【Dr/DH連携方法】歯周基本治療

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歯周基本治療を成功に導く上で重要となるのが、歯科医師と歯科衛生士が情報共有を行いながらチーム医療として取り組むことです。今回は歯周基本治療を行う際の「歯科医師と歯科衛生士の連携方法」について詳しく解説します。

歯周基本治療において歯科医師と歯科衛生士が連携することの重要性

歯周基本治療を行う上で必要となるのは、患者情報の共有だけでなく、歯科医師と歯科衛生士の「歯周治療に対する向き合い方」の共有です。歯科医師と歯科衛生士が同じ認識を持っていることが重要であり、両者の間に意識差・技量差があることは好ましくありません。

歯周基本治療の流れと役割

歯周基本治療の流れと歯科医師・歯科衛生士それぞれの役割は下記の通りです。

1.医療面接

医療面接を行い下記の項目の患者情報を収集します。歯科衛生士が行うことで患者はリラックスし、コミュニケーションが図りやすい傾向にあります。

● 主訴
● 既往歴・現病歴
● 全身的リスク因子
● 環境リスク因子
● 歯科医院受診歴
● 口腔内の健康についての価値観

2.歯周病診査・検査

歯周病の状態を把握するための診査・検査を行います。主に歯科衛生士が行います。

● 視診
● 口腔内写真撮影
● 細菌検査
● 歯周病検査​​​​​​
● エックス線検査(撮影は歯科医師が行う)
● 咬合診査​​
● PCR

3.診断

歯周病診査・検査の結果をもとに、歯科医師が歯周炎の状態を診断をします。

4.治療計画の立案

歯科医師と歯科衛生士がカンファレンスを行うことで、より効果的な治療計画の立案が可能となります。患者への説明時には歯科衛生士も同席し、今後の治療方針にずれがなく、同じベクトルで歯周基本治療が行えるようにしましょう。

5.歯周基本治療

歯周基本治療の内容は多岐にわたりますが、歯科医師・歯科衛生士が行う内容はそれぞれ下記の通りです。

歯科医師が行う歯周基本治療

● プラークリテンションファクターの除去(不適合修復・補綴物、歯列の異常、歯の形態異常、食片圧入、口腔前庭の異常、口呼吸)​​
● 抜歯​​
● う蝕治療​​
● 咬合調整​​
● 暫間固定

歯科衛生士が行う歯周基本治療

● OHI(口腔衛生指導)​​
● SRP​​
● PMTC​​
● プラークリテンションファクターの除去(歯石、食片圧入、口呼吸)​​
● 悪習癖の修正

6.再評価・検査

再評価で行う検査は、歯周基本治療前に行った内容と同様の検査を歯科衛生士が行うほか、歯科医師がう蝕や根尖病巣、歯根破折の有無などの評価・検査を行います。

連携時のポイント

患者は「歯科医師に言えば歯科衛生士にも伝わっている」、「歯科衛生士に言えば歯科医師にも伝わっている」と思いがちです。そのため歯科医師と歯科衛生士の説明内容に違いがあると、患者はとても不安になります。 ​​
​​
共有した患者情報は診療の前に必ず確認し、説明や指導の内容はもちろん何気なく発言する内容でも歯科医師と歯科衛生士で食い違いがないように心がけましょう。

歯周基本治療において歯科医師が歯科衛生士に求めること

歯周基本治療において歯科医師が歯科衛生士に求めることは、技術のスキルだけではありません。下記のような歯科衛生士が必要とされます。

治療にマイナスイメージを持たせない

施術時のスケーラー操作はもちろんですが、ミラーテクニックやバキュームテクニックで「痛くない」「不快でない」ことが重要です。常に患者の気持ちを読み取るように心がけ、細やかな心配りをしましょう。

患者に安心感を与える

歯科医院には「痛い・怖い」といったネガティブなイメージを持つ患者も少なくありません。スムーズに信頼関係を構築するには、患者に合わせた対応で安心感を与えることが重要です。治療に対する理解や協力を得られるよう、常に穏やかに患者に寄り添った対応を心がけましょう。

中断させない治療を考える

日々の生活習慣の中で、長期的に継続可能なOHI(口腔衛生指導)が歯周基本治療の成功につながります。歯周基本治療の中断は歯周疾患の悪化の原因となるため、技術・知識・対応面のバランスが重要です。

常に最終目標を意識する

歯周基本治療の段階から患者教育を行い、患者の意識を「歯の掃除」ではなく「歯周病の治療」へと向けさせることが重要です。歯科受診に対する意識変容と行動変容を促すことで、全身の健康やQOLの向上へつなげることができる歯科衛生士でなくてはならないのです。

歯周基本治療において歯科衛生士が歯科医師に求めること

歯周基本治療を行う上で、歯科衛生士は歯科医師に下記のようなことを求めています。

必要に応じたアプローチ

歯周基本治療を進める中で患者に説明や指導を行う際、歯科医師の立場からでないと効果が出ない事柄もあります。その場合は歯科医師が患者にアプローチし、歯科衛生士がフォローするという関係性が求められます。

徹底した情報共有

上記の「連携時のポイント」でも解説しましたが、患者は歯科医師と歯科衛生士との間で情報共有ができているという前提で話をします。そのため歯科医師と歯科衛生士で話す内容に食い違いがあると患者は不安になり、不信感へとつながります。徹底した情報共有が求められます。

まとめ

歯周基本治療を成功へ導くには、患者が来院するたびに「良くなっている感じがする」と実感してもらうことが大切です。患者に痛みを感じさせることなく歯周治療の成果が出て、さらに患者に不信感や不安を抱かれないような正しい意思疎通ができ、QOLの向上を期待できると継続的な来院につながります。

歯科医師と歯科衛生士が密に連携を図り、患者を含めチームとして歯周基本治療に取り組んでいきましょう。

執筆 高山 由衣

日本大学松戸歯学部附属歯科衛生専門学校卒業。歯科衛生士免許取得後、一般歯科、予防歯科、訪問歯科を主軸に勤務。現在、臨床業務を行いながら、医院の仕組みづくりやスタッフ育成、チームマネジメントに携わる。2021年7月歯科衛生士のオンラインサロン「99.99〜フォーナイン〜」を立ち上げる。
Instagram @yui_takayama/

校正・編集者 ミホ

東京医科歯科大学卒業後、都内歯科大学病院に勤務。退職後はフリーランスの「歯科衛生士ライター」として活動し、ライターの指導や教育、ディレクションも行う。自身で制作・運営を行なっていた歯科メディアは販売を達成。大学の卒業研究では日本歯科衛生学会の学生研究賞(ライオン歯科衛生研究所賞)を受賞。現在はDentalMonitoringJapanに勤務し、2児の母でもある。
Instagram:@toothteethtokyo

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