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前回の記事では行動変容法の目的や不安軽減法についてお伝えしてきました。今回は行動形成法について詳しく解説していきます。
患者の自発的な行動(オペラント行動)をコントロールするために、「オペラント条件付き報酬」と「罰」をタイミングよく与える方法です。歯科臨床では、報酬として「できたね」「上手だね」「がんばったね」などの賞賛が頻用されます。これらにより自発的な行動を抑制し、適切な行動に導いていきます。
行動形成法には下記の方法があります。
望ましい行動を示した患者に対し、トークン(代用貨幣:シール、スタンプ、ポイントなど)を与え、トークンが貯まれば特定の品物と交換したり、特定の活動が許可されるといったシステムです。
例:術者の指示に従い治療が進められたらその都度ポイントが貯まり、治療終了時におもちゃなどのご褒美を与える など
アメリカでよく行われる方法で、患者が望ましくない行動をとったり、術者の話を聞き入れないときにクールダウンさせる方法です。隔離した安全で静かな場所で過ごしてもらい、落ち着いたら再度話をする方法です。
例:術者の指示に従うことができない場合、レントゲン室で10分程度隔離する など
状況により声の強弱、高低、口調などを適宜調整して話しかけることで、患者へ働きかける方法です。
例:不適切な行動には低い声で注意をし、適切な行動には高く優しい声で褒める など
複雑な行動をスモールステップに分け、実行可能な行動から学習させ、最終的に目標行動を達成させる方法です。成功体験で少しずつ強化しながら、行動を形成していきます。できたことに対して十分ほめるようにしましょう。
例:ユニットに座る→ユニットで歯磨きをする→段階的に器具を使用し治療する→治療が完了したらたくさん褒める→定期検診へ促す
今回は行動変容法の「行動形成法」について解説してきました。次回は「行動変容におけるコミュニケーション」について詳しく解説していきます。
日本大学松戸歯学部附属歯科衛生専門学校卒業。歯科衛生士免許取得後、一般歯科、予防歯科、訪問歯科を主軸に勤務。現在、臨床業務を行いながら、医院の仕組みづくりやスタッフ育成、チームマネジメントに携わる。2021年7月歯科衛生士のオンラインサロン「99.99〜フォーナイン〜」を立ち上げる。
Instagram @yui_takayama/
東京医科歯科大学卒業後、都内歯科大学病院に勤務。退職後はフリーランスの「歯科衛生士ライター」として活動し、ライターの指導や教育、ディレクションも行う。自身で制作・運営を行なっていた歯科メディアは販売を達成。大学の卒業研究では日本歯科衛生学会の学生研究賞(ライオン歯科衛生研究所賞)を受賞。現在はDentalMonitoringJapanに勤務し、2児の母でもある。
Instagram:@toothteethtokyo
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