歯科医師向け 開業支援・経営支援コラム vol.2「あなたにぴったりの物件選び」

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「物件選び」について

 勤務医のドクターが開業を目指す際、もっとも重要なポイントのひとつが「物件選び」です。これから開業するドクターが、臨床面、経営面共にどんなに優秀だったとしても、物件選びを間違えてしまうと、後々集患や採用などの面で大きな苦労を背負うことになります。しかも物件は一度決めて開業してしまうと後から移転することはなかなか難しいので、慎重におこなう必要があります。

 さて、今回は「あなたにぴったりの物件選び」というテーマですが、ぴったりの物件とはどのような物件でしょうか?結論からお伝えすると、ドクターが思い描いている理念・理想・ビジョンを実現させやすい物件かどうかだと思います。当然、理念・理想・ビジョンはドクターごとに異なりますし価値観や考え方も千差万別です。つまり、ひとことで「これが正解」というものはありません。ですので、まずはどんなクリニックを開業したいのか?どんな患者さんに来てほしいのか?どのような理念で治療していきたいのか?など、医院のコンセプトや方針をしっかりと考え、明確化することが大切です。

 そして、医院のコンセプトや方針が固まりさえすれば、それを実現させるための要素や条件が明確になってくるので、あとはそれらを満たした物件探しをおこなえばよいのです。

なお、物件を選ぶ前に最低限考えていただきたいのは以下のような項目です。

  • 都市部で開業したいのか?それとも地方や郊外で開業したいのか?
  • テナントで開業したいのか?それとも戸建てで開業したいのか?
  • 予算はどれくらいまでかけられるのか?
  • どのような患者さんに来てほしいのか?
  • どんな治療を売りにしていくのか?
  • 物件のある地域の特性をきちんと把握できているか?
  • 競合する医院の数、実力、人気(認知度)などを把握できているか?
  • 物件のある場所の人の流れ、視認性はしっかりと確保できるのか? など

 とはいえ、歯科診療所に適した物件を一人で選ぶのはなかなか難しいというのが現実なので、医院開業コンサルタントなど専門家に相談し情報を集めるのもひとつの手です。

 なお、多くの医院開業コンサルタントは「診療圏調査」というものをやってくれるので、開業する場所がある程度決まっているようなら、こちらのサービスを利用してみるのも良いと思います。こちらのサービスを使うと、その地域の人口(昼間・夜間)、地域の世帯所得、競合医院数など、様々な情報が得られ、物件選びをおこなう際の大きな判断材料になります。

 最後になりますが、ドクターの希望を100%満たす物件というのはなかなかありませんので、やはりどこかで妥協して折り合いをつけることも大切です。とはいえ「ここだけは譲れない」というポイントまで曲げてしまうと、後から後悔することになります。物件選びをおこなう前に、希望する理想の物件の条件や、ここまでなら許容できるという点をまとめておくとよいでしょう。

事務長代行および事務長養成型 経営コンサルタント
ライトアーム代表 
五十嵐 伸好

歯科器材メーカーにて開業担当として200件以上の開業に携わり、大手ディベロッパーや商業施設との交渉により物件獲得、事業計画書の作成、開業資金の融資確保、医院内装のアドバイスなど、機械メーカーの枠を超えて開業までのすべてをとりまとめ、先生の評価をいただく。
その後、医療法人事務長となり多岐にわたる事務長業務(採用、人事、広報、渉外、経営、税務、労務など)を行い法人運営し、就任時から売上400%以上アップを達成する。現在は事務長代行もしくは事務長養成型の経営コンサルタントとして運営に困っている院長の右腕として活動している。

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