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現在、日本の40歳以上の4人に1人が糖尿病と言われています。糖尿病患者は高血糖だけでなく、血糖値が下がりすぎたことによって起こる低血糖にも注意が必要です。治療が遅れると死に至ることもあるため、適切な対応が必要となります。今回は低血糖発作の症状や対処法について詳しく解説します。
低血糖とは血糖値が正常値よりも下がりすぎた状態のことです。低血糖により冷や汗やめまい、意識障害、けいれんなどの症状が現れることを低血糖発作といいます。糖尿病の薬物療法中に最も高頻度にみられる急性合併症のひとつで、明確な定義づけはされていませんが、一般的に血糖値が70mg/dL 以下になると低血糖症状が現れ、30mg/dL 以下になり治療が遅れると死に至ることがあります。
血糖値の値による低血糖発作の症状については個人差がありますが、目安となる血糖値と低血糖発作の症状について詳しく説明していきます。
強い空腹感、冷や汗、動悸、頻脈、手指の震え、熱感、不安感、悪心、倦怠感
血糖値:70〜50mg/dL
強い脱力感や疲労感、頭痛、目のかすみ、眠気、混乱、集中力の低下
血糖値:50〜30mg/dL
意識レベルの低下、異常行動、けいれん、意識昏睡
血糖値:30mg/dL以下
基本的に血糖値がコントロールされていれば通常の歯科治療は可能です。ただ糖尿病患者が来院する際は、他にも注意すべき点がいくつかあります。
まずは糖尿病の状況について詳しく問診する必要があります。次の内容を確認しましょう。
● 発病の期間
● 通院状況(病院名、主治医名)
● 治療内容(食事療法、インスリンや服用薬などの投薬治療の有無)
● HbA1c
● 空腹時血糖値
● 糖尿病のコントロール状況(観血処置が可能かどうか)
● 低血糖発作の既往
● 合併症の有無(それに伴う治療の有無)
低血糖発作の予防法でも述べたように、空腹時は低血糖発作を起こしやすいです。予約を取る際は、患者に空腹時の来院を控えるように伝えておきましょう。
低血糖発作を起こさないためには、普段通りの時間に普段通りの食事量を取ることが重要です。予約時間と同様に、空腹での来院は避け、しっかりと食事を取ってからの来院を促します。
リスク回避のためにも糖尿病の数値をコントロールできているかが重要であるため、歯科治療中も定期的に数値を確認する必要があります。空腹時血糖126mg/dl未満、食後血糖値200mg/dl未満、HbA1c 6.5未満が望ましいです。
上記で述べたように、歯科治療を行う上で糖尿病患者に対する留意点は数多くあります。万が一低血糖発作を起こしてしまった場合でも、迅速に的確な対処ができるよう常日頃から備えておくことが重要です。
日本大学松戸歯学部附属歯科衛生専門学校卒業。歯科衛生士免許取得後、一般歯科、予防歯科、訪問歯科を主軸に勤務。現在、臨床業務を行いながら、医院の仕組みづくりやスタッフ育成、チームマネジメントに携わる。2021年7月歯科衛生士のオンラインサロン「99.99〜フォーナイン〜」を立ち上げる。
Instagram @yui_takayama/
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