これだけは押さえておきたいホワイトニングのきほんの「き」
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歯を白くするホワイトニングは多くの歯科医院で導入されていますが、自費診療であるため、業務に慣れた歯科衛生士でないと任せてもらえないことも。患者さんに「セルフホワイトニングと何が違うの?」「市販の歯磨き粉でも歯は白くなる?」などと質問されたら答えられますか?ホワイトニングの基本を押さえ、患者さんに質問されても自信を持って答えられるよう2回に渡って詳しく解説します。
【これだけは押さえておきたい】ホワイトニングのきほんのき
【基本①】ホワイトニングで歯が白くなるメカニズム
【基本②】歯の黄ばみの原因は表面と内部の2つに分けられる
【基本③】ホワイトニングの方法は3つある
【基本④】ホワイトニングできない歯・できない人もいる
【基本⑤】ホワイトニング以外に歯を白くする方法
【基本①】ホワイトニングで歯が白くなるメカニズム
ホワイトニングには、「過酸化水素」や「過酸化尿素」といった成分が入った薬剤を使います。この薬剤を歯の表面に塗ると、成分が歯の内部に浸透し歯の色素を分解します。これにより歯の色が白く・明るくなります。基本的にエナメル質は色が薄く半透明で、象牙質の色は黄色っぽいです。そのため肉眼では、象牙質の色がエナメル質を通して透けて見えています。言い換えるとエナメル質の色には問題が無くても、象牙質の色により歯は黄色っぽく見えてしまうのです。この点を解決するのが、ホワイトニングの「マスキング効果」と呼ばれるものです。中が見えないよう仕切りやパーテーションなどに用いられている、「すりガラス」を見たことが一度はあるでしょう。ホワイトニングのマスキング効果とは、エナメル質を一時的にすりガラス状にし、内側の色が見えないようにする効果のことを言います。この効果により象牙質の黄色っぽい色が透けず、肉眼では歯全体が白く・明るく見えるようになります。なおマスキング効果は一時的なものであり、ホワイトニング後時間が経つと元に戻るとされています。
【基本②】歯の黄ばみの原因は表面と内部の2つに分けられる
歯の黄ばみは、原因が歯の表面にあるものと内部にあるものに分けられます。
●歯の表面の黄ばみ
◯飲食物のステイン
◯タバコのヤニ
◯飲食物のステイン
◯タバコのヤニ
●歯の内部の黄ばみ
◯象牙質の色
◯象牙質の色
歯の表面の黄ばみは、飲食物のステインやタバコのヤニによって起こります。なお色の濃い飲食物でなけれれば全てOKというわけではなく、炭酸飲料やスポーツドリンク、酢など酸性のものも注意が必要です。これらは色が薄いため単独で口にしても着色しませんが、他のものの着色を助ける働きがあります。つまりコーヒーやお茶、カレーライス、ミートソースなど色の濃い飲食物と一緒に口にすると、それらのステインが歯に付きやすくなってしまうのです。なおこういった歯の表面の着色であれば、クリーニングや市販の歯磨剤でも除去することができます。
歯の内部の黄ばみは、先述の通り象牙質の色によるものが多いです。歯の内部の黄ばみは、クリーニングや市販の歯磨剤を使っても落とすことができません。それに加えて高齢になると象牙質は厚みを持ってくるため、より一層歯の黄ばみが目立つようになります。
【基本③】ホワイトニングの方法は3つある
ホワイトニングには3つの方法があります。
●オフィスホワイトニング
●ホームホワイトニング
●デュアルホワイトニング
●ホームホワイトニング
●デュアルホワイトニング
オフィスホワイトニングは歯科医院で行うホワイトニングで、患者さんが歯科医院へ来院し、歯科医師や歯科衛生士がホワイトニングの施術を行います。そのため効果を感じやすく、1回の施術で満足される方もいます。
ホームホワイトニングは歯科医院でマウスピースを作り、患者さんがホワイトニング剤を購入し自宅でホワイトニングを行う方法です。マウスピース内にホワイトニング剤を盛り、マウスピースを歯にはめることで薬剤を歯に浸透させていきます。自宅でも安全に行えるよう、薬剤の濃度はオフィスホワイトニングで使用するものより低く設定されています。そのためオフィスホワイトニングよりも効果を感じられるまでに時間がかかりますが、患者さんが好きなタイミングで行えるのがメリットです。
デュアルホワイトニングの「デュアル」とは「二重の」という意味で、その名の通りオフィスホワイトニングとホームホワイトニングという2つの方法を組み合わせたものです。歯科医院でオフィスホワイトニングを行いながら自宅ではホームホワイトニングを行うことで、より高い効果が得られます。なお歯科医院によってはプレミアムホワイトニングなどと他の名前で呼ばれることもあります。
【基本④】ホワイトニングできない歯・できない人もいる
歯の状態や患者さんの健康状態によっては、ホワイトニングが行えないこともあります。
●ホワイトニングできない歯
◯むし歯・歯周病のある場合
◯エナメル質形成不全の歯
◯人工歯
◯むし歯・歯周病のある場合
◯エナメル質形成不全の歯
◯人工歯
●ホワイトニングできない人
◯妊娠・授乳中の人
◯無カタラーゼ症の人
◯妊娠・授乳中の人
◯無カタラーゼ症の人
エナメル質形成不全などがある場合、ホワイトニング剤が浸透した際に強い刺激を感じたり、歯髄にダメージを与えたりする可能性があります。そのためホワイトニングができません。人工歯はホワイトニングしても効果が無く、色を白くしたい場合は補綴物を作り直す必要があります。
またホワイトニングによる胎児や赤ちゃんへの影響・安全性は確認されていないため、妊娠・授乳中は原則ホワイトニングを行えません。加えて無カタラーゼ症の方もホワイトニングを行うことができません。カタラーゼとは体内の過酸化物を分解する酵素で、無カタラーゼ症はこのカタラーゼが不足しています。そのため万が一ホワイトニング剤を飲み込んでしまったときに、ホワイトニング剤の成分である過酸化物を分解することができないのです。
【基本⑤】ホワイトニング以外に歯を白くする方法
上記のような方でも、ホワイトニング以外の方法を使って歯を白くすることができます。
●セラミック治療
●歯のマニキュア
●歯のマニキュア
むし歯や歯周病のある方はそれらを治療した後に、妊娠・授乳中の方は出産・離乳後にホワイトニングを行うことができます。しかしエナメル質形成不全の方などはそうはいきません。そのため歯を白くしたい場合は、ホワイトニングの代わりにセラミックの被せ物やラミネートベニアなどの治療を行います。
また歯のマニキュアは「ホワイトコート」とも呼ばれるもので、白いレジンを歯の表面に塗り歯を白く見せる方法です。レジンなので食事時に欠けたり着色しやすかったりしますが、すぐに効果を感じられたり気軽に行えるのも嬉しいポイントです。
ホワイトニングはコーヒーやタバコなどによる着色だけでなく、歯そのものの色を白く・明るくすることができます。歯が白いと相手に清潔感を感じさせることができるため、ホワイトニングは幅広い世代に人気です。基本を押さえよく理解しておけば、患者さんを任される前でも自信を持って対応することができますね。
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浜崎 実穂
東京医科歯科大学卒業後、大学病院に歯科衛生士として勤務。大学の卒業研究では、日本歯科衛生学会の学生研究賞(ライオン歯科研究所賞)を受賞。2019年4月からフリーライターに転向し、自身で立ち上げた歯科メディアは売約を達成。現在は「歯科衛生士ライター」として活動し、歯科企業や歯科医院でライティング業務を行う。
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