歯科衛生士が思う「こんな歯科医院は嫌だ!」を解説

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歯科衛生士の雇用ができず、困っている歯科医院は多いのではないでしょうか。

昨今、歯科衛生士の求人倍率は20倍以上とも言われています。毎年歯科衛生士国家試験を突破し就職する人数は、おおよそ7,000人ですが歯科衛生士学校に求人票を出しても、新卒の歯科衛生士が就職する歯科医院はごくわずかです。

今回は歯科衛生士が就職先や転職先として「こんな歯科医院は嫌だ」と思う歯科医院と、逆に「ここで働きたい!」と思う歯科医院について解説します。

歯科衛生士が抱える悩み

歯科衛生士が働く上で抱えやすい悩みとして、人間関係、労働条件、業務内容、職場環境、将来性といったものが挙げられます。つまり、就職先を探している歯科衛生士はこれらの悩みが少ない職場を求めて就職・転職活動を行います。

歯科衛生士がどんな悩みを抱えているのかを理解するために、それぞれの悩みについて詳しく解説します。

①人間関係の悩み

職場でもっとも多い悩みと言っても過言ではないのが人間関係です。歯科衛生士が働く職場は少人数であることが多く、人間関係の悩みをもとに日々の業務に不満・ストレスを感じることが多いです。主に人間関係で悩む相手としては院長、院長夫人(夫婦経営している場合)、先輩スタッフが挙げられます。

一度、人間関係が悪化してしまうと簡単には改善できません。それが上司であればなおさらで、コミュニケーションが得意ではない歯科衛生士の場合は孤立してしまうケースもあります。

②労働条件の悩み

職場によって労働条件は異なりますが、歯科は比較的勤務時間が長い業種です。就職活動時に希望していた勤務時間よりも実際は長かったり、面接時の説明よりも残業が多かったりすると、悩みにつながりやすいです。

とはいえ患者の診療が長引くと勤務時間はどうしても伸びてしまうため、きちんと残業手当が支給されるかどうかが重要な因子となります。

③業務内容の悩み

多くの歯科衛生士は、日々やりがいを感じながら働ける職場を求めています。やりがいを感じることができないと「歯科衛生士の仕事=楽しくない」と思うようになり、離職につながります。

職場の人手不足が原因で、本来であれば歯科衛生士が担当しないような業務を任せられることもあるようです。それが当たり前に行われている職場では、拒否しづらくなり、大きな悩みとなります。

④職場環境の悩み

院長や先輩からのハラスメントがある、衛生管理がずさんである、不正請求が多いなど、面接の時点では把握しきれないことも多くあります。

また歯科衛生士は女性が9割以上で、妊娠や出産、育児により思うように働くことができない時期も訪れます。こういったときの産休・育休制度や託児所の有無、時短勤務などの受け入れ体制が整っているか次第で、仕事を継続できるか、あるいは退職せざるを得ないかが決まります。

求人内容が魅力的でも、実際に働いてみると職場環境についての悩みが発覚することは少なくありません。

⑤将来性についての悩み

歯科衛生士は歯科医師に従事します。歯科医師の診断や治療方針、治療計画に従って施術しなくてはいけないため、歯科衛生士が知識や技術を学びそれを臨床の場で生かしたくても、院長の方針と合わなければ実践することはできません。

したがって、視座の高い歯科衛生士や成長意欲が高い歯科衛生士は、自然と治療のレベルが高い歯科医院を求めます。

昨今は認定資格を取得する歯科衛生士は多く、臨床以外の場での活躍や起業を考える歯科衛生士も増えています。勤務する歯科医院により活躍の幅に差があるため、「この職場には将来性が無い」と感じてしまうことも少なくないのです。

こんな歯科医院は嫌だ!

実際に歯科衛生士が「こんな歯科医院は嫌だ」と思う職場はどんな歯科医院でしょうか。上記の5つの悩み別に具体的な内容を述べていきます。

● 人間関係:院長が威圧的である、理不尽に怒りをぶつけてくる先輩がいる、経営者がスタッフを大切にしていない、不平不満が多いスタッフがいる など
● 労働条件:残業が多い、有給が取れない、日曜・祝日も出勤、拘束時間が長い、給与が相場より低い、残業手当が無い、退職金制度が無い など
● 業務内容:歯科医師業務を任される、院内清掃などの雑務が多い など
● 職場環境:院長が独裁的な経営をしている組織、頼れる先輩がいない、歯科衛生士が自分だけ、意見を聞いてもらえない、教育制度が無い、産休・育休制度が無い など
● 将来性:自分の知識や技術が活かせない、認定資格取得に非協力的、治療方針が古い など

ここで働きたいと思う歯科医院

前述とは逆に歯科衛生士が「ここで働きたい」と思う職場はどんな歯科医院でしょうか。上記の5つの悩み別に具体的な内容を述べていきます。

● 人間関係:チーム医療の体制が整っている、高め合える関係性のスタッフがいる、院長が穏やか、目標としたい先輩がいる、経営者がスタッフを大切にしている など
● 労働条件:社保完備、拘束時間が短い、残業が少ない、休みが多い、有給が取れる、給与が相場より高い、残業手当がある、退職金制度がある など
● 業務内容:本来の歯科衛生士業務に専念できる、歯科助手やクリーンスタッフがいる など
● 職場環境:医院方針が明確、院長のビジョンが明確、努力を評価してくれる、スタッフの意見が尊重される、頼れる先輩がいる、教育制度が整っている、産休・育休制度がある、昼食が支給される など
● 将来性:認定資格取得の支援がある、セミナー費用の補助がある、歯科衛生士として成長できる、ヒューマンスキルの成長ができる、治療方針がアップデートし続けている など

まとめ

歯科医師が思っている以上に歯科衛生士の向上心は高いです。しかしその向上心や仕事へのモチベーションは、働く環境や院長との信頼関係により容易に変化します。

歯科衛生士の抱える悩みや不安にフォーカスすることで「ここで働きたい」と思われる歯科医院となり、歯科衛生士の人材確保や離職率を下げることにつながっていくでしょう。

執筆 高山 由衣

日本大学松戸歯学部附属歯科衛生専門学校卒業。歯科衛生士免許取得後、一般歯科、予防歯科、訪問歯科を主軸に勤務。現在、臨床業務を行いながら、医院の仕組みづくりやスタッフ育成、チームマネジメントに携わる。2021年7月歯科衛生士のオンラインサロン「99.99〜フォーナイン〜」を立ち上げる。
Instagram @yui_takayama/

校正・編集者 浜崎実穂

東京医科歯科大学卒業後、都内歯科大学病院に勤務。退職後はフリーランスの「歯科衛生士ライター」として活動し、ライターの指導や教育、ディレクションも行う。自身で制作・運営を行なっていた歯科メディアは販売を達成。大学の卒業研究では日本歯科衛生学会の学生研究賞(ライオン歯科衛生研究所賞)を受賞。現在はDentalMonitoringJapanに勤務し、2児の母でもある。
Instagram:@toothteethtokyo

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