歯からつなぐ未来の形!PHIJアップデートミーティングを振り返って

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PHIJ UPDATE MEETING 2023 の模様

インタビュー(大会長 栗林 研治 先生 × 実行委員長 髙屋 翔 先生)

石井:本日は、PHIJアップデートミーティング2023の大会長を務められた栗林先生と、実行委員長を務められた髙屋先生にお話をお伺いできればと思います。先生方よろしくお願いします。
栗林先生髙屋先生:よろしくお願いします。
石井:今回、先生方の取り組みとしては非常に特徴がありユニークで、国民の方向けに開催されたイベントだと思いますが、まず生活者向けに国民向けに開催するとなったきっかけやそこにある思いといをお伺いできればと思います。まず大会長の栗林先生いかがでしょうか?
栗林先生:スタディグループ含めて頭打ちになっていると思うのですが、最終ゴール地点はやはり国民の健康なので、元々スタディグループは歯科界の発展のためにあると思いますが、国民に向かって発信することはその先のっていうチャレンジですよね、今回は。結果的な歯科関係者350人集まって今、国民放送も始まっています。やろうと思ったきっかけは歯科界のリーダーシップを取っているスタディグループが、国民に情報発信できたらな、というのがきっかけです。
石井:ありがとうございます。情報発信としては国民のためにとおっしゃっているスタディグループは非常に多いと思いますが、実行に移すというところではかなり大きなハードルがあったと思います。今回、著名人のアサインとか含めてかなり苦労されたんじゃないかなと思っているのですが、実行委員長を務められた髙屋先生と、大会長の栗林先生から今回実際に国民向けにやってみて大変だったこと苦労したことは何ですか?
髙屋先生:開催にあたって一番苦労した点は、普段学会等で専門用語をたくさん話しているのですが、一般向けとなると専門的な用語を全て封印して、わかりやすいように変換するという作業が必要になり、それこそ講師の先生方と当日控え室で「これって一般の方にもちゃんと通じるかな」と皆さんで相談したことを鮮明に覚えてます。専門用語で説明してしまうのが医療従事者の性なのかなとも思いながら、やはり本番でどうしても専門用語が不意に出てしまったりしたので一般向けとその専門家向けの発信の違い、それこそペルソナの違いに応じて対応を変えないといけないというところは、本当に苦労しましたね。
石井:そうですよね。普段のスタディグループの発表だと臨床の用語も飛び交ってると思いますが、一般の方向けにはある意味180度変えるようなイメージの内容になるのかなと思いますので、一番ご苦労された点じゃないかなと思います。実際に色々な苦労を乗り越えて開催されてみた感想としてはどのような思いがありますでしょうか?
栗林先生:個人的に大変だったのは、ちょうどMID-G代表の1年目と重なってしまって、PHIJの大会長を走らせながらもう一方でMID-Gもやってたっていう。今回のイベントは前例がないので、歯科界の方に受け入れづらかったっていうのがあります。まずリアル開催は医療関係者だけにしたのですが、結構集客にてこずりましたね。挑戦の規模が大きいことやっていたので、経費もそれなりにかかってきて、集客の目標人数も決まってて、でもなかなか到達しなくて。
石井:そうだったんですね。
栗林先生:裏ではね。前例がないから行っていいのかどうかわかんないって言われたんですよね。あとは最終ゴール地点が国民なのでまだ終わってないのですが、第一幕の歯科医療関係者のリアル開催をやってみて、反響がすごくて。もちろん賛否両論あって、学術的なところが物足りなかったと。お母さん向けにわかるように、台本が作られてましたし、ましてやジローラモさんのような芸能人の人も登壇するわけですから。ジローラモさんが話す内容がこれは本当にもう放送できないんじゃないかなという部分もありましたが、結果としてはすごくわかりやすかったし、オンラインでも見ますっていう歯科関係者の人がお声をいただいて、すごく良かったなと思います。高屋先生どうですか?アップデートミーティングの内容って毎年難しくないですか?
髙屋先生:難しいです。僕は毎年いろんなコンテンツを考えていく中で、作ってる側が呼んでくる方っていうのは作ってる側が聞きたい方が圧倒的に多いと思うんですよね。オーディエンス重視というよりかは組織の自己満足で終わる傾向にあるなと思ってて。それは別にPHIJだけじゃなくて他のところでもあると思うんですけどね。それを何とか打破したいなっていう思いは、心のどこかではあったんです。今回前例のない挑戦っていうので、僕も栗林先生のお話聞いて最初はちょっと厳しいかなと思ってましたけど、蓋開けてみれば何とか無事に乗り越えられて僕も一歩成長したかなと思ってます。
栗林先生:僕の立ち位置としては企画っていうか全体の方向性をやっています。毎年PHIJのアップデートミーティングは高屋先生が実行委員長をやっているので、流れがわかっているんですよ。その実行部隊っていうのはやっぱり高屋先生が詳しかったから、僕がやる条件は高屋先生を実行委員長にすることだったんです。
石井:すごい企画だなと思いました。僕らは当日しか見てないので、ものすごい盛況だなっていう印象が強かったです。その裏では、非常にご苦労されたんだなと思います。やらなきゃとかやりたいって思っているグループとか組織っていっぱいあると思うのですが、なかなかここまで本気で仕上げて、しっかりとちゃんと伝わるか、伝えるんじゃなくて伝わるかというところまで考えられたイベントって初めてだなと感じております。
栗林先生:今回マニュアルができたので、これをもとに、誰かがやってほしいなと。僕じゃなくて、高屋先生でもいいんだけどちょっとあと5年ぐらいはもうお腹いっぱい。本当にぶれないで突き進むしかないんですね、僕も心が3回ぐらい折れちゃいました。
石井:本当そうですよね。こういうイベントやりたいよね、というとこまでの話しは行くことが多いですが実際に協力していただける先生方やその他のメンバーをこれだけ集めるの大変じゃないかなと思ったのですが、そのあたりはいかがでしょうか。
栗林先生:外枠は僕がもう全部決めていて、進めていくうちにチームごとに結構仲良くみんななって、チーム内でイノベーションが起こったりもしていて。メンバーが僕の知り合いだったということもあり、費用に関しては抑えるために結構無理言いましたね。あとはPHIJのメンバーが出たい出たくないではなくて、主要メンバーが全員登壇してガチガチに緊張しながらみんなやってましたね。放送メインの収録ってあまりやったことない人が多くて、いい経験でした。
髙屋先生:僕もやりながら、数人の先生に色んなこと言われたんですよ。もうそんなの絶対無理だから、赤字になる前にやめとけみたいなもの言われましたし、そもそもそんな話は絶対断るって言って断った先生もいましたし。いろいろありましたね。講師の調整もいろいろありましたけど、終わってみれば何か先生方とより仲良くなったというか、同じ経験をしてより絆が深まったんじゃないかなとは個人的には思います。
石井:それはすごい経験ですね。一般向けに何か工夫されたことはありますか?
栗林先生:医師会の方々等、大先輩が国民向けにイベントしていて。ただあのイベント一発って忘れちゃうので、反復して見れる環境じゃないとやはり覚えられないですよね。そうすると反復するには動画が良くて、料理を作りながらとか食事しながらでも良いですし、分からないところとか記録に残しておきたいところはスクリーンショット取って、見たい時にいつでも見返せるといいかな。例えばお母さんたちの明日からの子育てにすごく有益な情報があるので、本当見てほしいなって思っています。 あと最初の美容のところは、歯科衛生士さんが裏で本当に盛り上がってて、知りたかったんですみたいな声が多かったですね。美容と審美ってありますけど、歯科で医療系の美容は嫌う人がたくさんいて、ただそこを勝負で堀田先生に登壇してもらいました。やはり健康というのは精神と体の二つがあって美容は精神面を補っていくというか、治療していくというか。もちろん、アサインの時点でその登壇を嫌がった人もいます。そういう目で見られるのは嫌だからみたいな。現地の歯科医療関係者の人たちの誤解を解くという意味でも美容が一発目で良かったと思ってます。グッと注目を浴びていました。
石井:新しい取り組みがほとんどでしたので、始まる前まではどういうイベントなんだろうと私達も想像つかない部分が結構あったのですが、あの盛り上がりやあの内容を見て、こういう開催の形もあるんだなと企業側としても新しい発見になりました。
栗林先生:モデルとなったのは、最後に登壇した松嶋 啓介さん。彼が【食】で食×文化とか食×祭とか、食×スポーツとかそういうので食サミットっていうのを毎年やっていて、そこに僕も築山先生も何回か登壇させていただいた時に歯でもいけるな、やってみたら面白いだろうなって思ったんです。2018年だから4年前ですね。それが実現していって歯科医療関係者へのメッセージとしては、歯、口腔って全ての食企業様とか行政とか、医科歯科連携も含めて全てに通じる勇気を与えるみたいなイメージでした。結果的に本当に色々なことに繋がるってわかりました。
石井:そうですね。いろんなジャンルとのコラボがあったので面白かったです。
栗林先生:裏メッセージとしては、国民に歯から始まる健康を伝えたいっていうのがあるのですが、『13歳のハローワーク』という本を見たことあります?
石井:いえ、ないです。
栗林先生:この後に見てほしいのですが、インターネットで調べると毎月職業ランキングが出ているんです。13歳が選ぶ人気職業ランキングで上位には医者とかスポーツ選手とかYouTuberとか出てるのですが、歯科医師は何位だと思います?
石井:20位ぐらいですか?
栗林先生:もうね、この後見てびっくりしたのですがランク外どころか240位なんですよ。歯科衛生士も270位で、歯科技工士711位で、管理栄養士が160位ぐらいなんです。何が言いたいかっていうと、歯科って興味を持たれていないんですよ。土俵に乗ってないですね職業の。でも職業って誰が決めるかって本人じゃなくて実はお母さんなんですよね。お母さんに相談するんです。だからお母さんたちにやはり歯科の大切さを知ってほしいし、歯科にはすごい夢あるなみたいに感じて欲しい。職業ランキングでは100位までしか載ってないんですが、100位以外っていうのは、直接そこの松尾社長にメールするんです。そうすると、3日後にランキングが来るんですけど、もう愕然としますね、100位どころか200位以上みたいな。
石井:なるほど、それは知らなかったです。それが少しでも認知されるために継続していく必要がありますね。
栗林先生:その今回のイベント着地点としてはPHIJ全国のクリニックに行ってほしいなっていうのはありますね。PHIJは多くの歯科関係者に知られているのでここからは国民も含めて、年に1回ぐらいはと思っています。
栗林先生:石井さんはお子さんいますか?
石井:はい、9才の娘がいます。
栗林先生:9歳の娘さんで、一番心配なのは何ですか。
石井:歯の関係で言ったら歯並びはすごい心配です。ちょうど歯が生え変わるタイミングが今来ていて。
栗林先生:そうですよね、その際どうやって情報を得ますか?
石井:この業界ながらもやはり先生方に聞くしかないなって思ってます。
栗林先生:やはり1対1での情報になりますよね。今回のこの動画を国民に届けていくことは多くの人たちの歯並びが良くなっていくことでもあるんです。
石井:そうですよね、本当にそれは大事です。長年歯科業界にいるので個別でいろんな方から相談は受けたりもするんですが、情報発信する機会とか国民向けの情報はなかなかないんですよね。
栗林先生:あと、僕の息子は今1歳7ヶ月で早食いチャンピオンみたいに体が大きいんですが、早食いが原因でお腹下したりするんです。今回のイベントでは腸内についてもあって、この動画を見ればあらゆる健康の情報を得れる、相談できるという場所にしていきたいですね。

プロフィール

医療法人社団 栗林歯科医院 理事長 栗林 研治

1977年大分県国東市生まれ。日本歯科大学歯学部卒業。口腔外科出身の開業医にて6年間勤務。
勤務中に、ニューヨーク大学インプラント科にて、インプラント治療や審美を学ぶ。
2009年に、千葉県浦安市にて、栗林歯科医院を開業。
2011年にスウェーデンやスイスにて、虫歯や歯周病の予防医学を習得。
2014年には、ウィーン大学に留学し卒業、顎関節症を含めた総合治療を実現し、1万人の治療と予防に携わっている。
2018年には、業界やコミュニティーに変化をもたらした世界1の人物に贈られる
名誉あるアワードSMI World client of the yearをアメリカで受賞した。

高屋歯科医院 副院長 髙屋 翔
  • 2011年大阪歯科大学卒業
  • 2012年滋賀医科大学付属病院歯科口腔外科勤務
  • 2013年医療法人翔志会 たけち歯科クリニック勤務
  • 2014年〜The Japan institute for Advanced Dental Studies(JIADS)にて研鑽。
  • 2015年医療法人吉川デンタルクリニック勤務
  • 2018年〜Perio Health Institute Japan受講
  • 2019年〜米国歯周病学会認定専門医
    築山鉄平先生に師事。現在継続中。
  • 2022年グロービス 経営大学院卒業(経営学修士MBA取得)

インタビュアー

石井 貴久
【略歴】
  • 株式会社メディカルネット 取締役/株式会社ガイドデント 会長
  • 2011年㈱ガイドデント設立・代表取締役へ就任
  • 2021年㈱ガイドデント 会長就任
  • 経営学修士(MBA)

歯科業界で15年ビジネスに従事し、累計10,000人以上の歯科医師への提案や複数クリニックへの経営支援を実施中。また、患者向け相談窓口の運営や患者向けマーケティングも行なっている。

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