歯科医師向け 開業支援・経営支援コラム Vol.17【人材・教育】開業後の人件費とその内訳について

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【人材・教育】開業後の人件費とその内訳について

前回のコラムでは「運転資金と人件費の考え方」についてお話させていただきました。今回は「開業後の人件費」について詳しく解説させていただきます。

人件費とは、医院運営においてかかるさまざまな経費の中で「人に関わる費用」のことを指します。医院運営に必要な要素には「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」の4つがあると言われていますが、人件費は一番重要な経営資源である「ヒト」に対して支払う経費とも言い換えることができます。

人件費と聞くと、毎月従業員に支払っている給料やボーナス(賞与)、通勤交通費などの各種手当などが頭に浮かんでくると思いますが、実はそれ以外にも人件費に含まれるものがいくつかあるのです。詳しく見てみましょう。

①所定内賃金

毎月支給する基本給、各種手当(役職手当、営業手当など)

②所定外賃金

残業代(時間外労働賃金)、深夜労働(午後10時~午前5時まで労働)の割増賃金、休日出勤手当など

③賞与

毎月の給与とは別に支払われる賃金(ボーナス)

④法定内福利厚生費

社会保険(厚生年金保険、健康保険、介護保険等)の事業所負担分

⑤法定外福利厚生費

医院が独自で定める福利厚生で、住宅手当(家賃補助)、通勤手当、健康診断補助など

⑥採用・教育研修費

医院で雇用する人材を採用し、戦力となるために教育・育成するための費用

⑦退職金

将来の退職金支給に備えて準備するための費用

※上記のうち①②③の項目を「現物給与」、④⑤⑥⑦を「現物給与以外」というような分け方をする場合もあります。

いかがだったでしょうか?額面で定められた給料以外にも医院側が負担しなければならない項目が結構あるので、それ相応のお金がかかります。

上記①~⑦の中には、社会保険や時間外労働手当など法律で定められたものと、定めらえていないものがあります。法律で定められた最低限の項目をクリアしていれば問題はないのですが、最近は労働人口の減少で採用が難しくなっているため、賞与の額や法定外福利厚生など、ある程度充実させないと良い人材が集まってきません。

また、採用した人材がしっかりと戦力となって働けるようになるためには、教育・研修が必要となります。当たり前の話ではありますが、新規開業の場合全員同じタイミングで入職するので、横一線でのスタートとなります。当然「先輩スタッフ」もいるはずがなく、先輩から後輩に指導するということができません。(他院での経験者を採用するケースもありますが、医院のキャリアという面でいうと皆1年生なのです)そうなると、院長自身がスタッフを教育するか、もしくはお金を払って外部講師を招き、教育・研修をしてもらう必要があります。

前回のコラムでも触れさせていただきましたが、医院の経費の中で「人件費」は大きなウエイトを占めるので、しっかりと収支のバランスを取らないと医院経営の足かせになります。とはいえ、人材は医院の大きな財産でもあるので、あまり出し渋りすぎるのも良くありません。近隣の競合医院の採用条件や人材市場のトレンドをリサーチするなど常にアンテナを張り、顧問税理士にもアドバイスをもらいつつ、訂正な人件費をかけて医院を運営していきましょう。

事務長代行および事務長養成型 経営コンサルタント
ライトアーム代表 
五十嵐 伸好

歯科器材メーカーにて開業担当として200件以上の開業に携わり、大手ディベロッパーや商業施設との交渉により物件獲得、事業計画書の作成、開業資金の融資確保、医院内装のアドバイスなど、機械メーカーの枠を超えて開業までのすべてをとりまとめ、先生の評価をいただく。
その後、医療法人事務長となり多岐にわたる事務長業務(採用、人事、広報、渉外、経営、税務、労務など)を行い法人運営し、就任時から売上400%以上アップを達成する。現在は事務長代行もしくは事務長養成型の経営コンサルタントとして運営に困っている院長の右腕として活動している。

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