歯科医師向け 開業支援・経営支援コラム Vol.24【人材・教育】スタッフ採用における選考のポイント③

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前回のコラムでは「スタッフ採用における選考のポイント②」というテーマで、医院見学・面接時に人材を見極めるポイントについて詳しく解説させていただきました。今回は選考中の求職者が本当に自院にマッチする人材なのか判断するための検討材料となる「適性検査」についてお話させていただきます。

これまでのおさらいとなりますが、歯科医院におけるスタッフ採用の選考プロセスは、大きく次の3つから構成されています。

①書類選考
②医院見学・面接
③適性検査や筆記試験

※注:医院によっては③を実施しない場合もあり。

開業時・開業後にも関わらず、医院のビジョンや方向性に共感し、一生懸命明るく前向きに仕事に取り組んでくれる優秀なスタッフを採用したいというのは、どの院長も願っていることかと思います。

もちろん良い人材を採用するため、書類選考や見学・面接を通して求職者を見極めるわけですが、限られた短い時間で求職者の本質や能力を見抜くのは、ほぼ不可能です。

書類選考や面接・見学において、求職者は自分のことを良く見せようとする傾向があります。本当は実力が伴っていないにも関わらず、これまでの経歴や自分のスキル・能力を盛って見せることはよくある話です。つまり、書類選考や面接で求職者が書いたり話したりしている内容をそのまま鵜呑みにするのは大変危険ということです。やはりある程度の期間、一緒に働いてみないと、その人の本当の姿はわからないのです。

とはいえ、医院を開業するためにはスタッフを採用しなければなりませんし、完全とはいかないまでも、可能な限り理想に近いスタッフを雇用できるに越したことはありません。

そのための判断材料のひとつとして「適性検査」や「筆記試験」の実施といったプロセスを選考過程に加えることをご提案させていただきます。それでは、適性検査や筆記試験を選考に加えるメリットとデメリットについてご覧ください。

【メリット】

・求職者の本気度を図ることができるため、軽い気持ちで選考を受けようとする人材をスクリーニングできる。

・完璧とは言わないまでも、求職者の特性や性格、院長との相性などある程度の傾向を把握することができる。

・求職者の基礎学力や能力を、数値にて判断することができる。

【デメリット】

・選考過程が1つ増えるため院長の負担(労力)が増える。

・市販の試験問題や適性検査ツールを使用するとコスト(費用)がかかる。

・適性検査や筆記試験を選考プロセスに加えると、求職者から見たハードルが上がるためエントリー数が減る可能性がある。

※参考事例:ある医院での受付採用失敗事例
第一印象の良さ、気持ちの良い挨拶、好感の持てる笑顔ができる方だったので、受付として採用したが、いざ仕事をしてみると「レジ金が合わない」「備品の発注ミス」
「指示した内容と違う動きをしてしまう」といったケアレスミスが頻発。なぜこんなことが起こるのか原因を探ったところ、どうも基礎的な学力や地頭の良さに原因があるのではないかと疑いが持たれました。そこで、そのスタッフに小学校高学年レベルの学力テスト(算数や国語)をおこなったところ、両方とも100点満点中30点以下という驚きの結果となりました。詳細を見てみると基礎的な四則演算(加減乗除)、少数や分数、割合といった、日々の業務でも頻繁に使用する概念が全く理解できていませんでした。また国語も漢字の読み書きや読解問題に多くの間違いがありました。

~参考事例ここまで~

限られた時間と情報の中でスタッフ選考をおこなうためには、できるだけ判断材料が多い方がミスマッチも少なく、理想的に近いスタッフを採用できる可能性が高まります。①の書類選考や②の医院見学・面接だけでは見極められない部分を判断する材料として、適正検査や筆記試験の実施もぜひ視野に入れてみてください。

最後に参考までに具体的な検査ツールをご紹介させていただきます。実際にインターネットで検索してみると、検査1回につきいくらという料金設定のものから、初期費用が必要なもの、月額費用がかかるものなど色々とあるので、一度調べて比較されると良いと思います。歯科医院は事業規模も小さい場合が多く、開業時は必要最低限のスモールスタートになる場合がほとんどです。そういった面では、コストの負担もそこまで重くない、検査1回毎に課金されるサービスがよいのではないでしょうか。

①CUBIC(キュービック)適性検査

https://www.e-jinjibu.jp/

②SPI3

https://www.spi.recruit.co.jp/

③不適性検査 スカウター

https://scouter.transition.jp/

最後までお読みいただきありがとうございます!

事務長代行および事務長養成型 経営コンサルタント
ライトアーム代表 
五十嵐 伸好

歯科器材メーカーにて開業担当として200件以上の開業に携わり、大手ディベロッパーや商業施設との交渉により物件獲得、事業計画書の作成、開業資金の融資確保、医院内装のアドバイスなど、機械メーカーの枠を超えて開業までのすべてをとりまとめ、先生の評価をいただく。
その後、医療法人事務長となり多岐にわたる事務長業務(採用、人事、広報、渉外、経営、税務、労務など)を行い法人運営し、就任時から売上400%以上アップを達成する。現在は事務長代行もしくは事務長養成型の経営コンサルタントとして運営に困っている院長の右腕として活動している。

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