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昨今、バリアフリーの適用範囲の拡大が図られています。しかし、歯科医院においては、バリアフリー化されていても車椅子で来院するには不都合なことが山積みです。今回は、車椅子使用患者が使用する車椅子の種類と視察前の準備について解説します。
車椅子とひと口に言ってもその種類はさまざまです。まずは車椅子そのものについて詳しく解説します。
使用者が手動で操作する車椅子です。ハンドリムという、タイヤの外側についている輪を手でこぐことで走行します。多くの施設や住宅で使用されている汎用的なタイプです。
ハンドリムがついておらず、使用者本人ではなく介助者が押して操作する車椅子です。背もたれの上にハンドクリップがついており、そこに自転車のブレーキと同じような握るタイプのブレーキがついています。
背もたれの傾斜角度を変える機能が付いた、リクライニングタイプの車椅子です。長時間の座位姿勢がとりにくい方などのために、背もたれが長く付けられています。なお背もたれを倒すときに脚の位置も上げることが可能です。これに対してティルトタイプは、起きて座っている姿勢のままの角度で倒せるタイプの車椅子です。
車椅子に電動機が備わっているタイプで、自操用車椅子と介助用車椅子の2種類があります。
車椅子を使用する方は高齢者だけでなく、脊髄損傷や頸髄損傷による機能障害がある方、脳性麻痺により立位困難である方などもいます。特に下肢に機能障害のある方が多くみられ、下肢だけでなく上肢にも障害のある人は電動車椅子を使用していることもあります。
車椅子の患者が来院する際に、注意すべきポイントを詳しく解説していきます。
予約時に患者から車椅子を使用していると申告があった場合、いくつか確認すべきことがあります。
- 来院手段は車か
- 自走が可能か
- 介助者の付き添いがあるか
- ユニットへの移乗は介助が必要か
これらをあらかじめ確認しておくことで、来院時にスムーズに対応することができます。
車椅子使用者は、階段や段差があると自力での移動が困難になります。付近にスロープやエレベーターがあれば案内しますが、ない場合は段差を越える方法など、車椅子のサポート方法を知っておきましょう。また待合室には、車椅子に乗ったまま待てるスペースを確保する必要があります。加えて車椅子を使用している高齢者や脊髄損傷などのある障がい者は、体内に熱がこもりやすく体温調節がしにくいという特性があります。そのため熱中症対策は重要で、エアコンや扇風機を活用するなどの配慮も必要です。
患者が車で来院する場合は、車椅子使用者用の駐車場の確保、もしくは車椅子でも利用しやすい駐車場を確保しておきます。
介助者の有無に関わらず、出入口が開き戸の場合はドアの開閉介助が必要です。
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