【視覚障害の方が来院したら】伝え方や介助歩行・誘導時のポイントについて

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前回は視覚障害について、さらに視覚障害患者とのコミュニケーションのポイントについて解説してきました。今回は説明や介助歩行、誘導時のポイントについてまとめて解説していきます。

説明時のポイント

視覚障がい者と接しているとき、見えている「もの」や「こと」を言葉で説明しなければならない場面は多くあります。どのように伝えたらよいか、詳しく解説します。

具体的な表現で説明する

「あちら」「そちら」などの指示語では内容が伝わりづらいです。具体的な表現で説明しましょう。例えば下記のような言葉です。

●「あちらのに椅子におかけください」→「そのまま真っすぐ20mほど先の左手にある椅子におかけください」
●「そちらのボタンを押すとおつりが出ます」→「コインを投入したところの左側にあるボタンを押すとおつりが出てきます」

対面会話時の左右方向の表現に注意する

方向を指示するときは、相手から見た方向で説明をする必要があります。左右方向の表現には注意しましょう。

実際に触れてもらいながら説明する

実際に手で触った方が理解しやすいものについては、実際に手を取ってもらいながら「ここにうがい用のコップがあります」などと説明を行うと効率的です。

文量の多い書類の代読は効率的に行う

確認書や同意書など文量の多い書類は、その内容を全て代読すると大切な内容がどこなのかわかりづらかったり、時間がかかったりしてしまいます。文量や内容により、全て読むのか必要な部分を抜粋して読むのか判断しましょう。抜粋する際は、患者に確認をした上で、漏れがないように効率的に進めることも必要です。

治療説明やブラッシング指導は模型を活用する

視覚障がい者の場合は、鏡で自身の姿を見てもらいながら説明することが困難です。なお実際に口腔内を触ってもらう方法が推奨されていますが、その方法で理解するのは難しく、かつ彼らは自身の口腔内を把握できていないことが多いのが現状です。そのため、通常の顎模型より大きいサイズの模型を用いたり、視覚障がい者の指導用に作られた模型なども販売されているため、そういったものを活用しましょう。

介助歩行・誘導時のポイント

待合室からユニットへ誘導する際は、下記に留意しましょう。

1.誘導する際は、患者の半歩前に立ち、肘か肩をつかんでもらう
2.誘導者の腕は自然に下におろした状態で、患者との幅を確保しながら歩く
3.目的地に到着したら、場所や方向を説明する。診療室では、ユニットの背板や座面に触れてもらうと理解しやすくなる

最後に

特別な方と接するという気持ちではなく、健常者と同じ気持ちで対応すれば問題ありません。伝わっているか、理解してもらえているかなど、不安なときはこまめに確認をしながら診療を進めていくようにしましょう。

高山 由衣

日本大学松戸歯学部附属歯科衛生専門学校卒業。歯科衛生士免許取得後、一般歯科、予防歯科、訪問歯科を主軸に勤務。現在、臨床業務を行いながら、医院の仕組みづくりやスタッフ育成、チームマネジメントに携わる。2021年7月歯科衛生士のオンラインサロン「99.99〜フォーナイン〜」を立ち上げる。
Instagram @yui_takayama/

ミホ

東京医科歯科大学卒業後、都内歯科大学病院に勤務。退職後はフリーランスの「歯科衛生士ライター」として活動し、ライターの指導や教育、ディレクションも行う。自身で制作・運営を行なっていた歯科メディアは販売を達成。大学の卒業研究では日本歯科衛生学会の学生研究賞(ライオン歯科衛生研究所賞)を受賞。現在はDentalMonitoringJapanに勤務し、2児の母でもある。
Instagram:https://www.instagram.com/toothteethtokyo/

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