米国歯学部名門校 ニューヨーク大学で日本の歯科医師・歯科衛生士にも歯学を学ぶチャンスを!〜歯科医師 米本先生とDH藤森さんが10年思い描いてきた夢への挑戦と実現〜

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プログラムの様子

インタビュー
(医療法人社団 白翔会 赤坂歯科クリニック 米本 久史理事長×日米歯科衛生士 藤森 直子先生 )

インタビュアー: 石井(以下、石井)
インタビュイー: 米本先生(以下、米本)
インタビュイー: 藤森さん(以下、藤森)
石井:こんにちは、今日は米本先生と藤森さんにお話を伺いたいと思います。まず、開催されるきっかけや、どういう思いからこのイベントが始まったのか、教えていただけますか?
米本:こんにちは。私自身が約15年前から海外研修に行く機会があり、さまざまな経験を積んできました。知識やスキルを学ぶだけでなく、そこに集まってくる歯科医の仲間ができたり、交流を通じてモチベーションを高めることの大切さを感じました。また当時は日本の歯科衛生士の立場が海外に比べて弱いように感じ、その状況を改善するために何かできないかと思っていました。そこで、海外の研修プログラムやアメリカの大学の研修プログラムを提供できたらいいなと考えるようになりました。
藤森:こんにちは。私も日本の歯科衛生士学校に入り卒業しましたが、アメリカの歯学も学びたいと思いニューヨークのクリニックに就職をしました。その後、ニューヨークで歯科衛生士として10年働くことになり、その10年間で歯科に関する事だけではなく、さまざまな刺激を受けて自分自身を成長させる事ができた経験を持ちました。帰国後、日本でインプラントメンテナンスやSRPなどのセミナーを通じて歯科衛生士の仲間にもモチベーションや人生を楽しむエッセンスを伝えたいと考えるように成りましたが、やはり現地で実際に体験してもらった方がセンセーショナルな体験になると感じていました。そして米本先生との出会いがきっかけで、ニューヨークで開催する日本人歯科衛生士のための研修コースの構想が生まれました。
石井:素晴らしい取り組みですね。それにしても、こうしたプログラムを実現するのは容易なことではなかったでしょう。大変だったことや苦労した点はありますか?
米本:海外の大学で日本人歯科衛生士向けのコースを実現することは非常に困難でした。海外での研修自体が大変ですが、それに加えて大学でプログラムを実現するという事には高いハードルがあります。特に、低価格で提供したいと考えたため、さらに困難さが増しました。しかし、藤森さんとの協力や山野教授とのコネクション、大学側との交渉を重ねてプログラムを実現する道を見つけることができましたが、実現までには10年程かかりました。
藤森:そうですね。大学側ともウィンウィンの関係を築かなければならないため、交渉や調整は大変でした。特に、お会いした事がなかった山野教授に、私たちのプログラムがお金儲けを目的としているのではないことを伝える事がとても重要でした。最初は信頼を築くことが大切で、時間をかけて理解してもらう必要がありました。その結果、山野教授もこのコースに賛同戴き、歯科衛生士さんへの講演料もミニマムにして戴いたり、大変なご協力をいただきました。
石井:それは大変だったでしょうね。でも、その努力の結果、素晴らしいプログラムが実現したわけですね。10年の中で特に開催が実現に向けて走り出したタイミングでの苦労された事や、開催してみた感想を教えていただけますか?
米本:このコースを終え、とても感動しました。個人的な意見として、藤森さんの熱い夢がこのプロジェクトの核となっていると思います。自身がNYUで学び、その経験を共有したいという想いが、このコースを実現させた要因の一つであり、その実現に感動しました。また、教授陣の専門性とプロフェッショナリズムにも深い感銘を受けました。日本からの歯科衛生士たちが教授陣たちの話を聞くことは、皆さんにとって大きな刺激となり、目が輝いていました。通常、ニューヨークの歯科医師のコースでは参加者の多くが寝てしまっていることがありますが、このコースの歯科衛生士の参加者はとても意欲的で集中していました。
石井:素晴らしいですね。藤森さん、今回のコースには何人ぐらいの方々が参加されたのでしょうか?
藤森:今回のコースにはおよそ16名の参加者がいらっしゃいました。内容自体も確かなエビデンスに基づいたしっかりした学問であり、日本の歯科衛生士の方々も魅了される要素が満載でした。特に教授陣の日本とは違うパッションとプロフェッショナルな意識に歯科衛生士の方々も深い感動を受けていました。私自身も歯科衛生士の方々がその情熱を感じてくれたことも嬉しかったですし、それを何年も追い求めていましたので、実現できたことに、とても感動しました。
米本:ただ、渡航費が上昇し円安になったという点がタイミング的に不運でした。しかし、最初のハードルが高い分、達成感も大きいですね。
石井:なるほど、そのタイミングで16人の参加者というのはすごいですね。
多くの方々を巻き込む作業には、きっと多大な労力が必要だったことでしょう。藤森さん、このような大規模なプロジェクトにおいて、どのような取り組みや困難があったのでしょうか。お聞かせいただけますか?
藤森:実際の参加者は16人で、それにサポートしてくださる方を含めると23人ほどでした。宣伝等は特に実施せず、知人伝いに声をかけてみたところ、参加者が集まったので、あまり参加者を集める事に苦労はありませんでした。最大の困難はなるべく経済的な負担を少なく実施するために各方面と調整を図った事でした。
ただそこには、このイベントをより良いコースにしようという関係者たちの想いや情熱が集まったので困難を乗り越える事ができました。
石井:なるほど、多くの工夫や努力があったことが伝わってきます。そのような状況でもコースの成功を実現できたことは素晴らしいですね。
米本:私たちが工夫した事の一つには、せっかくニューヨークへ訪れるので、このコースの2日間は、一日中勉強するのではなく、午後から観光や余暇を楽しむ時間を確保できるように工夫しました。
藤森:ニューヨークに来たからには、ミュージカルを観たり、異なる文化を感じたりすることが成長のエッセンスだと思います。例えば、英語ができなくてもアプリを使って教授に歯ブラシのおすすめを尋ねるなどの質問をすることもありましたが、その様な一生懸命な姿勢が良かったです。
米本:地下鉄に乗るだけでも興奮するでしょうしね。
藤森:ブックストアにも一緒に行って、NYUのグッズを購入したりもしていました。NYUのノートを買って、帰国後、自分のクリニックで使用したり、NYU関連のアイテムを全身、身に着けている歯科衛生士さんもいて驚きました。
石井:参加者の皆さんは帰国後にどのような変化を感じたのでしょうか?
藤森:参加者たちは帰国後、各自のクリニックでの実務に戻るのですが、明るくなり、モチベーションが高まったとの声が多く寄せられました。院長からも、行かせて良かったと、その変化がとても評価されていて、私たちにとっても非常に嬉しい結果です。
米本:参加者たちは皆、高い志を持つ歯科衛生士さんばかりですので、教授陣たちのプライドをもって歯科衛生士の仕事をしている姿に刺激を受け、自身も頑張ろうという気持ちを強めていました。また、NYUで学び、新たな知識を得ることのできた感謝の気持ちや、このプログラムに参加させてくれた院長への感謝の気持ちを持っていました。
石井:毎年開催される予定ですか?
米本:そうです。毎年行う予定としています。来年はちょうど教授陣が韓国で歯科衛生士の学会などに参加し、その後日本に立ち寄る予定で、小規模なセミナーを開催する予定です。将来的に教授陣の講演を無料で受けられるよう、歯科衛生士学校の学生たちを集めるイベントも計画できればと思っています。ただし、こうしたイベントを実施するには資金が必要ですので、そのための費用を準備する必要があり、実現までには時間がかかるかもしれませんが、この様なイベントで学生たちが刺激を受け、卒業後に海外の歯科衛生士として活躍するという様な選択肢が増える事を期待しています。
石井:なるほど、将来的にもより多くの学生たちに刺激を与える機会を提供したいとのお考えですね。では、次に今回のコースについてお聞きします。藤森さん、今回のコースは向こうでどのように評価されていますか?また、なぜこのコースにNYUの公式名が冠されることとなったのでしょうか?
藤森:このコースはNYUでも非常に高い評価を受けています。実際に、NYUの記事に取り上げられ、その結果、このコースにNYUの公式名がつけられました。大学の公式ウェブサイトなどでも、私や米本先生の存在が強調され、卒業生の私が、日本から歯科衛生士を連れてきて毎年開催する事になった事が紹介されています。このコースは歯学部だけでなく、大学全体で高く評価されています。
石井:それは素晴らしい成果ですね。大学全体からの支援があることで、コースの価値が一層際立つことがうかがえます。米本先生、このコースの評価に驚かれたことはありますか?
米本:はい、特に驚かされたのは、歯学部長の先生がわざわざ挨拶しに来てくれたことです。通常、歯学部の先生が歯科医学のコースに挨拶される事は少ないですが、それだけこのコースが注目を浴びていることを感じました。
石井:そのような大きな支援があることで、コースの重要性が一層明確になりますね。それでは、このコースの成功要因についてお伺いします。一番の要因は何だと思われますか?先生方の情熱以外にも、コースの構成や内容に何か特別な工夫があるのでしょうか?
藤森:このコースの成功要因は、何よりも教授陣の情熱だと考えています。私たちの想いが伝わり、教授陣がその想いに共感してくれていることが大きな要因です。さらに、学内全体がコースを支える姿勢を見せ、教授陣だけでなく、事務スタッフなども参加し、学生たちへのギフト作りなどの活動を楽しんでいます。
米本:確かに素晴らしい環境ですね。学内全体でコースに共感し、参加する意欲が高まっている様子が伺えました。
藤森:授業には関わらない歯科衛生士のデパートメントのメンバーたちも参加し、交流の場を設けられたり、このようなコミュニケーションの機会が、コースの成功に寄与しています。
石井:すばらしいですね。今後の展望について教えていただけますか?将来的な計画や変更点などはあるのでしょうか?
藤森:現在、来年のコースについてはほぼ決まっています。ミーティングを通じてNYUの教授陣と協力しながら、内容や日程などを詰めています。
米本:来年のコースでは、2024年の7月14日には日本で開催し、9月19日、20日の日程でNYUで開催します。
石井:それは素晴らしいですね。国際的な展開が進むことで、コースの価値も一層高まりそうです。最後に、このコースに参加してみたいと思う方々にメッセージをお願いできますか?
藤森:このコースはアメリカの歯科衛生士の免許更新に認められるエデュケーションのクレジットとしても認定されています。信頼性のある情報をもとにした学びが提供されるため、専門性の向上と免許の更新を同時に進めることができます。
米本:ぜひこの機会に、プロのスキル向上と専門知識の深化を目指して参加してみてください。共に学び、成長していく場を提供します。
石井:素晴らしいメッセージ、ありがとうございます。藤森さん、米本先生、貴重なお話をありがとうございました。
藤森:こちらこそ、お話しする機会をいただき、ありがとうございました。
米本:お時間をいただき、感謝しています。

次回開催予定

日本開催:2024年7月14日
NYU開催:2024年9月19日~20日

お問い合わせ先

藤森 nf486@nyu.edu

プロフィール

医療法人社団 白翔会 赤坂歯科クリニック 米本 久史 理事長
  • 1994年日本歯科大学歯学部 卒業
  • 2001年赤坂歯科クリニック開業
  • 2002年医療法人社団白翔会 理事長就任
  • 2018年Beyond Borders Dental Association 代表理事就任
    ICOI国際口腔インプラント学会 日本支部常任理事/指導医/認定医
    日本口腔インプラント学会 専門医
    ITI国際インプラント・再生医学会 公認インプラントスペシャリスト
    インディアナ大学歯学部インプラント科 客員教授
日米歯科衛生士 藤森 直子 先生

株式会社Team Grin’n Tokyo 代表取締役
日米歯科衛生士

<略歴>
株式会社Team Grin’n Tokyo 代表取締役
日米歯科衛生士

Tokyo,Japan 東京
Paris, France パリ
獨協大学外国語学部フランス語学科

Unites States of America 2002---
ニューヨーク州
ニュージャージー州
ミズリー州で勤務
ニューヨーク大学歯学部衛生士科首席卒業

Tokyo,Japan 2012 December---
帰国以来都内のクリニックに勤務
国内各地の衛生士学校・クリニック内で講義
インプラントメンテやSRPを中心にセミナー
10ポイントで上達SRP 出版 (書籍・DVD)
海外国際歯科衛生士交流会TeamGrin’n主宰
国際歯科衛生士ボードメンバー(アジア初)

インタビュアー

石井 貴久
<略歴>
  • 株式会社メディカルネット 取締役/株式会社ガイドデント 会長
  • 2011年㈱ガイドデント設立・代表取締役へ就任
  • 2021年㈱ガイドデント 会長就任
  • 経営学修士(MBA)

歯科業界で15年ビジネスに従事し、累計10,000人以上の歯科医師への提案や複数クリニックへの経営支援を実施中。また、患者向け相談窓口の運営や患者向けマーケティングも行なっている。

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