中医協:診療報酬改定の諮問への答申 歯科分野新規項目ほか今後推移に注目

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平成26月年度診療報酬改定の諮問を受けたていた、中央社会保険医療協議会総会で森田朗・中医協会長から、田村憲久厚労大臣に答申を行なった。重症患者向け入院ベッド(7対1病床、約36万床)を導入できる病院の要件を10月から厳格化し、高報酬の同病床を15年度までに25%(9万床)程度削減することを目指すなどの病院機能の明確化・強化、さらに医科歯科を含めた在宅医療推進に向けて"かかりつけ医"の役割の促進を果たすなどを柱の改定になった。 歯科の具体的な項目の点数で注目されたのは以下の通り。初・再診料(基本診療料)が、218点⇒234点、再診42点⇒45点にアップ。開業医の関心事の一つ外来診療環境体制加算は、初診が28点⇒26点、再診加算が2点⇒4点加算になったが、不満は多く「体制構築のために、投資をするのだが、この点数では本当に投資に見合うのが得られるかどうか。ゼロではないと思うが、極めて少ない一部には関係するが、大半の開業歯科医は関係ないと思うのが普通ではないか」と指摘する。 在宅医療に関係する歯科訪問診療1:850点⇒866点、歯科訪問診療2:380点⇒283点、追加として"1日に10人以上診た場合か診療時間が20分未満に限った"歯科訪問診療3:143点となった。一部社会問題になり中医協でも議論をされた"診療時間問題"を考慮・検討したものが反映したものと思われる。 今までの中医協でも、堀憲郎・委員(日歯常務理事)が改定にあたり、基本的姿勢として「歯科本来の機能である咀嚼への理解・評価してほしい」と訴えていたものが背景があると思われ新設された、「歯科口腔リハビリテーション1」は、1口腔単位で有床義歯100点、舌接触補助床190点となった。同様に、施設基準を満たすものとして地方厚生局に届出をした保険医療機で顎関節治療装置を装着している患者に行なった場合の「歯科口腔リハビリテーション2」には50点がついた。 また新設の加圧根管充填処置として単根菅130点、2根管156点、3根管190点がついた。歯牙保存の手法としての適切な治療を促す点数配分にしたとされ、個々の根管治療の重要性を置いたものと思われる。臨床的に効果があると臨床家で評価されている歯周病安定期治療(STP)も項目の見直しを行い、1歯以上10歯未満:200点、10歯以上20歯未満:250点、20歯以上:350点という細分化して点数設定を行なった。 歯科の予防の観点からの改定である、フッ化物の応用の一つである塗布処置を、1:う蝕多発傾向者:80点、在宅等療養患者:80点とし、その推進を図った。歯牙喪失の2大理由である"う蝕""歯周病"を予防する対応としての効果的な手法を評価したものである。 歯科領域では点数が高い手術分野では、歯根端切除(1歯)が、2歯意外:1350点、歯科CT撮影装置及び手術用顕微鏡を用いた場合:2000点となったが、舌腫瘍摘出手術は3140点⇒2940点、口唇腫瘍摘出手術3370点⇒3050点、頬粘膜腫瘍摘出手術:4730点⇒4460点などように下げられた。 歯科技工にも係わる、歯冠修復及び欠損補綴項目では、生活歯歯冠形成において、非金冠:CAD/CAM冠のための支台歯の歯冠形成:490点、同様に失活歯歯冠形成において、非金冠:CAD/CAM冠のための支台歯の歯冠形成:470点になった。さらに、CAD/CAM冠については、新設され1200点が付いた。具体的には、「厚労大臣が定める施設基準に適合した保険医療機関において、歯冠補綴物の設計・製作に要するコンピュータ支援設計・製造ユニット(歯科用CAD/CAM装置)を用いて、小臼歯に対して歯冠補綴物(全部被覆冠に限る)を設計・製作し、装着した場合に限り算定できる」となっている。 この項目は日本デジタル歯科学会(旧日本CAD/CAM学会=末瀬一彦会長)が発足するなど、歯科・技工界から将来展望を含めて注目されていた保険収載項目であった。この1200点という設定が妥当かどうか今後に委ねられるが、歯科のIT化においては、この分野の普及・拡充が問われるのは必至であり、どのような臨床成果が出てくるのかも注目される。 なお、昨年12月には、政治折衝を行い①診療報酬本体改定率 +0.73%となった。ただし、ただ、消費税増税に伴う医療機関の仕入れコスト増の補填分を除くと、実質の改定率はマイナス1.26%となっていた。 今回の答申書には、付帯意見が付けられたが特に、在宅医療の適切な推進と介護保険との連携について、5つの事項等を調査・検証し、在宅医療を主に行う保険医療機関の外来医療の在り方等を引き続き検討することとした。(1) 機能強化型在宅療養支援診療所等の評価見直しの影響、(2) 在宅不適切事例の適正化の影響、(3) 歯科訪問診療の診療時間等、(4) 機能強化型訪問看護ステーションの実態、(5) 在宅における薬剤や衛生材料等の供給体制。 今回の答申を受けたことで、厚労省は診療報酬改定の説明会をするが基本的には全国都道府県歯科医師会社保担当を対象に行なわれる予定になっている。
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