臨床以外にもある? 歯科衛生士のいろんな働き方
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歯科衛生士は個人の開業歯科医院やクリニックで働く人がほとんど。しかしそれ以外にも大学病院や保健所などで働く歯科衛生士もいます。またフリーランス歯科衛生士として複数の歯科医院で働いたり、歯科衛生士という資格を活かして医療現場以外で働いたりする歯科衛生士もいます。今回はそういった歯科衛生士のさまざまな働き方をご紹介します。
1.クリニックで働く
2.大学病院・総合病院で働く
3.保健所で働く
4.企業で働く
5.フリーランスとして働く
6.全く関係の無い職種で資格を活かして働く
日本歯科衛生士会の報告によると、働く歯科衛生士のうち9割を超える人が診療所・クリニックに勤務しているとされています。歯科医院はコンビニの数より多いと言われますが、歯科医院によって特徴や診療科、得意としている分野は異なります。これらに加えて院内やスタッフの雰囲気も大きく異なりますが、共通して言えるのは基本的に規模が小さいということです。ユニット数の多いクリニックもありますが、多くはユニットが3〜4台ほど。そのため1クリニックあたりの平均歯科衛生士数は2人未満と少ないです。
歯科衛生士の数が少ないと、スタッフ同士が仲良くなりやすく業務もスムーズにいきやすいです。しかし逆に閉塞感や働きづらさを感じる歯科衛生士もいます。院長との距離が近く働き方など相談しやすいこともあれば、逆にスタッフが少ないことで休みを取りづらいなんてこともあります。
働く歯科衛生士のうち1割未満が診療所・クリニック以外で働いており、その中で半数近くが病院に勤務しているとされています。医科の病院に入っている口腔外科や歯科専門の大学病院などがありますが、大学病院や総合病院には個人の歯科医院で治療が難しいとされた患者さんが来院し看護師や医師など他職種と共に働くことも多いです。
大学病院などの大きな病院は、クリニックに比べて圧倒的にスタッフ数が多いです。歯科衛生士の数は少なくても、クリニックのように閉塞感を感じることはほとんど無いでしょう。院長と関わる機会が全く無いことも多く、クリニックに比べると柔軟な働き方はできないかもしれません。ただその分待遇が充実していることも多いです。
保健所で働く歯科衛生士は全体のわずか0.5%ほど。主な業務は地域住民の歯科検診や予防処置、健康教育などです。求人の枠もかなり限られており、毎年募集があるとは限りません。退職者が出たときに募集されることが多く、クリニックなどで臨床経験を積みながら求人が出るのを待つという人も多くいます。
保健所で歯科衛生士として働くと、地域住民の方のライフステージに応じて関わることができます。例えば妊娠中の健康教育、母親学級、赤ちゃんや子どもの歯科健診事業、フッ素塗布、高齢者への歯科健診事業などが挙げられます。高齢者の事業では健口体操や摂食・嚥下、誤嚥性肺炎の予防などに関わることも多く、大きな病院と同様看護師や保健師など他職種と連携する機会もしばしばあります。
なお患者さんをたくさん診て歯科診療補助をバリバリ行いたい、という方は向いていないかもしれません。クリニックに勤務した方が良いでしょう。
企業内に併設された歯科医院に勤める歯科衛生士であれば、患者はその企業に勤める社員です。クリニックのように勤務は10時からということは少なく、企業に合わせて9時開始であることが多いでしょう。患者が企業の社員であるため、休日も土日祝日であることがほとんどです。
他にも企業で働く歯科衛生士には、歯科の知識を活かして営業職などとして働くパターンもあります。営業職以外にも商品開発や企画担当などとして働くこともあり、臨床現場のように口腔内処置をしたり歯科保健指導をしたりといった患者と直接関わる機会はほとんど無くなります。
特定の歯科医院や団体に属さずに働くフリーランス歯科衛生士もいます。歯科医院と個人で業務委託契約を結び、曜日によって異なる職場へ赴くような働き方です。非常勤の歯科医師をイメージするとわかりやすいかもしれません。
特定の職場が無いため、人間関係で悩みやすい方には向いているかもしれません。ただ歯科医院と個人で契約するということは、それだけの技量やコミュニケーション能力が求められるということ。その代わり給料も高くなりやすく、逆に新卒でフリーランス歯科衛生士になるのは難しいでしょう。
企業の一般職でもなくフリーランス歯科衛生士でもなく、医療現場とは全く関係の無い職種で働く歯科衛生士もいます。例えば歯科衛生士という知識・経験を活かしたライターやデザイナー、コンサルタントとして活動する歯科衛生士などがその例です。実は私もそのうちの1人で、歯科衛生士としての経験を活かしながらライターとして活動しています。 フリーランスの歯科衛生士と同様、歯科医院や企業と個人契約を結ぶため、一定の技量やコミュニケーション能力が求められます。ただこれは歯科に関する技量ではなく、その働き方で一定の経験があれば認められることもあります。ライターやデザイナーなどとして活動するために学校へ通う人もいれば、独学で経験を積んでなる人もいます。無論歯科衛生士学校でITなどに関する知識を学ぶことはできないため、経験を積みながら新しい知識や技術を常に取り入れていく必要があります。これは歯科衛生士として臨床現場で経験を積んでいくときと同じですね。
なお全く関係の無い職種であっても、歯科衛生士であることを伝えれば「歯科について詳しく知識と経験がある」ということを証明できます。しかし中には、歯科と全く関係の無い職種である上歯科衛生士という資格も活かさずに働く人もいます。その場合全くのゼロからのスタートになるため、勉強と努力がさらに必要になるでしょう。
いずれにせよ歯科衛生士の働き方は臨床現場だけではありません。歯科衛生士としてクリニックなどに就職すれば、安定して働き給料を受け取ることができます。しかし働きながらそもそも自分が歯科衛生士に向いているのか、疑問に感じる人もいるでしょう。ブランクができてしまうものの、歯科衛生士という資格は一度取得すれば一生有効なもの。さまざまな働き方を見たり経験したりしながら、自分にもっとも合った働き方を見つけられると良いですね。
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東京医科歯科大学卒業後、大学病院に歯科衛生士として勤務。大学の卒業研究では、日本歯科衛生学会の学生研究賞(ライオン歯科研究所賞)を受賞。2019年4月からフリーライターに転向し、自身で立ち上げた歯科メディアは売約を達成。現在は「歯科衛生士ライター」として活動し、歯科企業や歯科医院でライティング業務を行う。
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