歯科医師向け 開業支援・経営支援コラム Vol.20【人材・教育】魅力的な募集要項と求人原稿の作り方

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魅力的な募集要項と求人原稿の作り方

前回のコラムでは「スタッフ採用の具体的な進め方」というテーマで、求人をおこなうにあたっての注意事項や、具体的な進め方などについて解説させていただきました。今回は歯科医院の新規オープンにおいて、求職者に興味を持ってもらえるような魅力的な募集要項と求人原稿の作り方について説明させていただきます。

①法令を順守した求人原稿

当たり前のことですが、求人をおこなう際の募集要項に記載された内容は、法律を遵守したものでなくてはなりません。都道府県ごとに定められた最低賃金、残業等の時間外手当や休日出勤手当の支給、法定労働時間、法定で定められた社会保険への加入、有給休暇の付与など、当たり前のことがしっかりと遵守されている募集要項にする必要があります。「知らなかった・・・」では済まされませんので、社労士(社会保険労務士)、開業コンサルタント、各種社会保険の行政窓口などに相談し、作った募集要項が法律に違反していないかチェックしておきましょう。

②福利厚生を整備する

求職者に興味を持ってもらえる求人原稿にするために「福利厚生」を充実させるのは大切なポイントのひとつです。しかし、開業のタイミングは借入金の額も大きく、当然売上もまだ立っていないため、スタッフの待遇改善のために使える資金には限りがあります。スタッフを採用するために、無理をして福利厚生を手厚くする方がいらっしゃいますが、あまり無理をすると開業後にコストが重くのしかかり経営を圧迫することにもなりかねません。最初は社会保険への加入など法律で定められた福利厚生(法定福利厚生)を中心に、身の丈にあった環境整備をおこないましょう。もし福利厚生を充実させたい場合は、医院の売上が軌道に乗り安定してきたタイミングで随時追加していけば良いのです。

③「新規開業=オープニングスタッフ」という強みを生かす

当然ですが、医院開業のタイミングでは「有給休暇消化率」「スタッフの平均勤続年数」「食事会や社員旅行の有無」など、求職者にアピールできる実績はありません。しかし、「新規開業」というのは、捉え方次第では大きな武器となるので、ぜひこちらを前面にアピールしていきましょう。オープニングスタッフとして入職するということは、先輩スタッフがいないため、院長と一緒に医院の仕組みやオペレーション(ソフト面)を作り上げていくことになります。この部分に魅力を感じるスタッフは多いので、ぜひアピールしてみてください。また、開業するということは綺麗な環境と最新の設備が揃っている場合がほとんどなので、大きなアピールポイントになります。歯科医院は女性がとても多い職場なので、綺麗な職場環境であることだけでも大きなアピールポイントになります。

④研修教育体制や開業後のサポートを充実させる

先ほどもお伝えしましたが、オープニングスタッフであるということは「先輩がいない=教育してくれる人がいない」ということを意味します。自分の立場で考えてみると容易に想像できると思いますが、新しい環境に入職する際に「新しい仕事を覚えらえるだろうか?」「みんなと同じペースで付いていけるだろうか?」という不安を感じるものです。そういった不安を払拭させるために「開業前の医院全体でのロールプレイング研修」や「メーカーなど外部講師を招いた研修」など、事前のトレーニングやサポート体制がしっかりしている旨をアピールしておきましょう。さらに、開業後においても定期的な研修会やマニュアル整備などきちんとフォローができる体制を考えている点もアピールしましょう。

⑤感染症予防対策をアピールする

新型コロナウイルス感染拡大がきっかけとなり、今まで以上に院内の衛生管理(器具の滅菌や院内設備の除菌など)に関心が寄せられるようになってきました。求職者は「働きがい」や「労働条件」を求める以前に「安全に働ける環境」を求めていますので、新しい医院ではどのような設備があって、どのような安全対策をおこなっていくのかアピールしておくことが必要です。

⑥院長自身のプロフィールを紹介する

スタッフは「どんな院長先生の元で働くのか」という点に強い興味を持っています。院長先生の情報がまったく載っていない求人情報だと求職しているスタッフは不安を感じますので、院長の顔写真、出身大学やこれまでの経歴などのプロフィール、治療方針やビジョンを明確にして、どんな医院を作り上げていきたいかなどを開示しておきましょう。また、院長の写真の良し悪しで求職者に与えるイメージは変わってくるので、ぜひプロのカメラマンに撮影を依頼し、質の高い写真を用意しましょう。

⑦院内の様子が伝わる写真や動画、パースデータ

医院の情報や魅力をどんなに文字や文章で表しても、やはり「画像」や「動画」など視覚的イメージにはかないません。医院の内装や外装が出来上がるのは開業直前であることがほとんどのため、なかなか求人用に写真を用意するのは難しいとは思いますが、次のようなものを準備しておくとよろしいかと思います。「院長のプロフィール写真やメッセージ動画」「医院の内装外装のパースデータ」「導入予定の医療機器や機材の写真」「開業場所の近隣の様子」など。

これらの要素をふまえた上で、ぜひ求職者が興味を持ってくれそうな求人原稿を準備してみてください!

事務長代行および事務長養成型 経営コンサルタント
ライトアーム代表 
五十嵐 伸好

歯科器材メーカーにて開業担当として200件以上の開業に携わり、大手ディベロッパーや商業施設との交渉により物件獲得、事業計画書の作成、開業資金の融資確保、医院内装のアドバイスなど、機械メーカーの枠を超えて開業までのすべてをとりまとめ、先生の評価をいただく。
その後、医療法人事務長となり多岐にわたる事務長業務(採用、人事、広報、渉外、経営、税務、労務など)を行い法人運営し、就任時から売上400%以上アップを達成する。現在は事務長代行もしくは事務長養成型の経営コンサルタントとして運営に困っている院長の右腕として活動している。

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