「歯科医師国家試験」模擬試験の編集に携わる歯科医師をインタビュー!第三弾:歯科医師になって良かったこと

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前回まで、古川先生のご経歴と、歯科医師国家試験の傾向と対策を紹介しました。

早くも最後となる第3弾のテーマは「歯科医師になって良かったこと」です。仕事やプライベートを含め、歯科医師となってからどのようなメリットを実感されているのか、要チェックです!

*本記事では、古川先生から戴いたお写真(*無断転載など禁止)をご共有いただきました。海外で活動中のお写真が中心で、インタビュー記事内にコラージュ画像として所々紹介していきます!

▲スウェーデン イエテボリ大学歯周病科での研修修了

「歯科医師国家試験」模擬試験の編集に携わる歯科医師をインタビュー!
第三弾:歯科医師になって良かったこと
インタビュアー:大学を6年間で卒業後、1回で歯科医師国家試験に合格し、研修医期間を終えて博士号を修了後、歯科臨床問わず様々な活動をされておりますが、歯科医師になって一番良かったことは何でしょうか?


古川 雄亮 先生
挙げるとキリが無いのですが、一番のメリットは「歯科医師免許は取得が難しい国家資格であるので、持っているだけでも社会的に高く評価され使い道が多いこと」だと思います。


インタビュアー:CBT・OSCE・卒試を通過後に受けることのできる歯科医師国家試験に合格して初めてもらえる国家資格ですからね。


古川 雄亮 先生
その通りです。民間資格でも難しい試験は沢山ありますが、誰でも受けられる試験が一般的ですので、持っていても国家資格ほどの希少性がなく高い評価が得られにくいのが正直な所です。例えば、私の場合、英検準一級やTOEIC900点のスコアを持っていますが、国家資格ほどの評価を受けた記憶は無いですね(泣)


▲フランス ソーシャルビジネスカンファレンス
(写真中央; 2006年ノーベル平和賞受賞のムハマド・ユヌス氏との記念撮影)


インタビュアー:TOEIC900点の取得者は受験者の3%のみが該当するハイスコアだと思いますが、評価されない理由は何だとお考えでしょうか?


古川 雄亮 先生
①民間資格で誰でも受けられて希少性に欠ける、②英語を話せるということが日本社会でも当たり前の風潮になっている、③TOEICの場合はリスニングとリーディングがメインで、スピーキングとライティングの能力までは測っていない、等でしょうか。TOEIC900点を取得しても普段話す機会が無いので、英単語が咄嗟に出てこないですね。ドイツの国際デンタルショーを訪れた際も英会話で苦労しました(泣)。


インタビュアー:フランスのベルサイユの学会で英語によるプレゼンテーションを行った時も大変でしたか?


古川 雄亮 先生
英語プレゼン自体は事前準備をすれば大丈夫です。PowerPointのノート機能を活用すれば問題ありません。読めば良いだけですので英語ができなくても発表はできます。問題はプレゼン後の質疑応答です。プレゼンでは聴講者から想定外の質問が来ることも多々あり事前準備は困難です。私のフランスのプレゼンでも想定外の質問が飛んできてしまい、話し慣れてないこともあり最終的に曖昧な回答をしてしまった覚えがあります。微妙な雰囲気になったので、今でも恥ずかしい思い出の一つです(泣)。


▲ドイツ ケルン国際デンタルショー2019


インタビュアー:とはいえ、TOEICのスコアが高いので、外国人の患者さんが来ると対応を任されたりすると思うのですが、実際どうでしょうか?


古川 雄亮 先生
仰る通り、外国人の対応を任されることは非常に多いです。大学時代に自分自身で英語の勉強をしてきたことは役に立っています。現在も海外のラボと英語でやり取りしておりますので、英語の勉強自体は決して無駄でないです。英語の医療ニュースや論文を普段から読んでいますし、勉強してきて良かったと思っています。


インタビュアー:スペイン語検定も合格されたと伺いましたが、そちらも周囲に評価されないでしょうか?


古川 雄亮 先生
日本では仕事や日常生活でスペイン語を使うような機会が全く無いので、評価に繋がらないですね。スペイン語を喋れる患者さんが来院されることもありますが、日本語でのコミュニケーションが可能な場合が多いです。スペイン語は南米での日常生活や歯科治療の際に本当に役に立ちました。ちなみに、南米の方は基本的に英語を喋れないので、マチュピチュ遺跡やウユニ塩湖に行きたい方はスペイン語の日常会話をある程度勉強しておくのが良いかと思います。航空会社のスタッフでも英語を話せない方が多く、本当に苦労しました。後は高山病や寒暖差に気をつける必要があります(高山病で体調を崩して舌苔がまだら模様になりました)。



▲南米での歯科ボランティアの際に訪れたマチュピチュ遺跡・ウユニ塩湖


インタビュアー:これから南米に行かれる方々の参考になりますね!ご自身のこれまでの経験を顧みても、国家資格の歯科医師免許は高い評価を受けているのですね?


古川 雄亮 先生
医師免許という括りになるので、取得すること自体が社会的信用に繋がりますし、毎年1,000人以上落ちる歯科医師国家試験を突破して取得できる資格で難易度も高く、持ってるだけでも努力面で少なからず評価されると思います。歯科医師しかできない仕事(専門性)の観点からも転職しやすいですし、臨床スキルに応じて給与も自ずと上がります。加えて、医学部よりも入学難易度は低く、高齢者の数は今後も増えていくことから歯科の必要性は増していくでしょう。新型コロナウイルスの影響による雇用形態の目まぐるしい変化を考慮しても日々の努力を怠っていなければ食いっぱぐれることは無いと思います。


インタビュアー:新型コロナウイルスの流行で潰れているお店が増えている世の中ですし、歯科医院の経営にも悪影響が出ていると思います。確か歯科医療従事者の新型コロナウイルスの感染リスクは非常に高いというニュースがありましたよね?患者数の減少による医院の経営悪化や歯科医師の求人の減少も起こったと思いますが、実際どうでしたか?


古川 雄亮 先生
新型コロナウイルスが流行して緊急事態宣言が初めて出た頃に転職活動をしましたが、多くのクリニック様から内定をいただき、すぐに就職することが出来ました。歯科医師の数は多いと言われてはいますが、歯科医師の求人には歯科医師しか応募できないので、歯科医師が足りない所には足りないのが現状です。同じことが歯科衛生士にも言えると思いますが、新型コロナウイルスの影響による転職のしにくさは感じませんでした。患者数の減少についてですが、マスク生活になった影響か矯正を始める患者さんが増加したという話もありますし、歯科診療科目によるかもしれません。例えば、訪問歯科は大きな影響が現在も出ていると思われます。施設入居者に新型コロナウイルスの感染が確認された場合、出入り禁止となります。実際に私が診ていた患者さんも感染し、立ち入りできなくなってしまいました。



▲ボリビア コチャバンバでの歯科ボランティア生活


インタビュアー:冒頭の話に戻りますが、民間資格と国家資格をロールプレイゲーム(RPG)で例えるなら何をイメージしますか?


古川 雄亮 先生
RPGで表現するなら、民間資格は誰でも購入できる武器や防具で、国家資格は冒険を進めるための必須アイテム(宝箱を開ける鍵)のような物でしょうか。武器や防具を身に付けていても鍵がなければクリアできません。民間資格を沢山取得するよりも国家資格を何か1つ持ってる方が重要だと思っております。


インタビュアー:面白い例えですね。歯科医師(歯学博士)の資格が臨床以外で役に立つことはありますか?


古川 雄亮 先生
沢山ありますね。プライベートを例に挙げると、融資を受けられやすい、マンションを借り(購入し)やすい、医師限定のイベントに参加できるなどでしょうか。インターネットで検索してみると意外と色々なイベントが開催されてます(笑)


▲大学院時代に飼育していたノックアウトマウス(実験時に撮影)


インタビュアー:お仕事においてはどんなことに役立ってますか?


古川 雄亮 先生
医療系の記事監修・執筆に携わる顧問業、歯科医師国家試験模擬試験の編集業務、企業コンサルティング、矯正で使うマウスピースの製品管理、歯科系のSNS・ブログ運営にも携わさせていただいております。最近では専門性を活かしてライブ配信も始めてみました。朝5−6時に起きて配信しております。


インタビュアー:他に挑戦したいことはありますか?


古川 雄亮 先生
2つあります。文章を書くことが好きで他人に褒められることも多いので、これまで経験したことを電子書籍にまとめて出版することです。もう1つは、VRやMRを勉強して歯科の分野に活用することでしょうか。VRやMRは歯科大学の教育課程にも取り入れられていますし、私も非常に興味のある分野です。VR関連のセミナーに参加したこともありましたが、難しすぎてついていけなかった記憶があります(泣)



▲歯科医師向けのセミナーや実習への参加の様子


インタビュアー:様々なことに挑戦されたいようですが、体調管理には十分気をつけないといけないですね!


古川 雄亮 先生
食事管理・運動・睡眠を大事にし、歯科医師の軸を太くすることを考えて色々なことに挑戦していきたいと思います。心に余裕を持たせるために、仕事だけするのではなく、趣味にも時間を割こうかなと。いつかまた世界一周旅行をしたいと思っていますし、海外ボランティアもやりたいです。


▲SNS投稿用の写真集(沖縄のジャッキーステーキ、
静岡のさわやかハンバーグなど、地方の名物が中心)


インタビュアー:今後の古川先生のご活躍に期待しております!最後に歯科医師国家試験を控える受験生への応援メッセージをお願いします!


古川 雄亮 先生
私自身は歯科医師になれたおかげで、現在のように個人で様々な企業様からお仕事を頂戴しております。大学院時代や南米での歯科ボランティアの経験も歯科医師国家試験に合格してできた経験です。ちなみに、提供している写真で紹介しているのは海外での研究活動がメインですが、大学から出張費や研究費が出ているので、実費負担はほとんどありませんでした。歯科医師になって大学院に入学する機会があれば、同じような経験が皆さんもできるかもしれません。国家試験に合格すれば良いことは沢山起こりますが、大変なことも多いです。日々勉強して臨床スキルを向上させる必要がありますし、大学院に入ると研究と臨床の両立で時間に追われる毎日です。実際は楽しいことよりも苦しいことの方が多いかもしれません。歯科医師免許を取得すること自体は決して無駄になりません!歯科臨床に従事しない歯科医師の方を数人知っていますが、歯科医師免許を持っているだけで有利に動いている方もいらっしゃいます。国家試験に受かるまで諦めずに頑張ってほしいと思います!


インタビュアー:応援メッセージありがとうございました!歯科医師国家試験に受かれば、古川先生と同じような経験ができるかもしれないですね!受験生の皆さん、体調管理に気をつけて勉強頑張ってください!


古川 雄亮(ふるかわ ゆうすけ)
日本矯正歯科学会 所属

東北大学歯学部卒業後、九州大学大学院歯学府博士課程歯科矯正学分野および博士課程リーディングプログラム九州大学決断科学大学院プログラム修了。歯科医師(歯学博士)。バングラデシュやカンボジアにおいて国際歯科研究に従事。イエテボリー大学歯学部 "Oscillation course" 修了。2018年より、ボリビアのコチャバンバで外来・訪問歯科診療に携わり、7月から株式会社メディカルネットに所属。主に、DentwaveやDentalTribuneなどのポータルサイトにおける記事製作に携わり、2019年7月よりメディカルネットの顧問。離島歯科医療に従事後、 本島で歯科臨床に従事する傍ら、記事の監修・執筆、歯科医師国家試験模擬試験の編集業務、企業コンサルタント、マウスピースの製品管理、オンライン診療などを個人事業主として行っている。

記事提供

© Dentwave.com

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