【これだけは押さえておきたい】保険適用になるセラミック
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セラミック治療は基本的に自費診療です。しかし使用する部位によっては保険適用になることがあります。
なお社会や経済状況の変化に対応するため、診療報酬制度は2年ごとに見直しがされています。
この記事で解説する保険適用条件などは2020年度に行われた最新の改定を元にしており、2022年度以降に行われる改定によって内容の変化する可能性があります。
患者さんに「セラミックはなぜ保険がきかないの?」と聞かれたらどのように答えますか?
セラミックに限らず保険が適用されるためには、「疾患の治療のために必要な最低限の処置であること」という条件を満たす必要があります。そのため一般的なう蝕処置や歯周病治療、スケーリングなどは、疾患治療の一貫であるため保険が適用されます。それに対して矯正治療やセラミック治療は、外観を良くするためであり疾患治療のためとはみなされず、保険が適用されません。なお例えば先天異常による歯列不正や外傷による咬合異常などは、必要な処置であるため矯正治療などであっても保険が適用されます。
セラミックは「この素材を使えば保険適用になる」というわけではなく、使用する部位によって保険適用になることがあります。つまり同じ口腔内で同じ素材を使用していても、保険適用の場合とそうでない場合があるということです。また部位が該当していればどの歯科医院でもセラミックが保険適用になるわけではなく、前提として歯科医院の満たすべき条件があります。セラミック治療が保険適用になる条件を、以下3つの視点から解説します
保険適用のセラミック治療を行うため、前提として歯科医院が満たすべき条件は以下の通りです。
- 指定のCADCAM装置で製作すること
- 一定の施設基準を満たし届出をしていること
- 補綴に関する専門知識を有し、3年以上の経験を持つ歯科医師が在籍していること
その他にも歯科技工所との連携などいくつか条件がありますが、厚生労働省から認可を受けた歯科医院であれば条件を満たしていることが多いでしょう。
セラミック治療で保険適用になるのは、全てのセラミックではありません。歯科医院の満たすべき条件にあるように、CADCAM装置で製作できるセラミック、つまりハイブリッドセラミックのみが保険適用の対象となります。ハイブリッドセラミックはセラミックとレジンを組み合わせた(=hybrid)素材で、オールセラミックなど他のセラミックに比べると見た目の透明感や耐久性などが少し劣ります。
加えて注意したいのは、同じハイブリッドセラミックであっても自費のハイブリッドセラミックと保険適用になるハイブリッドセラミックは、全く同じ素材ではないという点です。そのため自費で入れていたハイブリッドセラミックをそのまま保険適用に変えられるという認識でいると、患者さんに誤った知識を提供してしまうことになります。
セラミック治療で保険適用になる歯・部位は以下の通りです。
- 第一小臼歯
- 第二小臼歯
つまり第一小臼歯・第二小臼歯をクラウンにする場合においては、補綴物の選択肢として銀歯、CADCAM冠、自費のセラミックの3択となります。第一小臼歯と第二小臼歯は笑ったときに見えやすい部分であり見た目を気にされる方も多いですが、どれをおすすめすべきかは患者さんによって異なります。
また金属アレルギーのある方など条件が揃うと、上記に加えて以下の部位でもセラミックで保険が適用されます。
- 第一大臼歯
- 第二大臼歯
- 第三大臼歯
以前は下顎の第一大臼歯のみ保険適用とされていましたが、2020年4月より上顎の第一大臼歯も、つまり全額的に第一大臼歯はセラミック治療で保険適用となりました。なお前提として、第一大臼歯に保険が適用されるためには、第二大臼歯が4本とも残っている必要があります。これは咬合時に大臼歯部には特に強い力がかかるためです。
セラミックを希望される患者さんは、見た目を気にされている方がほとんどでしょう。また歯並びを気にされていて、歯科矯正ではなく補綴物で外観を良くしたいという方もいるかもしれません。
もちろんセラミックは見た目が良いだけでなく耐久性も高いですが、全員に勧められるものではありません。例えば日頃から歯ぎしりをされていたり咬合力が強すぎたりすると、せっかく費用をかけて入れたセラミックでも早期に破損する可能性があります。またセラミック治療をするためには天然歯を大きく削らなければいけないという懸念点もあります。セラミック治療によるメリットとデメリットを考えた上で総合的に判断し、患者さんの口腔内状態に合わせて補綴物や治療法の紹介ができると良いですね。
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東京医科歯科大学卒業後、大学病院に歯科衛生士として勤務。大学の卒業研究では、日本歯科衛生学会の学生研究賞(ライオン歯科研究所賞)を受賞。2019年4月からフリーライターに転向し、自身で立ち上げた歯科メディアは売約を達成。現在は「歯科衛生士ライター」として活動し、歯科企業や歯科医院でライティング業務を行う。
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