【いまさら聞けない】高齢者・在宅歯科診療の専門用語を解説 その①

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日本は超高齢社会とされ、歯科医療や口腔ケアの重要性が注目されている状況です。
歯科衛生士が歯科医院や在宅歯科診療で高齢者と接する機会も非常に増えており、今後もさらに増えていくことが予想されます。今回は高齢者歯科・在宅診療で使用される専門用語について解説してきます。

高齢者歯科・在宅歯科診療で使用される専門用語

高齢者歯科・在宅歯科診療で使用される用語は、多職種との連携の際に使用される可能性が高いです。意味をしっかり押さえておきましょう。

①摂食・嚥下障害

食べ物を上手く食べることができない・飲み込むことができない状態を言い、新生児から高齢者まであらゆる年齢層で認めます。原因はさまざまで、子どもでは脳性麻痺やダウン症など生まれつきの病気により障害が起こります。高齢者では加齢に伴い嚥下に関わる筋肉が衰えることにより生じます。また脳梗塞などの脳血管疾患が影響することもあります。

②誤嚥性肺炎

嚥下障害が原因で、細菌を含んだ唾液や食べ物・胃液などが誤って気管内に入り込み(誤嚥)、肺炎を引き起こした状態です。70歳以上の肺炎の約8割が誤嚥性肺炎と言われている程、発生頻度が高いです。

高齢者はセルフケアで口腔内の清潔を保つことが難しくなり、細菌が増殖して誤嚥性肺炎を引き起こしやすい環境になっています。一度発症すると気道の粘膜が傷つき、異物を咳反射により除去する機能が鈍くなるため、何度も誤嚥性肺炎を繰り返す患者が多いです。

③介護保険制度

介護が必要になった高齢者を支援する制度です。全国の市区町村が主体となって運営しており、保険料と税金で賄われています。日本では40歳になると全員が介護保険に加入し、保険料を支払うことが義務となっています。

介護保険を利用するためには要支援・要介護の認定が必要です。住んでいる市区町村の介護保険担当窓口で申請を行い、後日認定調査員が状態を確認するため本人の元を訪れます。その後1カ月ほどで判定結果が出ます。要支援の認定が出たら地域包括センターに、要介護の認定が出たらケアマネージャーに相談をし、個人に必要な介護サービスを受けることができます。

なおサービスの利用料は利用者(被保険者)の所得に応じて1~3割負担で、その他の7〜9割は介護保険を運営する市区町村(保険者)が負担します。

④介護度

介護の必要性の程度を表したものです。下の図のように介護の必要度合いに応じて計8段階に分類されます。

自立 日常生活は自分で行うことができる。介護保険での介護サービスは必要なし。
要支援1 日常生活はほぼ自分でできるが、要介護状態予防のために少し支援が必要。
要支援2 日常生活に支援が必要だが、要介護に至らずに機能が改善する可能性が高い。
要介護1 立ち上がりや歩行が不安定。日常の中で、排泄や入浴などに部分的な介助が必要。
要介護2 自力での立ち上がりや歩行が困難。排泄、入浴などに一部または全介助が必要。
要介護3 立ち上がりや歩行などが自力ではできない。日常においても排泄、入浴、衣服の着脱など全面的な介助が必要。
要介護4 排泄、入浴、衣服の着脱など日常生活の全般において全面的な介助が必要。
要介護5 日常生活全般において、全面的な介助が必要であり、意思の伝達も困難。

介護保険では、この介護度に応じて支給限度額が決められています。ケアマネージャーは限度額の範囲内でどういったサービスを利用するのか、ケアプランを作成していきます。

歯科衛生士ライター 三島ゆかさん

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