ティトリーなど歯科領域のアロマテラピー

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日本アンチエイジング歯科学会認定メディカルアロマコーディネーター養成講座

歯科領域のアロマテラピー千葉栄一さん(歯科医師)

 歯科医院での精油のいい香りは、鼻腔嗅皮まで到達することではじまる。香りは知覚する前に感情が現れる。脳神経を刺激する待合室で患者さんが、「まあいい香りがする。この医院はいいに違いないと思う。また、受付の人の感じがとてもいいと患者さんは、「この医院はいい医院で、先生もいい先生に違いない」と先入観を植えてつけることができる可能性が高い。 逆に嫌な臭いがある。嫌な香りだと負のイメージを患者さんに植えつける。ラベンダーの香りは気分をリラックスさせることがわかっているが、子どもは臭いという。このため小児歯科にラベンダーの香りは合わない。子どもが好きなのは、柑橘系の香りである。無難な選択肢として、柑橘系の精油がいい。あるいは薬理効果のあるものを入れるといいと思う。 私の診療所では、ドアを開けたらいい香りがするようにディフューザー(芳香拡散器)をドアの近くに置いている。基本的に嫌いな香りを避けるため、三種混合の精油を使っている。ブレンド比は適当だ。キャンドル、アロマポット(電熱式)を使うと精油が加熱し、精油成分が酸化させ、品質を劣化させる。香りが強くなるだけで、精油本来の効能である殺菌効果はなくなる。ディフューザー(芳香拡散器)を使うと、室内の菌はどんどんと減っていく。 九州のある外科病院の病室の浮遊殺菌の変化では、オペ室レベルまで菌が減ったというデータがある。したがって我々は、患者さんが、「いい匂いですね」といったときは、「匂いだけではないんですよ。浮遊菌を殺す殺菌効果もあるんです」といえる。アロマポットを使う必要はない。ラベンダーは標高800〜1000m付近で生育したラベンダーの精油は、酢酸リナトリウムを40%近く含有する。一方、それより標高が低いところでは、ラバンジンという種類で、姿形はラベンダーに似ているが違う。このラバンジンはカンファー(中枢神経刺激成分)が多く含まれている。そこでラバンジンをラベンダーと思い込んで大量に芳香拡散すれば危険を招きかねない。ラベンダーでよく寝られない、と人がいるが、「それはラベンダーではなく、安価なラバンジンでしょう」いいたいが、いっていない。精油の成分から作用特性を知り、適切な方法で使用するためにも、成分分析が重要である。 また、日本では残念ながら精油は雑貨である。フランスのように医薬品扱いに、将来的にはなってほしいと思っている。100%ラバンジンなのに、ラベンダーとして売っている業者もいる。大阪の麻酔科医のデータでは、ラバンジンにはカンファー(中枢神経刺激成分)が6・5%入っている。植物には農薬が含まれているので、雑貨扱いのオイルを見抜く必要がある。あくまで認証オイルを使用する。 待合室に農薬を噴霧しない。農薬を噴霧する結果になったら、アロマテラピーが健康被害になるなら止めた方がいい。それは医療ではなくなる。安全な精油を使用することが、私の基本である。アロマポット(電熱式)に子どもが、指を突っ込んで火傷をしたら必ず裁判沙汰になる。ディフューザー(芳香拡散器)をあくまで使用する。製薬会社の精油もあるので、精油の選択はラッキーな時代となった。安全な精油を使って、アロマテラピーをスタートしてほしい。ISO(国際)規格になると思うが、ラベンダー(真性〉はフランスのフロバンス地方のラベンダーを使用する。ローズは高いので待合室では使えない。精油の使い分けは、春は花粉症予防、夏は清涼感、秋はリラックス、冬は冷えるので風邪予防などを考えている。ユーカリ属の精油は、吸い込んだとき染み通るような心地よさがあり、ディフューザー(芳香拡散器)を用いた吸引や塗布で使用するのが効果的である。ユーカリラジアタは、風邪でのどや鼻の具合が悪いときうがいをすると効果てきである。歯科の治療薬としては、ユーカリ、ワニス用塊、グアヤク、ビバオイル、青森ヒバはヒノキ科などだ。青森ヒバは最高の建築材で、金色堂に使用されている。ミイラを収めているのも青森ヒバである。ヒノキチオールの抗菌特性である。ヒバは出血を止めたり、炎症を抑える効果がある。ティトリーは細菌がある。これまで内服しても副作用などトラブルの報告がない。これが最大の売りである。花粉症、アトピー性アレルギー、喘息、感冒などの万能薬とされている。第二世界大戦までオーストラリアでは全兵士にティトリーを渡していた。戦後、ファイザー社が抗生剤を多量に販売したため、精油は治療用として用いられなくなった。(以下略)

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