”てんかん”とはどんな病気?問診で確認すべきポイント

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てんかんは突然意識を失う「てんかん発作」をおこす病気です。100人に1人の割合で発症するため、歯科診療の場でてんかんの既往を持つ患者さんに出会う機会も少なくないでしょう。もし患者さんが治療中にてんかん発作を起こした場合、どう対応したら良いのか不安な方もいると思います。この記事では、てんかんの既往を持つ患者さんへの対応で注意すべき点や、口腔内に影響を及ぼすてんかん治療薬についてまとめています。いざという時に落ち着いて対応できるよう、また口腔内に現れる症状に対して的確なアドバイスができるよう確認しておきましょう。

てんかんとはどんな病気?

てんかんは慢性の脳疾患です。通常大脳の神経細胞は規則正しいリズムで穏やかに活動しますが、てんかん発作では神経細胞の過剰な反応により活動が突然激しく乱れ、けいれんや意識障害などを起こします。簡単に言えば「脳のコンピューターが暴走した状態」になってしまうのです。

てんかんは、脳腫瘍・頭部外傷後の後遺症・脳梗塞・アルツハイマーなど、脳が何らかの障害を受けることで起こります。また検査をしても特に異常が見つからない、原因不明のてんかんも多く存在します。

てんかんの治療は、抗てんかん薬を毎日服用し発作を抑制する薬物治療が一般的です。その他外科治療、食事療法で治療する場合もあります。

問診で確認すべきポイント

来院された患者さんにてんかんの既往があると分かったら、問診で以下のことを確認しましょう。診療中にてんかんの発作を起こさないため、また起こってしまった場合スムーズに対応するためのヒントになります。

①発作の頻度や間隔・発作の起きやすい時間帯

どれくらいの頻度で発作が起こっているのか確認し、起きやすい時間帯がわかっていればその時間帯を避けて治療を行うようにします。

②発作を誘因する事柄

てんかんの発作は突然起こるものがほとんどです。しかし中には「反射てんかん」と呼ばれる、ある決まった外界からの刺激にさらされると起こるてんかんもあります。例えば気温の変化、疼痛、光の刺激などが挙げられます。あらかじめ把握しておけば、刺激を避けることができ発作を誘発しないで済みます。

③発作時の症状・対応

発作時の症状は、意識を失い転倒してけいれんを起こすものもあれば、突然動作が止まって脱力するなどさまざまです。発作にいち早く気付くためにも、発作ではどういった症状が出るのか、またどのくらいの時間続くのか確認しておきます。

また発作が起こった際の対応に関しても、必ず事前に確認しておきましょう。発作を起こしたときのために、あらかじめ医師から座薬を処方されている患者さんもいます。

④内服薬について

抗てんかん薬の副作用により、歯肉増殖や口内炎が起こる可能性があります。服薬の期間が長ければ、重度の歯肉増殖がおこることも。内服している薬の種類と、いつから内服しているのかも確認しましょう。
また抗てんかん薬には、歯科治療で使われる薬剤と併用することで作用を増強してしまうものがあります。薬の処方については歯科医師が決定しますが、安全に処方するために歯科衛生士としても知識をつけておきましょう。注意が必要な内服薬の組み合わせは以下のとおりです。

カルバマゼピン(テグレトール®)

マクロライド系抗菌剤(クラリス®、ジスロマック)と併用することで、運動失調・意識レベルの低下が起こる可能性があります。またフロリードゲル(ミコナゾール®)との併用で、意識障害・けいれん・呼吸抑制をおこす可能性もあります。

バルプロ酸ナトリウム(デパケン®、バレリン®)

サリチル酸系解熱鎮痛消炎剤(アスピリン®)と併用することで、意識障害・けいれん・呼吸抑制が起こる可能性があります。

次回は、てんかん既往患者への対応と口腔内に表れる症状についてご説明いたします。

歯科衛生士ライター 三島ゆかさん

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