ボリビアにおける歯科医療の実態とは?

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ボリビアでの歯科医療活動を通じて
日本での歯科治療費は基本的に医療保険でカバーされているが、海外の場合、歯科治療費の全額を自己負担で支払うことが多い。私が歯科医療活動を行ったボリビアのコチャバンバでも同様で、歯科治療は医療保険の対象外であり、患者や家族の経済状況によって受けられる治療内容に大きな差が生じることを実感した。
私がボリビアという国で歯科医療を行う大きなきっかけとなったのは、7年前にボリビアのコチャバンバで歯科医療活動を行っていた歯科医師から御話を聞く機会があったことに由来する。ボリビアに2か月間滞在した経験があり、現地での生活や医療の実態を詳細に話して下さり、大きな感銘を受けたことを覚えている。話を御聞きしたのが2月だったが、居ても立っても居られず、3月にはボリビアでの歯科医療活動を仲介する"ProjectsAbroad"に申し込みを行い、4月にはボリビアの地に降り立っていた。
ボリビアでの歯科治療は日本のものと比較して予想以上に大きく異なっていた。例えば、タービンを使用する際に歯科衛生士や歯科助手にバキュームアシストをお願いすることが一般的だが、ボリビアの歯科医院では日本の歯科医院で必ず見かけるバキュームはなく、歯科衛生士や歯科助手自体いないことが現状である。上の画像を見ると、3wayシリンジとディスポーザルの排唾管はユニットに備え付けられていることが分かるが、バキュームはないことが分かる。では、どうするか?というと、水が口腔内に溜まると、歯科医師が患者にお願いし、一度起き上がってもらう。そして、患者自身がスピットンに水を吐き出すのである。もう一つ驚いたのは、歯科医師がサッカー観戦や、音楽鑑賞をしながら治療することが普通であることだ。ジャケリン先生(上画像右)の口腔内写真撮影のアシストをしていたとき、ジャケリン先生は携帯で音楽を流しながら撮影を行っていた。インターンに参加して初めて歯科治療を見学したときは衝撃が走ったが、どうやらボリビアの歯科医院では日常のようだ。南米人の気質だからこそ、受け入れられる歯科診療スタイルなのかもしれない。
私のボリビアでの活動の1日の流れを説明すると、まず午前中にスペイン語レッスンを2時間から3時間受講した。患者も歯科医師も英語を話すことができなかったため、医療現場で使えそうなスペイン語のフレーズや単語を集中的に学んでいた。レッスン終了後、ホームステイ先で昼食をとり、派遣先のクリニックに赴き、4時間ほど医療活動を行っていた。医療活動は派遣先のドクターの治療アシストがメインであったが、スペイン語が流暢になった頃には、麻酔や抜歯等も自身が率先して行うことが多くなった。歯科治療の流れや使用する器材は日本と大きな差異はなく、スペイン語でのコミュニケーションも1カ月でかなり上達したため、治療する上で戸惑うことは特に無かった。活動は平日のみなので、週末を利用してサンタクルスやラパスに小旅行に出かけ、現地に住んでいる日本人と交流することもできた。ボリビアでの生活は本当に貴重な経験であり、一生忘れないものになるだろう。
ボリビアで生活していて何よりも大変だったのは、基本的にボリビア人はスペイン語しか話せないことである。私のスペイン語がもう少し流暢であれば、歯科治療にもっと携わることができただろうし、ホストファミリーと日本についていろいろな話ができただろうと後悔している部分もある。しかし、現地での活動期間が長くなるほどスペイン語は上達する。現段階でスペイン語が全くしゃべれないとしても、時間とお金に余裕があるのであれば、ProjectsAbroadを通じて海外での歯科医療活動にぜひとも挑戦して頂きたい。私のように日本では決してできない貴重な経験をたくさんできることを保障する。
古川 雄亮(ふるかわ ゆうすけ)
  • 日本矯正歯科学会 所属

東北大学歯学部卒業後、九州大学大学院歯学府博士課程歯科矯正学分野および博士課程リーディングプログラム九州大学決断科学大学院プログラム修了。歯科医師(歯学博士)。バングラデシュやカンボジアにおいて国際歯科研究に従事。2018年より、ボリビアのコチャバンバで外来・訪問歯科診療に携わり、7月から株式会社メディカルネットに所属。主に、DentWaveやDentalTribuneなどのポータルサイトにおける記事製作に携わり、現在に至る。

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