医院を選びましょう。認定資格をすでに持っている先輩がいれば、より的確なサポートを受けられます。
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浜崎 実穂
東京医科歯科大学卒業後、大学病院に歯科衛生士として勤務。大学の卒業研究では、日本歯科衛生学会の学生研究賞(ライオン歯科研究所賞)を受賞。2019年4月からフリーライターに転向し、自身で立ち上げた歯科メディアは売約を達成。現在は「歯科衛生士ライター」として活動し、歯科企業や歯科医院でライティング業務を行う。
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