歯科医師向け 開業支援・経営支援コラム Vol.26【人材・教育】入職までに必要な書類について

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前回のコラムでは、内定から入職までの大まかな流れや準備すべきものについて解説させていただきました。今回からは、それぞれの項目についてもう少し内容を掘り下げて説明していきたいと思います。

早速ですが、今回のテーマは「内定から入職までに準備する書類」についてです。このコラムをご覧いただいている先生方も、一般開業医もしくは大学病院などに入職する際にいくつか提出物を求められたかと思います。これは先生方がこれから開業する医院でもまったく同様で、労務管理上必要な書類を内定者に準備いただき、提出してもらうことになります。

なお提出してもらう書類は、医院の方針や契約している顧問社労士さんの考え方によって多少ばらつきはありますが、一般的に下記のような書類を準備いただくことが多いようです。

<入職者全員に提出してもらう書類一例>

◆身分証明書のコピー
内定者の身元をしっかり確認するために、身分証明書のコピーを提出いただきます。
運転免許証やパスポートなど顔写真付きの場合は1種類のみ提出。健康保険証や印鑑登録証明証など顔写真なしの場合は2種類提出してもらう場合が多いようです。

◆誓約書
社会人として守るべき基本的事項、医院で定められたルールを遵守するなど、労働者としてしっかり守って欲しい約束事をまとめた誓約書となります。

◆秘密保持契約書
医院の診療業務で知りえた患者様や従業員の個人情報、医院の経営ノウハウや売上に関する資料等の秘密情報を外部に漏らさないため、約束事をまとめた契約書となります。

◆身元保証書
内定者が故意または重大な過失で医院に損害を与えた際に、保証人として本人と共に責任を負うことを明記した誓約書となります。

◆銀行通帳やキャッシュカードのコピー
医院が内定者の給与振込口座情報を把握するため、本人名義の銀行通帳やキャッシュカードのコピーを提出してもらいます。(医院のメインバンクにて新規にて給与振込口座開設する場合もあります。)

◆通勤ルート・交通費申請書
内定者への交通費支給額と通勤ルートを確認するための書類です。自宅から医院までの最短かつ効率的なルートと、利用する交通機関の詳細を明記の上、提出してもらいます。

◆健康診断書
従業員の健康管理は、医院にとって重要な労務管理業務の1つです。入職後、業務に支障をきたすような重大な健康上の問題がないかどうか把握するため、健康診断書を提出いただきます。

<条件に該当する入職者のみ提出してもらう書類の一例>

◆有資格者(歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士等)を採用する場合
もし内定者が無資格で、それを知らずに業務をおこなわせた場合、本人だけでなく雇用主側にも責任が問われます。どの職種においても資格免許証の原本を持参してもらい、しっかりと確認しましょう。また歯科医師においては臨床研修修了登録証と保険医登録証の原本も確認いたします。確認しましたらすべてコピーを保存しましょう。

◆本年分の源泉徴収票
年の途中で転職をした場合、入職前にアルバイトをしていた場合など、年内に給与や賞与など収入がある場合は源泉徴収票のコピーを提出してもらいます。

◆住民税の納付書
給与所得者の個人住民税は、原則として特別徴収(医院が本人から徴収して代理で納付)しなければなりません。まだ未払いの住民税の納付書が手元にある場合は提出してもらいます。

◆雇用保険の被保険者証・年金手帳
雇用者・労働者が社会保険の加入要件を満たした場合、該当する社会保険に加入させなければなりません。過去に加入歴がある場合は、雇用保険の被保険者証、年金手帳がある場合はそのコピーを提出してもらいます。

◆自動車・バイク・自転車通勤を許可する場合の提出書類
院長の許可を得て自動車、バイク、自転車等で通勤する場合は、次の書類を提出してもらいます。「任意保険証」「自賠責保険証」「車検証」「運転免許証」のコピー。自動車・バイク・自転車通勤申請書を提出してもらいます。

◆外国人を雇用する場合の提出書類
外国人を雇用する場合は「在留カード」を提出してもらい、在留資格をしっかりと確認する必要があります。

上記は一例となりますが、スタッフを雇用するということは、医院側が相当の責任とリスクを負うことになります。書面を取り交わしておかなかったことで、後からトラブルになった際「言った・言わない」の水掛け論になってしまい、司法判断を仰ぐ際に不利に働くケースが考えられます。医院を守るためにもしっかりと書面を取り交わし保管しておくようにしましょう。

1on1スタッフマネジメント型 経営コンサルタント(事務長代行)
ライトアーム代表 
五十嵐 伸好

歯科器材メーカーにて開業担当として200件以上の開業に携わり、大手ディベロッパーや商業施設との交渉により物件獲得、事業計画書の作成、開業資金の融資確保、医院内装のアドバイスなど、機械メーカーの枠を超えて開業までのすべてをとりまとめ、先生の評価をいただく。
その後、医療法人事務長となり多岐にわたる事務長業務(採用、人事、広報、渉外、経営、税務、労務など)を行い法人運営し、就任時から売上400%以上アップを達成する。現在は多忙な院長に代わってスタッフマネジメントを行い、院長が歯科医師として治療に専念できる環境、仕組み、働きやすい職場を構築することで離職率の低下と売上UPを実現。経営コンサルタントとして複数の院長の相談役、経営的右腕として活動している。

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