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歯科衛生士コラム

 ブリッジや義歯と比較されることの多い「インプラント」。つまりインプラントは、抜歯後など歯を失ったときに適用される治療法です。今回は新人の方やインプラントに馴染みの無い歯科衛生士の方に向けて、最低限押さえておくべきインプラントの基本について解説します。

1.最大の特長は自分の歯のように噛めること
インプラントは以下の3つのパーツから成り立っています。
 「インプラント体」は顎骨に埋め込む部分であり、天然歯の歯根部の役割を果たします。「人工歯」はインプラント体の上から被せる部分で、セラミックが多く用いられます。「アバットメント」とはインプラント体と人工歯を繋げる部分で、人工歯を外すと見ることができる部分です。つまりインプラントの手術中や処置中でなければインプラント体とアバットメントは見ることができず、普段は人工歯の部分のみ裸眼で見ることができます。

 インプラントは基本的に1本1本独立しているため、構造上見た目も自然です。なおインプラントは自費診療であるため、他人から見える部分(人工歯)の見た目が良いのは当然のこと。そのため「被せ物の見た目が良い」などと保険診療のメタルブリッジと比較するのは、患者さんにとって不親切かもしれません。

 またブリッジや義歯は、天然歯に比べると安定感に劣ります。なぜなら周囲の歯を土台として欠損部を補う治療であり、天然歯のようにがっちり支えてくれる歯根部が無いからです。しかしインプラントであれば、インプラント体が天然歯の歯根のように働きます。そのためブリッジや義歯に比べて安定感があり、自分の歯のように噛むことができるのです。


2.全身疾患のある方は注意が必要
 インプラント治療を希望される患者さんが、以下のような全身疾患を有する場合は注意が必要です。
  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 心臓病
  • 骨粗鬆症 など

  •  糖尿病において、血糖値が高くなると白血球など免疫系の細胞が上手く機能しなくなります。また合併症によっても感染を起こしやすい状態となっており、コントロールができていない場合はインプラント治療が難しいです。

     またインプラントの治療中や手術中に、緊張や不安などから血圧の上昇することがあります。高血圧の方でコントロールのできていない方は、脳出血などを起こす可能性がありインプラント治療に限らず歯科治療を行うこと自体が難しくなります。

     狭心症や心筋梗塞の既往がある患者さんは、ワーファリンなど抗凝固薬を服用していることが多いです。その事実を把握せずにインプラント手術をすると、出血の止まりにくいことがあります。

     加えて骨粗鬆症は骨密度が低下した状態です。骨粗鬆症の治療薬であるビスフォスフォネート製剤などを服用している患者さんは、インプラント手術など外科治療によって顎骨壊死の起こることがあります。その確率は高くありませんが、顎骨壊死は難治性で治療も長期に渡ることが多いため注意が必要です。

     なおいずれの全身疾患も、既往があるからといってインプラント治療が行えないわけではありません。医師の指示通りに治療を行いコントロールができていれば、完治していなくてもインプラント治療を行うことができます。

    3.インプラントの平均寿命
     インプラントの平均寿命は10〜15年とされています。ブリッジは7〜8年、義歯は4〜5年と言われているためインプラントは他の治療法よりも長持ちしやすいと言えます。ただしっかりメンテナンスや管理を行うことが前提です。
    4.顎骨が少なくても入れられることがある
     「顎の骨が少ないからインプラント治療ができないと言われた」とおっしゃる患者さんがいるかもしれません。しかし歯科医院によっては、骨造成や自家骨移植により顎骨の少なくなっている方でもインプラント治療を行えることがあります。
    5.インプラントの平均相場
     インプラントは1本あたり20~40万円が相場となっていますが、自費診療であるため歯科医院によって費用に大きな差があります。手術代やインプラント1本あたりの金額を分けている歯科医院もあれば、メンテナンスなども込みの金額を提示していることもあります。
    インプラント業界で有名なメーカー

     インプラントは世界中のさまざまなメーカーから生産されており、メーカーによって特徴や費用が大きく異なります。今回は歯科衛生士として最低限知っておくべき、インプラント業界で有名なメーカーについて解説します。

    国内の有名なインプラントメーカー

    • 京セラメディカル社の「POIインプラント」
    • GC社の「GCインプラント」
     京セラメディカル社は、国産のインプラントでシェアNo.1となっています。上記以外にも国産インプラントは多くありますが、石膏や歯科材料などで有名なGC社もインプラントを生産しています。

    海外の有名なインプラントメーカー

    • ノーベルバイオケア社の「ブローネマルク」
    • ストローマン社の「ITIインプラント」
    • アストラテック社の「アストラインプラント」
  • カルシテック社の「カルシテックインプラント」
  • 3i社の「3iインプラント」
  •  ノーベルバイオケア社はスイスの企業で、骨に結合する歯科インプラントを世界で初めて作った企業です。世界で最も有名なインプラントメーカーと言っても過言ではないでしょう。ブローネマルク以外にもさまざまな製品があります。

     ストローマン社はスイスの企業で、ノーベルバイオケア社と肩を並べる存在です。他のインプラントよりも治療期間が短いとされ、世界中で用いられています。

     カルシテック社のカルシテックインプラントの特徴は、インプラントの表面をハイドロキシアパタイトでコーティングしている点。アメリカの企業ですが、日本では白鵬が輸入販売を行なっています。上記のメーカーを最低限押さえておけば、ひとまず問題無いでしょう。

     インプラントは自費診療ということもあり、知識や経験が求められる分野です。そのため歯科衛生士であれば必ず関わることのできる分野ではありません。ただ患者さんは、新人であってもインプラントに関する経験が無くても同じ「歯科衛生士」として見ています。インプラントに関する質問をされたときに焦ることのないよう、基本の部分だけでも押さえておけると良いですね。

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    浜崎 実穂

    東京医科歯科大学卒業後、大学病院に歯科衛生士として勤務。大学の卒業研究では、日本歯科衛生学会の学生研究賞(ライオン歯科研究所賞)を受賞。2019年4月からフリーライターに転向し、自身で立ち上げた歯科メディアは売約を達成。現在は「歯科衛生士ライター」として活動し、歯科企業や歯科医院でライティング業務を行う。

    記事提供

    © Dentwave.com

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