歯科医師向け 開業支援・経営支援コラム Vol.8【設計・施工】設計する際に詰めておくポイント コンセプト編

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 今回はコンセプトに沿って医院を設計するためのポイントについてお話させていただきます。

①メインターゲットとしている患者層に合った設計になっているか?

歯科医院の新規開業でコンセプトを決める際に、どんな患者さんに来て欲しいかターゲット選定をおこなうはずです。
つまり、メインのターゲットとして定めた患者さんの価値観や好みに合わせた設計にすることが重要です。

【事例① 子供メインのキッズ歯科】

お子さん中心のキッズ歯科を作る場合、お子さんが怖がらず楽しんで来院してくれることがとても重要です。
例えば、キャラクターの入った壁紙を使って明るく楽しい雰囲気を作る。キッズルームで待ち時間に遊んでもらえるようにして「歯科医院に来ること=楽しいこと」と思ってもらえるように工夫する。
ユニットの天井にモニターを設置して、治療中にお子さんが動画に集中し恐怖心を感じずに処置できるようにする。
小さなお子さん(乳幼児)もいらっしゃるので、トイレにオムツ交換台を設置するなどの工夫が考えられます。

【事例② 自費診療中心の歯科医院】

自費診療がメインの歯科医院を目指す場合、「この医院なら高額な治療費を支払ってでも治療を任せて大丈夫そうだ」と思っていただくことが重要です。
自費診療を選択する患者さんの多くは、インターネット等で信頼できそうな医院を探し、治療内容もご自身で深く調べているケースがよく見受けられます。つまり、自費診療の患者さんを相手にするということは、これだけ高い意識と知識を持った方と向き合うということなのです。つまり自分をしっかり治療してくれるだけの技術と知識、ハイレベルな医療サービスを求めているのです。

そんな患者さんが初めて来院する際、医院の外観や待合室の印象はとても重要です。 高級感があり落ち着いた雰囲気の外観や待合室。患者さんやスタッフが密集しないゆとりのある空間設計や動線。 患者さんが落ち着いてじっくり話ができるカウンセリングルームの設置。 他の患者さんに話が聞こえたり顔が見えることが無いよう、プライバシーが確保された個室診療室を用意するなど、様々な配慮が求められます。

②メインでおこないたい治療をするのに適した設計になっているか?

コンセプトを決める際に、先生がどんな治療を中心に診療をおこないたいのか考えていると思います。
先生がメインで取り組みたい治療をするために適した設計があるので、しっかり考慮してデザイナーに伝える必要があります。

【事例① 口腔外科を中心におこなう場合】

口腔外科を中心に診療をおこないたい場合、親知らずの抜歯やインプラントのオペなど外科手術がおこなわれるケースが多くなります。 外科手術をおこなうということは、それ相応の設備と衛生管理が求められるので、オペ室や個室診療室を予め設置しておくなど配慮が必要です。

【事例② 予防歯科やレーザーを使った治療をおこなう場合】

メンテナンスでエアフローを使ったケアを提供したり、レーザーが必要な治療をおこなう場合、専用の医療機器が必要になります。 医療機器をユニットに持ってきても余裕をもって治療ができるだけのスペースを確保したり、電源を確保するなど考慮しておくべきです。

③コンセプトを実現させるため、ベースとなる基礎工事がしっかりできているか?

歯科医院を開業し治療をスタートさせるためには、レントゲンやユニットなどをはじめ、色々な医療機器を入れる必要があります。 きちんと機械が動作し、使いやすい導線で設置ができるよう、電源や配管などきちんと基礎工事をおこなってもらう必要があります。 歯科医療で使う医療機器は高い電圧を必要とするものがあったり、ユニットにおいても配管や動力などきちんと考慮しておかなければならないポイントがあります。
そのあたりを事前にしっかりデザイナーさんと話し合い、詳細を詰めておくことが重要です。

④購入する医療機器や設備など正確に共有しておく

開業時に購入する予定の医療機器、もしくは開業後に購入・設置する予定がある医療機器に関しては、事前にデザイナーと共有しておくようにしましょう。
例えば自院でセラミック治療を完結させたいのでセレックを導入したい。 感染予防対策を徹底させるためにクラスB滅菌機などの機材を揃えたいなどの要望がある場合、それ相応のスペースを確保しておく必要があります。 またそこまで大型の機械でなくても、数が増えると収納場所などを考慮する必要がでてきます。
できる限りこれらの情報は事前にデザイナーと共有しておくことをおすすめします。 (もし可能であれば、メーカー名、購入予定機種を共有しておくと安心です)

事務長代行および事務長養成型 経営コンサルタント
ライトアーム代表 
五十嵐 伸好

歯科器材メーカーにて開業担当として200件以上の開業に携わり、大手ディベロッパーや商業施設との交渉により物件獲得、事業計画書の作成、開業資金の融資確保、医院内装のアドバイスなど、機械メーカーの枠を超えて開業までのすべてをとりまとめ、先生の評価をいただく。
その後、医療法人事務長となり多岐にわたる事務長業務(採用、人事、広報、渉外、経営、税務、労務など)を行い法人運営し、就任時から売上400%以上アップを達成する。現在は事務長代行もしくは事務長養成型の経営コンサルタントとして運営に困っている院長の右腕として活動している。

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