歯科衛生士コラム マウスピース矯正の種類・メーカーと違い一覧。矯正患者へのTBI方法

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マウスピース矯正

マウスピース矯正の種類・メーカーと違い一覧。矯正患者へのTBI方法
装置が目立たず見た目の良いマウスピース矯正。少し前まで一般的だったワイヤー矯正との違いや、各マウスピース矯正メーカーによる違いなどをご紹介します。

マウスピース矯正とワイヤー矯正の違い


マウスピース矯正とワイヤー矯正はそれぞれにメリット・デメリットがあります。
  マウスピース矯正 ワイヤー矯正
見た目
透明で目立たない
✕・△・◯
装置の種類による
装置の管理
着脱が自由にできる

治療終了時まで外せない
衛生面
装置は丸洗いでき使い捨て

固定式で汚れが溜まりやすい
治療中の痛み
痛みを感じにくい

痛みを感じやすい
食事への影響
ほとんど無し

慣れるまで食事しにくい
自己管理の必要性
装置の装着時間を守る必要あり

固定式のため必ず効果が出る
治せる歯並び
治せない歯並びもある

幅広く対応可能
治療期間 およそ数ヶ月~2年
(歯並びによる)
およそ数ヶ月~2年
(歯並びによる)
費用 およそ80~120万円 およそ60~150万円
表を見るとマウスピース矯正の方がメリットが多いように感じますが、治せる歯並びや効果の感じ方など、マウスピース矯正がワイヤー矯正を超えられない点も多くあります。
そのため一概にどちらが良いということはありません。マウスピース矯正の特長だけでなくワイヤー矯正と比較した知識も持っておくことで、患者さんの要望に合わせたアドバイスができるでしょう。

各マウスピース矯正メーカーによる違い


マウスピース矯正にはさまざまな種類・メーカーがあります。
インビザライン

アソアライナー

デンマウスピース

アクアシステム

スターアライン など


インビザライン

インビザラインは世界トップシェアを誇り、信頼と実績のあるマウスピース矯正ブランドです。初回の印象採得により、矯正終了時までの歯列の変化やシミュレーションをコンピューター上で行うことができます。マウスピースとゴムなどを併用することで、幅広い歯並びに対応できるのもインビザラインの特徴です。軽度の不正歯列向けである「インビザライン・ライト」、子ども向けの「インビザライン・ファースト」「インビザライン・ティーン」など、インビザラインの中にもさまざまな種類があります。

アソアライナー

アソアライナーは1ヶ月に1回印象採得を行います。インビザラインと比較すると患者さんにとって負担かもしれませんが、歯が思うように動いていなかったなど予想外のことが起きても対応しやすいです。

またインビザラインと違い、マウスピースがソフト・ミディアム・ハードの3種類の硬さに分かれています。ソフトを一定期間装着したらミディアムを装着し、ミディアムを一定期間装着したらハードを装着します。ハードの装着期間が終わったら、次のステップのソフトを装着・・・というように交換を繰り返していきます。このようにマウスピースの硬さを変えていくことで、より痛みや違和感が出にくいとされています。

デンマウスピース

デンマウスピースは、2週間ごとに印象採得を行います。アソアライナーよりもさらに印象採得の頻度が高いですが、装置の装着時間が1日8〜10時間と短い点では患者さんの負担は少ないでしょう。他のマウスピース矯正装置は1日20時間前後装着する必要があり、食事や歯磨き時以外はずっと装着していなければいけません。しかしデンマウスピースであれば日中は装着せず、就寝中だけの装着でも効果を感じられるということです。仕事で人前に立ったり話したりすることが多いなど、1日中マウスピースを付けているのは難しいという患者さんに向いています。

アクアシステム

アクアシステムでは、4〜6週間おきに印象採得を行います。マウスピース矯正では数週間〜1ヶ月に1回ほどの通院が必要ですが、アクアシステムでは2ヶ月以上通院間隔を空けることも可能です。そのため仕事などにより定期的な通院が難しいといった患者さんに向いています。

スターアライン

スターアラインの特徴は、マウスピースが歯だけでなく歯肉の方まで覆っており歯への力がかかりやすいという点です。インビザラインでは1ステップあたりの歯の動きは0.25mmほどですが、スターアラインでは最大1mm動かすことができます。なお対象となるのは前歯の軽度な不正歯列です。

マウスピース矯正患者へのTBI


マウスピース矯正中は装置の着脱が自由にできるため、歯磨きに影響はほとんどありません。マウスピースを外したときの歯磨き方法は普段通りの指導で良いですが、マウスピースの管理方法についてもTBIで伝えられると良いでしょう。

マウスピースは食事・歯磨き時には外す


マウスピースを付けたまま食事すると、着色だけでなくマウスピースが割れるなど破損の可能性が高まります。そのため食事と歯磨き時にはマウスピースを外すよう指導しましょう。飲み物はマウスピースを付けたまま飲んでも良いですが、マウスピースへの着色が気になるのであればストローを使うことをおすすめします。ただ熱い飲み物はマウスピースが変形する可能性もあるため注意が必要です。飲食後は歯を磨いてからマウスピースを装着するよう伝えます。
なおマウスピース矯正では、歯を効率良く動かすためアタッチメントと呼ばれる小さな突起を歯に付けることがあります。アタッチメントが付いていても基本的な歯の磨き方に変わりはありませんが、着色すると目立ってしまうことがあります。

マウスピースの清掃は水かぬるま湯で行う


義歯やナイトガードと同様、マウスピースを熱いお湯で洗うと変形の原因となります。水か40℃前後のぬるま湯で清掃するよう指導し、汚れが気になる場合は柔らかい歯ブラシでこするよう伝えます。歯磨剤はマウスピースを傷付ける可能性があるため使わないよう指導しましょう。

マウスピースは1~2日に1回洗浄液に漬ける


1~2日に1回はマウスピース洗浄剤に漬けるようにすると、衛生的で口臭も防ぐことができます。マウスピース洗浄剤は市販されているもので良く、売っていなければ入れ歯洗浄剤でも代用できます。

1つ前のマウスピースは取っておく


現在使っているマウスピースが破損した場合、マウスピースの再製が必要になります。その間後戻りが起きないよう1つ前のマウスピースを付けておくことが多いため、装着期間が終わったからといってすぐに破棄しないよう指導しましょう。

またマウスピース装着時間を守らないと矯正効果がなかなか現れません。最近ではマウスピース装着時間を管理できるアプリなどもあるため、それらを利用しながら自己管理するよう指導しましょう。

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浜崎 実穂

東京医科歯科大学卒業後、大学病院に歯科衛生士として勤務。大学の卒業研究では、日本歯科衛生学会の学生研究賞(ライオン歯科研究所賞)を受賞。2019年4月からフリーライターに転向し、自身で立ち上げた歯科メディアは売約を達成。現在は「歯科衛生士ライター」として活動し、歯科企業や歯科医院でライティング業務を行う。

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© Dentwave.com

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