歯科医師向け 開業支援・経営支援コラム Vol.22【人材・教育】スタッフ採用における選考のポイント①

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前回のコラムでは「求人ツール・媒体の選定とコストについて」というテーマで、求人で利用する媒体とその特徴・コストなどについて解説させていただきました。今回はスタッフ採用における選考のポイントについて、テーマ毎に分けて説明させていただきます。

まず、スタッフ採用の選考のプロセスですが、見方によっては次の3つの要素に分けることができます。

①書類選考
②適性検査や試験
③医院見学・面接

通常は①⇒②⇒③の順に選考が進むケースが多いですが、求職者数が少ない歯科医院においては②と③の順番が入れ替わるケースもあります。なぜなら、選考過程の早い段階で適性検査や試験などを課してしまうと、心理的なハードルが上がり求職者の数そのものが減ってしまい、選択の余地が少なくなってしまう場合があるからです。また、適性検査や試験をスクリーニングと捉えるのではなく、書類選考と面接を経て評価の高かった人材を、本当に採用すべきかどうかの最終チェックという意味合いで実施している医院もあるからです。

それでは今回は①の書類選考について詳しくお話を進めていきます。

早速ですが、医院を開業するのに必要な人材を採用するために、先生方は求人媒体や人材紹介サービスなど様々な手段を用いて募集をかけます。そして実際に応募がきたら、求職者のプロフィールや経歴などを入念にチェックして、その方が医院の方向性や条件に合う人材かどうかを見極めます。このステップが「書類選考」です。書類選考をおこなう際には事前に一定の基準を設けておいて、それらをクリアした求職者のみ、次のステップに進むようにします。

本当なら応募があった求職者とできるだけ多く面接をし、その中から本当に採用したい人材を厳選したいところです。しかし、開業前はやらなければならないことがたくさんあり、選考に割ける時間も限られています。そういった意味でも、書類選考を通じてある程度求職者を絞り込み、効率的にスタッフ選考を進めていくのが現実的です。

ちなみに、書類選考といっても今の時代は紙の書類のみを指すわけではなく、WEBの転職(就職)支援サービスに登録されたエントリーシート、デジタルデータの履歴書など電子ファイルも含まれます。

それでは、書類選考で実際に提出してもらうのはどんなものなのでしょうか?

①履歴書

住所・氏名・生年月日・電話番号など求職者の個人情報、これまでの学歴や職歴、自己PRや志望動機、待遇など条件面の希望などをまとめた書類です。

②職務経歴書

求職者のこれまでの業務経験やスキルを確認するための書類です。求職者がこれまでどのような仕事を経験し、どのような能力やスキルを身に付けているのか確認し、それをどう医院で活かしていけるのか判断するための資料となります。

③過去の勤務条件がわかる資料

給与など待遇面を決めるための参考資料として、前職の給与明細や源泉徴収票のコピーなどを用意していただくようにしましょう。募集要項に「給与額は前職の給与を考慮の上決定」といった文言があった場合、その根拠となる資料が必要です。これらの資料が無いと前職での待遇がわからないので、前職を考慮した給与額を決めることができません。

④資格免許証

資格がなければ仕事ができない職種の場合、資格免許証のコピーを提出してもらいます。歯科医院において資格免許証が必要なのは「歯科医師」「歯科衛生士」「歯科技工士」がメインとなりますが、採用前には必ず「資格確認」されることをお勧めします。実際に、無免許にも関わらず診療をおこなってしまいそれが発覚して大問題になったケースもあります。もし発覚した場合、無資格で業務をおこなった者だけでなく、開設者である院長の責任が問われる場合もあるので、自己申告のみで有資格者かどうか判断するのは大変危険です。

⑤その他

上記①~④以外に、求職者の経歴や強みをアピールできる資料がもしあれば、選考の材料として提出してもらうのも良いと思います。本人が提出を希望する場合に限りますが、例えば過去に症例検討会や学会等で症例発表しているときの写真、専門誌などに掲載された記事などがあれば、選考時の貴重な判断材料となります。書類選考の前に「何か自分をPRできる資料があれば自由に提出してもらって結構です」と一声かけることで、選考の判断材料となる資料を増やすことも可能です。

最後に書類選考をする際に注目すべきポイントを挙げさせていただきます。

【手書き・デジタル共通】

・記入すべき記載事項がしっかり書かれているか?(空欄が目立っていないか)
・誤字脱字、間違った日本語表記などがないか?
・記載内容に前職の悪口、後ろ向きの転職理由などネガティブな記述が無いか?

【手書きの場合】

・書類が使いまわしされていないか?(日付を修正テープで消して上書きするなど)
・写真がきちんと撮れているか?(撮影時の服装や写真の質をチェック)
・写真がきちんと貼られているか?(曲がっていないか)
・字の上手い下手ではなく、丁寧に一生懸命書こうという気持ちが伝わってくるか?

以上が、書類選考をおこなう際のポイントと注意事項です。次回は、「医院見学・面接」に関する内容について詳しく書かせていただきます。

事務長代行および事務長養成型 経営コンサルタント
ライトアーム代表 
五十嵐 伸好

歯科器材メーカーにて開業担当として200件以上の開業に携わり、大手ディベロッパーや商業施設との交渉により物件獲得、事業計画書の作成、開業資金の融資確保、医院内装のアドバイスなど、機械メーカーの枠を超えて開業までのすべてをとりまとめ、先生の評価をいただく。
その後、医療法人事務長となり多岐にわたる事務長業務(採用、人事、広報、渉外、経営、税務、労務など)を行い法人運営し、就任時から売上400%以上アップを達成する。現在は事務長代行もしくは事務長養成型の経営コンサルタントとして運営に困っている院長の右腕として活動している。

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