「歯科医師過剰」による「職業魅力の低下」問題に意見
日本私立歯科大学協会(中原泉会長)は、3月11日、文部科学省主催〈平成21年2月4日〉「国公私立大学歯学部長・歯学部附属病院長会議」についての意見書を文部科学省高等教育局の新木一弘医学教育課長に提出した。 同協会は4月30日、意見書の内容などについて報道関係者に説明する予定である。 文部科学省は、昨年7月、同省内に「歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議(議長:江藤洋一日本歯科医学会会長)を立ち上げ、1月30日に第一次報告を公表した。 この報告と国公私立大学歯学部長・歯学部附属病院長会議の内容について、意見書をまとめた。 <意見書の主旨> 1)私立歯科大学・歯学部は、歴史的にも我が国の歯科医学を主導し、国民から信頼される確かな臨床能力を備えた歯科医師養成を担保してきた。 2)現在の歯科医師の約75%は私立歯科大学・歯学部出身者であり、世界に冠たる歯科医療水準を確保・向上させている。 3)今後とも、将来の歯学教育の改善・充実を図っていく。 4)私立は自主性を根幹に置き教育研究を行ってきた。一方、国立大学法人は、国税で6年間、私立歯科大学・歯学部の約1/10の学費という低廉な学費によって学生を集めていながら、歯科医療需給問題に関連付けて、私立歯科大学・歯学部入学定員削減問題を議論している。 5)そのことは、我が国の歯科医療界に内在する問題及びその解決策を曖昧にし、国民歯科医療の向上という我が国の歯科医療界の果たすべき本旨から大きく逸脱する論であると考える。 6)歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議第一次報告は、国民歯科医療システムの再構築こそが、最も重要な施策であるが、これについては、何ら付言せず、「歯科医師過剰」による「職業魅力の低下」に言及することは、まさに問題のすり替えであり、本末転倒と断定せざるを得ない・ 7)もし、「歯科医師過剰」による「職業魅力の低下」が、事実とするならば、膨大な税金を投入している国立大学法人歯学部こそ、合理化・定員削減・統合・大学院特化を喫緊の課題としてとらえるべきであり、早急に実施すべきである。
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