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求人に応募するか悩んだとき、希望すれば院内見学をさせてもらえることがあります。また求人に応募すると、筆記試験は無くても面接は必ず行われるでしょう。いずれにせよ実際に働き始めるまでに、歯科医院の雰囲気を把握する機会は多くありません。今回はそのような限られた時間の中で、歯科医院の雰囲気を把握する方法や院内で見ておくべきポイントなどを解説します。
1. 院内見学について
2.【見学時に見ておくべきポイント①】院長・スタッフの雰囲気
3.【見学時に見ておくべきポイント②】待合室・ユニットにいる患者さんの様子
4.【見学時に見ておくべきポイント③】歯科衛生士が行なっている業務
5.【見学時に見ておくべきポイント④】歯科衛生士以外が行なっている業務
6.【見学時に見ておくべきポイント⑤】院内の清潔感・衛生管理状況
採用が決まった後、初出勤日を迎える前に見学させてもらえることもありますが、今回は採用面接前の院内見学についてです。院内見学を受け入れてくれる歯科医院は、歯科医院の経営方針やスタッフの働き方などに特に自信のあることが多いです。ただ実際は自信のある院長と働いている歯科衛生士との間に温度差があることも少なくありません。基本的に見学者は手厚く対応されますが、そういった点も見極められるよう、以下のようなポイントを押さえておきましょう。
2.待合室・ユニットにいる患者さんの様子
3.歯科衛生士が行なっている業務
4.歯科衛生士以外が行なっている業務
5.院内の清潔感・衛生管理状況
まずは院長やスタッフの雰囲気です。歯科衛生士にばかり目がいくと思いますが、受付や歯科助手の方の雰囲気も確認しましょう。明るい髪色や濃い化粧のスタッフが多い歯科医院もあれば、清楚でナチュラルメイクのスタッフが多い歯科医院もあります。外見だけで人柄を判断するのは良くありませんが、見学者であるあなたが感じた第一印象=患者さんがその歯科医院に対して感じる第一印象です。そういった点で自分と雰囲気や価値観が合いそうかチェックしましょう。
また見学者に対してもしっかり挨拶してくれるスタッフもいれば、見学者だからと挨拶をしないスタッフもいるでしょう。後者のようなスタッフは、患者さんに対しては優しいが後輩に対しては冷たいといったように、人によって対応を変える先輩である可能性が高いです。
そのようなスタッフが多い場合、その歯科医院はあまりおすすめできません。ただ見学中院内が明らかに忙しそうであったり、そのようにスタッフ間で距離のある雰囲気の歯科医院を希望している場合は別です。
意外と見ておくべきなのが、待合室やユニットに座っている患者さんの様子です。担当の歯科医師や歯科衛生士を信頼している患者さんと、そうでない患者さんは表情が大きく異なります。
また見学中ずっと待たされている患者さんがいないかも見ておくべきポイントですね。歯科医師が同じ時間に患者さんを複数診ることはよくありますが、待合室だけでなくユニット上でも待たされている患者さんがいないか見てみましょう。歯科医院や時間帯によっては、それが自分の残業や休憩時間の短縮に繋がる可能性があります。
歯科医院によっては、歯科衛生士が予防処置や診療補助だけでなく、受付や電話対応、器材の滅菌などを行なっていることもあります。あるいは歯科衛生士が診療補助にばかりついていて、予防処置やTBIなどをあまり行なっていないこともあります。
このあたりは見学当日の予約状況やスタッフ数にもよりますが、歯科衛生士が多くいるのに診療補助にばかりついている場合は、歯科衛生士専用ユニットや予約枠が多くないのかもしれません。また受付スタッフや歯科助手がおらず、歯科衛生士が受付や滅菌を常時行なっている歯科医院は、歯科衛生士業務に専念したいと思っている方には向いていないかもしれません。
これらに加えて、歯科衛生士が歯科医師業務を任されていないかも見ておきたいポイントですね。よくあるのは歯科衛生士がレントゲン撮影や精密印象・咬合採得を行うことです。いずれも歯科衛生士の業務範囲外であり、行なってはいけない行為。精密印象や咬合採得は「絶対的歯科医行為」と呼ばれるもので、歯科医師のみ行うことができるものです。
「絶対的歯科医行為」には他にも、歯の切削や切開、抜歯などが挙げられます。これらは歯科衛生士が行なってはいけないものとして認知されていますが、精密印象などについては認知されていないこともあるようです。歯科衛生士に任せる歯科医師や、任されても断らずに実施している歯科衛生士がいたら、その歯科医院を受けるのはやめておきましょう。自分が働き始めてからも同じように任され、断ると白い目で見られる可能性が高いです。これらは違法行為なので、発覚した場合逮捕されることもありえます。
歯科衛生士が行なっている業務をチェックできたら、次は歯科助手など歯科衛生士以外のスタッフに目を向けてみましょう。歯科助手は患者さんの口腔内に触れる行為を行えません。そのため受付や使用器材の準備、器材の洗浄や滅菌など、患者さんの口腔内に触れない業務を行います。そのためスケーリングやTBI、フッ素塗布などを歯科助手が行うのは違法であり、そのような歯科医院はやめておいた方が良いでしょう。
特に歯科衛生士の数が少ない歯科医院だと、患者対応や処置が追い付かず歯科助手を頼りにする可能性が高まります。歯科衛生士と歯科助手の白衣が同じ場合見極めが付かないかもしれませんが、知りたい場合は歯科衛生士と歯科助手の人数について質問すればわかりそうですね。
院内の清潔感を保ったり、器材の洗浄・滅菌レベルを維持したりするには手間と時間がかかります。また器材やグローブ、エプロンなどの衛生材料を使い捨てにし、患者ごとに交換するにはコストがかかります。そのため歯科医院によって衛生管理方法を工夫し、なるべく手間やコストがかからない方法を実施しています。
ただ患者さんを守るだけでなく、スタッフの身を守るためにも正しい衛生管理は欠かせないもの。そのため洗浄・滅菌を行なっているのは誰か、どのような機械が導入されているかなどを見ておくと良いでしょう。機械に関する知識が無くても、グローブを洗って使い回していないか、ましてやそのまま他の患者さんへ使用していないかなどは見学中に見ることができます。
今回は見学・面接で歯科医院の雰囲気を把握する方法として、見学時に見ておくべきポイントを解説しました。次回は面接時に見ておくポイントをご紹介します。
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東京医科歯科大学卒業後、大学病院に歯科衛生士として勤務。大学の卒業研究では、日本歯科衛生学会の学生研究賞(ライオン歯科研究所賞)を受賞。2019年4月からフリーライターに転向し、自身で立ち上げた歯科メディアは売約を達成。現在は「歯科衛生士ライター」として活動し、歯科企業や歯科医院でライティング業務を行う。
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