摂食障害と歯科:歯科医院における初期徴候の識別

摂食障害と歯科:歯科医院における初期徴候の識別

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英国、ラグビー: 摂食障害の団体や慈善団体によると、英国では125万人から340万人が摂食障害の影響を受けていると言われています。この症状は、その人の精神衛生や身体イメージだけでなく、口腔内の健康にも多大な影響を及ぼす可能性があり、そのため患者の口は摂食障害の主要な指標となり得ます。この点に関して、口腔保健財団は最近、摂食障害の兆候や症状を認識する上で、歯科医師、歯科衛生士、歯科セラピスト、歯科看護師が果たす役割を強調しています。

様々な研究によると、摂食障害は最も致命的な精神疾患の一つです。英国では、約27万5千人がむちゃ食い障害、23万5千人が過食症、10万人が拒食症に罹患していると言われています。嘔吐によるパージはしばしばエナメル質の侵食を引き起こしますが、むちゃ食いでは砂糖の過剰摂取によるむし歯や歯の喪失のリスクを高める可能性があります。また、摂食障害の方はビタミンなどの栄養素の吸収が不十分なことが多く、栄養失調も口の中に反映されることがあります。その他、摂食障害に関連する歯科疾患としては、歯の知覚過敏、ドライマウス、口臭、唾液腺の肥大などがあります。

歯科医師は重要な役割を担っている

口腔の健康の重要性を訴える「全国笑顔月間」キャンペーンを踏まえ、口腔保健財団はこのほど、歯科医師は定期的な歯科検診で摂食障害を早期に発見することができる立場にあると述べています。
英国にある摂食障害の慈善団体「Beat」の臨床アドバイスコーディネーターであるブルック・シャープ氏は、「摂食障害は見た目だけではわかりにくいため、長い間発見されないことが多い」と述べています。しかし、摂食障害の身体的な指標は口の中に現れるため、歯科医がそれをいち早く観察することができるかもしれないと考えているそうです。
口腔保健財団の最高責任者であるナイジェル・カーター博士が指摘するように、歯科医師は通常の歯科検診で口腔内の硬組織と軟組織を調べ、歯の侵食の兆候を探すことはすでに行われています。また、嘔吐の原因となる異物の挿入による口腔内の傷害の可能性を発見する機会にもなっています。

「英国は摂食障害を早期に診断するためのはるかに優れた戦略を必要としています」
― ナイジェル・カーター博士、オーラルヘルス財団

この問題について、カーター博士はプレスリリースで次のようにコメントしています。「英国は、摂食障害を早期に診断するためのはるかに優れた戦略を必要としています。摂食障害が疑われたり、認識されるのが早ければ早いほど、より効果的な治療が可能になります。」 と述べています。

シャープは、この慈善団体がすでに摂食障害を認識し、次のステップで患者に助言するために必要なツールを歯科専門家に提供するために行動を起こしていることを述べました。「ビートでは、現在、歯科医師、栄養士、薬剤師を含むさまざまな医療部門に健康について教育するためのウェビナーシリーズに取り組んでいます。このトレーニングの目的は、専門家が摂食障害の兆候を識別し、患者をサポートする方法を理解することにあります。」

しかし、彼女は、歯科チームが摂食障害の患者に遭遇することはあっても、その状態を治療することは彼らの責任ではない、と指摘しました。その代わり、患者さんに専門家の助けを求めるように指示する必要があります。「摂食障害に対する認識を高めることは重要ですが、摂食障害を診断したり治療したりすることは決して歯科医師の役割ではなく、患者は常に専門家のサポートを受けるよう案内されなければなりません」と彼女は締めくくりました。

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ライター

Iveta Ramonaite, Dental Tribune International

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