人工知能がインプラント治療の結果を予測できるかもしれない

人工知能がインプラント治療の結果を予測できるかもしれない

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ミシガン州、アナーバー(米国):無歯顎患者の治療法としてインプラントが益々一般的になるにつれ、その潜在的な副作用を理解することがより重要になっています。今回、米国の研究チームは、インプラント患者がインプラント周囲炎を発症するリスクを歯科医師がより正確に予測するための新しい機械学習アルゴリズムを開発しました。

この研究はミシガン大学、ミシガン州立大学、ハーバード大学歯学部の学際的なチームによって行われました。研究者らによると、インプラント周囲炎は炎症により支持骨が失われることで、少なくとも25%のインプラントの長期成功率に影響を与えるとのことです。さらに、インプラント周囲炎の治療を複雑にしているのは、治療に対する個人の反応を正確に予測する信頼できる方法が今のところないということです。

研究チームは、この問題を解決するために機械学習アルゴリズムを開発し、「発現プロファイルの高速かつロバストなデコンボリューション-FARDEEP」と名付けました。そして、FARDEEPを用いて、インプラント周囲の高度な欠損を改善するために再生治療を受けているインプラント患者の臨床的、微生物的、免疫的プロファイルを調査しました。その結果、患者から採取した各組織サンプル中の特定の有害な細菌と有用な免疫細胞の相対的なレベルを測定することができました。

全体として、微生物の制御に関連する免疫細胞の量が多いほど、良好な臨床結果と強い相関関係があることがわかりました。本研究の筆頭著者であり、ミシガン大学歯学部の臨床助教授であるJeff Wang博士によると、今回の結果は、インプラント周囲炎の性質に関する研究チームの理解を大幅に向上させ、「精密なケアを提供する方法をさらに理解する」のに役立つとのことです。

「この研究の最も直接的な臨床応用は、インプラント周囲炎に対する外科的再生治療の結果を予測するのに役立つでしょう。」とWang氏はデンタルトリビューンインターナショナルに語っています。

また、彼は「患者が重度のインプラント周囲炎を患っている場合、インプラントを治療するか除去するかの判断が難しいです。再生治療は高価ですが、予測がつきません。骨を再建してインプラントを交換することも困難です。」と付け加えました。

「そのため、予後の情報は個々の患者さんに最適な治療方針を決定するのに非常に役立ちます。」

FARDEEPの可能性は期待できるものの、Wang氏は、歯科医師が患者のインプラント周囲炎のリスクを予測するためにFARDEEPを使用するには、さらなる臨床試験が必要であることを認めています。

「これはパイロット試験であり、検証のためにはより大規模な臨床試験を行う予定です。」と彼は述べています。

「機械学習を利用した免疫プロファイリングにより、インプラント周囲炎患者の特異な微生物コロニー形成と臨床転帰が層別化される」と題されたこの研究は、2021年5月3日にTheranostics誌に掲載されました。

記事提供

© Dental Tribune

ライター

Brendan Day, Dental Tribune International

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