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社会的に高齢化が進む中で、高齢者向け歯科医療・在宅歯科のニーズは今後、より高まっていくと想定されます。本記事では、前回に引き続き高齢者・在宅歯科診療で使用される専門用語についてみていきましょう。
病気により余命がわずかになった患者に対して行う、医療・看護的・介護的ケアです。残り少ない余命を少しでも心穏やかに過ごせるよう、痛みや不安、ストレスを緩和して患者のQOLを保つことを目的としています。投薬などで痛みを緩和する身体的ケア、気持ちに寄り添い不安やストレスを緩和する精神的ケア、患者の家族へ対して費用や手続きのサポートを行う社会的ケアが該当します。病院だけでなく、自宅や介護施設などでも行われています。
日常生活を送るために最低限必要な動作で、高齢者の身体能力や日常生活レベルを計るための重要な指標です。Activities of Daily Livingの頭文字を取ってADLと略されます。具体的には移動・排泄・食事・更衣・洗面・入浴などの動作のことを指し、リハビリテーションの現場や介護保険制度では1つ1つの動作を、自立から全介助まで段階的に評価します。
ADLは日常生活に欠かせない基本的な動作である基本的日常動作(BADL)と、買い物や洗濯、薬やお金の管理など複雑で高度な動作を表す手段的日常動作(IADL)の2つに分類されます。
移動するための能力が衰えている状態を指します。略してロコモと呼ぶことが多いです。ロコモの状態になると移動や移乗、階段の昇り降りが難しくなります。また移動の動作が不安定になることで、転倒や骨折を引き起こしやすくなります。骨折は要支援、要介護状態になる大きな要因の1つであり、注意が必要です。
加齢などが原因で筋肉量が減少したり、筋力が低下したりすることを指します。「筋肉」と「喪失」を意味するギリシャ語が語源となっています。進行すると転倒や要介護状態になる可能性があり、ロコモの要因の1つでもあります。
加齢によって心身が老い衰え、社会とのつながりが減少した状態です。英語のFrailty(虚弱・老衰)が語源となっています。フレイルはサルコペニアやロコモなどの身体的な問題に加えて、認知機能の衰えや引きこもりなどの社会的な問題にも重点を置き、より広い概念で捉えられています。要介護の前段階と考えられていますが、可逆的でしかるべき介入により再び健常な状態に戻ることができます。
口腔機能が衰えてきている状態で、口腔機能の軽微な低下や食の偏りなどが挙げられます。加齢とともにオーラルフレイルが進行すると、栄養状態が悪くなり筋力の低下を引き起こします。徐々に外出することも少なくなり、悪化すると介護が必要になる場合もあります。つまりオーラルフレイルは全身のフレイルにつながる、重要なサインの1つです。早めに気づき適切な対応をすることにより、再び健康な状態に近づくことができます。
オーラルフレイルの始まりとされる症状は以下の通りです。
- 滑舌の低下
- 食べこぼし
- わずかなむせ
- 噛めない食品の増加
- 口腔内の乾燥
症状の多くが見逃しやすいもので、本人は気づいていない場合がほとんどです。対応としては、口腔機能を維持するための体操(パタカラ体操など)や唾液腺のマッサージの指導などを行います。
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