歯科医師向け 開業支援・経営支援コラム vol.7【設計・施工】設計と施工の依頼先を選定する
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医院のコンセプトが固まると、いよいよ医院の設計・施工に入るのですが、こちらに関しては院長自身ですべておこなうのは現実的に無理なので、その道のプロにお願いすることになります。おおまかに分類すると、院長のコンセプトをヒアリングし、それを実現させるための設計図をつくる「設計会社(設計事務所)」と、できあがった設計図を元に実際に工事をおこなう「施工会社」に分けられます。
世の中には星の数ほど設計会社や施工会社がありますが、歯科医院を実際に設計し、作り上げるためには、歯科業界のことを熟知し、これまで歯科医院を手掛けた実績が豊富な会社を選ぶことをおすすめします。歯科医院=医療機関なので、医療法で定められた基準をクリアしていないとそもそも医院を開設することができません。また、歯科医院の場合は床下に配管を設置したり、レントゲンやコンプレッサーなど医療機器や設備を設置することがほとんどなので、機材の特徴や必要な電圧など熟知していないと後でトラブルのもとになります。過去に歯科医院を手掛けた実績がある会社なら、そのあたりも経験し熟知しているはずですので、業者選定の際のひとつの判断基準にしていただくとよろしいかと思います。
また、歯科を得意としている設計会社や施工会社はひとつではなく何社も存在します。当然会社ごとに特徴やスタンス、ポリシーなどが異なるので、どこにお願いするかによって出来上がる医院は変わってきます。ひとつの設計会社・施工会社だけでなく、ぜひ複数の業者から話を聞いてみて比較検討していただければと思います。院長のコンセプトや価値観に合った会社を選ぶことが、開業を成功させるための重要なポイントとなります。なお、設計会社・施工会社選びの際に重視していただきたいポイントがあります。それは「院長の話をしっかりと聞いてくれる業者さんを選ぶ」ということです。つまり院長のコンセプトや理念をしっかり理解した上で、設計・提案してくれる会社であることがとても大切です。設計や施工に関しては院長の専門外のジャンルなので、どうしても専門家である業者さんの意見や見解に従わざるを得ない空気になることがあります。もちろんプロとしてのアドバイスを素直に聞くことも大事なことなのですが、院長の話をあまり聞かず一方的に提案を押し付けてくるような業者さんは避けた方がよいでしょう。
最後に、設計会社や施工会社を選ぶ際にやった方がよいことを2つほど紹介させていただきます。まず1つ目は、実績としてプロデュースした歯科医院を実際に見てみることです。「百聞は一見に如かず」と言いますが、言葉で色々と説明されるより、実際に作った医院を目の当たりにした方がイメージもわき、設計・施工業者さんの特徴がよりわかります。2つ目は、身近で開業したドクターに直接話を聞いてみるということです。日頃から懇意にしているドクターなら、自分が開業した時の苦労や施工業者さんの対応など、リアルな感想や情報を教えてくれるはずです。何人かに聞いてみると、業者選定のポイントが見えてくると思うので、ぜひそれらの情報を参考にしていただければと思います。また、懇意にしているドクターが満足しているようであれば、その業者さんを紹介してもらうというのも一つの手です。
以上、設計と施工の依頼先を選定する際の注意点やポイントについて説明させていただきました。ぜひご自身が開業する際の参考にしていただければ幸いです。
ライトアーム代表 五十嵐 伸好
歯科器材メーカーにて開業担当として200件以上の開業に携わり、大手ディベロッパーや商業施設との交渉により物件獲得、事業計画書の作成、開業資金の融資確保、医院内装のアドバイスなど、機械メーカーの枠を超えて開業までのすべてをとりまとめ、先生の評価をいただく。
その後、医療法人事務長となり多岐にわたる事務長業務(採用、人事、広報、渉外、経営、税務、労務など)を行い法人運営し、就任時から売上400%以上アップを達成する。現在は事務長代行もしくは事務長養成型の経営コンサルタントとして運営に困っている院長の右腕として活動している。
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