”てんかん”既往患者への対応と口腔内に表れる症状

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てんかんの既往をもつ患者の対応で注意すべきこと

歯科治療中の行為がてんかん発作を誘発してしまうことがあります。以下のことに注意して対応しましょう。

目にライトを当てない

患者さんの目に直接ライトが当たると、発作を誘発することがあります。ライティングの位置に注意したり、目元にタオルをかけたりするなどの配慮が必要です。

できるだけ緊張やストレスを与えない

緊張やストレスも発作を誘発する要因の一つです。歯科治療で患者さんに不安な思いをさせたり、痛みを与えたりすることで発作が起きてしまう可能性があります。事前に丁寧な説明を行なったり、除痛を確実に行なったりすることで、安心して治療を進められるよう気を配りましょう。

発作が起きたら取るべき対応

てんかん発作のほとんどは数分程度で回復します。もし治療中に発作が起きたとしても、あわてず冷静に対処しましょう。対応方法は以下のとおりです。

  • すぐに治療を中断し、口腔内の器具を除去する。
  • オトガイを挙上し気道を確保。ユニットから転倒・転落しないように注意する。
  • 発作の開始時間を確認し、経過を観察する。
  • けいれん発作が30分異常続く場合や、短い発作が反復して意識の無い状態が30分以上続く場合は、専門医療機関に搬送する。
口腔内に現れる症状

てんかんの治療に用いられる薬の多くは、歯肉増殖や口内炎などの副作用を起こします。特に抗てんかん薬フェニトインによる歯肉増殖については、耳にしたことがある方がほとんどではないでしょうか。患者さんがどんな薬を使用しているのか、必ずチェックしましょう。

抗てんかん薬による代表的な症状
薬剤名 商品名 口腔周囲への副作用
フェニトイン アレビアチン®、ヒダントール® 歯肉増殖、口渇、口内炎
カルバマゼピン テグレトール® 歯肉増殖、口内炎、顔面ジスキネジア※
パルプロ酸ナトリウム デパケン®、バレリン® 歯肉増殖、口渇、口内炎
レベチラセタム イーケプラ® 歯肉増殖、咽頭炎、口内炎
フェノバルビタール フェノバルビタール®、フェノバール® 歯肉増殖、口内炎

※顔面ジスキネジア:顔面の筋肉が自分の意思とは関係なく、勝手に不規則な動きをする現象

歯肉増殖に対する治療として、まず行われるのはプラークコントロールの徹底です。口腔清掃状態が良好な患者さんには歯肉増殖が起こらないことが分かっており、プラークコントロールが非常に重要になっています。重度の歯肉増殖に対しては、歯肉切除術など口腔外科的処置が行われることもあります。

外傷

てんかん発作時に転倒し、歯牙が脱臼もしくは破折することがあります。また発作時に舌を噛み潰瘍や内出血を生じることもあるため、発作後に歯科を受診した際は口腔内をよく観察しましょう。

最後に

てんかんの既往がある患者さんへの対応では、病状や飲んでいる薬についてしっかり確認しておくことが大切です。診療中にてんかんの発作が起きた場合、突然のことに気が動転してしまいがちですが、あわてず落ち着いて対応するよう心がけましょう。

歯科衛生士ライター 三島ゆかさん

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