歯科医師向け 開業支援・経営支援コラム Vol.19【人材・教育】スタッフ採用の具体的な進め方②

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【人材・教育】スタッフ採用の具体的な進め方②

前回のコラムでは「スタッフ採用の具体的な進め方①」というテーマで、「医院の収支を考えた上での採用計画」「採用したい人材像の明確化」「適切な求人方法や媒体の選定」といった内容ついて解説させていただきました。今回は前回の続きの項目についてお話させていただきます。

④求人原稿、募集要項の作成

まず、人材を採用するためには「給与」「社会保険」「勤務時間」「福利厚生」など、どのような条件で募集するのか準備しておく必要があります。これを「募集要項」と呼びますが、求職者は自分にとってより良い条件で働ける医院を、募集要項や求人情報を比較検討して就職先を選びます。

この募集要項に記載されている労働条件が、あまりにも現在の社会情勢や近隣の相場とかけ離れていると、求職者から見向きもされません。求人情報を出す前には、必ず近隣競合医院の募集条件をチェック・比較いただき、他院に見劣りしない募集要項を準備しましょう。特に給与、社会保険加入の有無、勤務時間、福利厚生などの項目はよくチェックされますので、最低でも同じ土俵に上がれるくらいの水準を心がけましょう。

また、募集要項が出来上がったら「この医院でぜひ働いてみたい!」と求職者に思ってもらえるような「求人原稿」をつくりましょう。求人原稿の内容に、医院の特徴やアピールポイント、求める人材像などを盛り込んでしまいがちですが、一番大切なのは「想定しているターゲット層(求職者)が求めている情報や条件」を、わかりやすく明確に載せることです。

そのためには、想定している求職者が職場選びにあたり重要視しているポイントを書く。求職者に響く言葉使いを心がける。医院の雰囲気やスタッフが働いている様子など、具体的なイメージがわく綺麗な写真や動画を盛り込むなど、工夫して原稿を作りましょう。

とはいえ、年齢(世代)や性別などが異なると、価値観や感じ方は当然変わってきます。これはある程度致し方ないことなのですが、院長自身の感覚で求人原稿をつくると、実際のターゲット層の感覚や価値観とずれてしまうことが往々にしてあります。原稿ができ上がったら、一度知り合いの歯科衛生士や歯科助手などに率直な感想を聞いてみるのもよいかと思います。

⑤応募事案への対応と選考のフロー

自前のホームページやチラシ、有料求人広告等の各種媒体から応募や問い合わせがきたら、早速選考をスタートさせます。事前に選考のフロー(書類選考、医院見学、面接、適性検査、など)を準備しておき、実際に応募がきたら速やかに対応できるようにしておくことが大切です。

ここで注意いただきたい点が2つあります。それは「丁寧な対応」と「スピード」です。一昔前と違い、今は「採用難」の時代となっており、医院側はどちらかというと「選ばれる立場」となっています。求職者が複数の医院で同時に選考を進めているケースもあり、応募時のレスポンスの早さや担当者の態度、医院見学や面接時の対応が求職者の心象に大きな影響を与えます。求職者にできるだけ良い印象を持ってもらい、自院に関心を寄せていただけるよう、しっかりと準備をして丁寧な対応でお迎えしましょう。

ちなみに、レスポンス対応にもたついていると、その間に他院での内定が決まってしまい、結果的に採用できないといった残念な結果にもなりかねません。

⑥合否判定とその後の対応

選考が進み、採用する人材の選定が完了したら合否を出します。残念ながら不合格になった方には、メールや書面でその旨を通知します。その際にぜひ心がけていただきたいのが、応募してくれたこと、選考を受けてくれたことに対する感謝の気持ちを添えて、丁寧な言葉遣いで連絡をすることです。今回はたまたまご縁が無かったかもしれませんが、いつかまた別の機会でご縁があるかもしれませんし、数年後に患者さんとして来院されることもあるかもしれません。雑な対応により悪い印象を与えてしまうと、求職者さんの周りにクチコミで広がってしまったり、ネット上に書き込まれてしまうリスクもあるので厳に慎むべきです。

一方で、内定が出た場合は、本人に内定通知書を送るなど速やかに連絡をします。その際に、求職者の良かった点をフィードバックしたり、数ある歯科医院の中から自院に入職を決めてくれたことに対する感謝の気持ちを伝えましょう。もし複数の医院で内定が出ている場合は、ぜひ自院に入職してもらいたい気持ちを伝えるなどできる限りのアクションを取りましょう。

入職が決まったスタッフに関しては、雇用契約書や給与振込口座の確認などの入社手続き、制服・名札・ロッカー等の準備、入職後の研修・トレーニングの準備など順次進めていきましょう。また、歯科医師や歯科衛生士など有資格者に関しては、資格免許証のコピーを提出してもらうとより安心です。

事務長代行および事務長養成型 経営コンサルタント
ライトアーム代表 
五十嵐 伸好

歯科器材メーカーにて開業担当として200件以上の開業に携わり、大手ディベロッパーや商業施設との交渉により物件獲得、事業計画書の作成、開業資金の融資確保、医院内装のアドバイスなど、機械メーカーの枠を超えて開業までのすべてをとりまとめ、先生の評価をいただく。
その後、医療法人事務長となり多岐にわたる事務長業務(採用、人事、広報、渉外、経営、税務、労務など)を行い法人運営し、就任時から売上400%以上アップを達成する。現在は事務長代行もしくは事務長養成型の経営コンサルタントとして運営に困っている院長の右腕として活動している。

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