泣いてしまう小児への接し方とモチベーションの上げ方
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歯科衛生士の皆さんは、診療中に小児に泣かれてしまったという経験はありますか?
また、小児患者に泣かれた後の保護者への対応も迷ってしまいますよね。
本日は診療中泣いてしまう小児への対応と、モチベーションの上げ方についてお話しします。
私たち歯科医療従事者にとって必要な心構えは、「病院で小児が泣いてしまうのは当たり前」ということです。私たちも子供だった頃、‘’病院に行くのは怖いこと‘’でしたよね。なぜ怖かったのか、理由は「注射が怖い」「病院の臭い自体が嫌」など人によって様々だったと思います。歯科医院に来院する小児たちの中には、とても我慢強い子もいますが、大抵の小児は怖いと思っているはずです。そのため、小児たちが泣いてしまうことを否定せず、「不安で泣いてしまうけど頑張っているね」「偉いよ」などとポジティブな声かけをしてあげることで、少しずつ緊張をほぐしてあげましょう。
また、保護者の中には医療従事者に対して「うちの子が泣いてご迷惑をおかけして申し訳ない」と謝罪をされる方もいらっしゃいます。そんな時は「子供だから泣いてしまうことは当然」「むしろ恐怖心を持っていない方が心配」ということを私たちが伝えてあげると、保護者の方も安心して歯科医院に通っていただけるのではないでしょうか。
小児が泣いてしまった時、大切なのは私たち側が「ごめんね」「嫌だったね」などとネガティブな言葉をかけないことです。「ごめんね」などと謝ってしまうと、小児はとても嫌なこと・酷いことをされたような気持ちになってしまいます。そのため、小児にとって歯科医院は怖いこと・嫌なことをされる場所になってしまいます。そのような思いをさせないよう、私たちにできることは小児が泣いてしまったらすぐに診療を中断して、「なにか嫌なことがあったの?」と理由を言わせるように語りかけることが大切です。
正直、幼い年齢の小児にTBIをすることや、虫歯にならないようにと説明しても理解してくれる小児は少ないように思います。特にカリエスリスクの高い小児は保護者に理解していただくことがなにより大切です。
まず私たちにできることは、なぜカリエスリスクが高いのか保護者に情報収集することです。共働きの家庭で保護者が自宅に帰ってくるのが遅く、小児がおやつを食べて過ごす時間が長いのか、それとも保護者がおやつを隠しているのに小児が見つけてこっそり食べているのか、2通りのパターンでも、私たちが保健指導を行う内容が大きく変わります。
前者のパターンで保健指導を行うのであれば、それぞれのご家庭のルーティンに口を出すことはできませんので、「キシリトールのおやつ」を勧めることも1つです。また、後者のパターンであれば、「おやつの時間を決める」なども良いでしょう。
また、これらのお約束が守れた小児には愛情を持って褒めてあげると、「お口の中に関心を持つと周りの人が褒めてくれるんだ!」と小児のモチベーションアップにつながるかもしれません。
小児は非常に繊細です。そのため、しっかり説明をして口腔内に関心を持ってもらえるよう私たちが寄り添っていきましょう。
歯科大学歯科衛生士学科卒業後、小児患者や障害者の歯科診療体制や、歯科恐怖症患者について学ぶため歯科大学付属の専攻科へ進学し口腔保健学学士を取得。その後は小児歯科専門歯科医院にて勤務。歯科衛生士ライターは「歯科に苦手意識を持っている人が媒体を通して理解し、歯科を身近に感じることで歯医者に行ってみよう」という気持ちになることを後押ししたいという思いから学生時代に始めた。
Instagramアカウント|歯科衛生士カウンセラー・ライター西山
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