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前回の記事では行動形成法についてお伝えしてきました。今回は行動変容におけるコミュニケーションについて詳しく解説していきます。
前回の記事で述べた行動変容法と併せてコミュニケーション方法を用いることで、患者の行動変容を行いやすくなります。コミュニケーション法にはさまざまなものがありますが、患者がどのような方法に慣れているのかによって、 その方法に応じての素材の準備や興味を示す素材を用いる必要があります。
言葉では状況の理解が困難な患者(低年齢の小児患者、知的能力障がい者、自閉スペクトラム症患者など)のために、視覚的に物事がわかるようにする方法です。不安や混乱を感じさせず、予定どおりに行動できるように導く効果があります。
例:絵カードを使用して行うことを事前に説明→絵カード通りに進める
これにより患者は「何を」「どのように」「どの順番で」行うかがわかり、見通しがつく。
周囲で何が起こっているか、何をすれば良いのかをわかりやすく提示する方法です。患者一人ひとりの状態に合わせて内容を構築します。
例
●今日はどんな治療をするのかをわかりやすく説明する
●使用する器具を実際に見せたり、実際に触って慣れてもらう
●一つ一つの器具の役割を説明する
物の配置を工夫して、場所や場面の意味を視覚的にわかりやすくする方法です。
例
予定されているスケジュールを図や表にして作成し、歯科治療の順番をわかりやすく示す方法です。
例
治療工程がどのような内容でどのくらいの時間がかかるのか、次の工程は何をするのかを具体的に示す方法です。
例
行動変容法を応用したトレーニングは、歯科診療が受けられるようになるまでにかなりの時間を要します。そのため多数のう蝕や痛みのある急性期の患者に対しては、全身麻酔や人的抑制下での処置を行い、口腔内の状態が良好になってからトレーニングを進めていく場合もあります。患者一人ひとりに合った方法を用いて治療を進めて行きましょう。
日本大学松戸歯学部附属歯科衛生専門学校卒業。歯科衛生士免許取得後、一般歯科、予防歯科、訪問歯科を主軸に勤務。現在、臨床業務を行いながら、医院の仕組みづくりやスタッフ育成、チームマネジメントに携わる。2021年7月歯科衛生士のオンラインサロン「99.99〜フォーナイン〜」を立ち上げる。
Instagram @yui_takayama/
東京医科歯科大学卒業後、都内歯科大学病院に勤務。退職後はフリーランスの「歯科衛生士ライター」として活動し、ライターの指導や教育、ディレクションも行う。自身で制作・運営を行なっていた歯科メディアは販売を達成。大学の卒業研究では日本歯科衛生学会の学生研究賞(ライオン歯科衛生研究所賞)を受賞。現在はDentalMonitoringJapanに勤務し、2児の母でもある。
Instagram:@toothteethtokyo
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