オンライン資格導入の今!厚生労働省の最新資料から読み解く

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 厚生労働省は、2021年10月の本格運用を目指している「オンライン資格確認等システム」の資料を公開した。厚生労働省医療保険部会で7月〜10月を「集中導入期間」と位置づけ、導入へ加速する方針を示しており、6月20日現在で医療機関におけるマイナンバーカードを読み取る顔認証付きカードリーダーの申し込み数は全体の約57.1%。当初目標としていた60%へ近づいている。

※令和3年7月29日 第144回社会保障審議会医療保険部会 資料5より

 オンライン資格確認は、医療機関や薬局で患者が加入する医療保険をリアルタイムに確認できる制度だ。従来、健康保険証を提示して資格確認をしていたが、マイナンバーカードの顔認証により健康保険証の代わりとする。2021年3月より、全国19施設の医療機関・薬局でプレ運用された。プレ運用では本格運用の前テストとして、実際のシステムで起きるデータの正確性やシステムの安定性・窓口業務の事務処理などを確認する意味合いがある。
実際にプレ運用すると資格確認エラーやレセプトコンピューターのエラーなどが発生した。このことから10月まで本格運用を延期すると報告されていた。
3月31日より、保険者が新規加入者情報を登録する際、中間サーバーへ登録されているデータと「個人番号・生年月日」で照合させ、同一の個人番号で異なる生年月日が検出できる機能を追加した。6月末からは定期的に住民基本台帳ネットワークシステムへ照会して、新規登録者のチェックができる環境を整備した。

 プレ運用期間中に医療保険部会へ報告されたエラーとして、
(1)「保険者が登録したマイナンバーが誤っている」
(2)「被保険者番号が正確ではない」
(3)「被保険者番号の情報が登録されていない」などが報告されていた。
2021年6月時点で、(1)(2)のエラー発生件数は0件となった。(3)に関しては2021年3月で約6.3万件報告されていたが、6月時点で約2.7万件と大きく改善された。

 実際、プレ運用へ参加した医療機関からは事務手続きが簡略された点や資格の有効性が即座に確認できる点を評価された。しかし、その一方で交付済みマイナンバーカード4000万件のうち、440万件で健康保険証として利用できる手続きが済んでいる。マイナンバーカードを持参する患者数はまだ多くないのも現状だ。 マイナンバーカードを読み取る顔認証付きカードリーダーの申込数は13万機関だ。そのうち約7万台のカードリーダーを配送済みだが、残り6万台の配送には至っていない。また、パソコンの確保は世界的な半導体不足により逼迫が続いており、調達に奔走していると説明があった。今後は正確性の高いシステムを押し出すことで、集中導入機関で多くの医療機関が申請するだろう。

歯科医師  桐生 賢太

訪問診療に力を入れる歯科医師。
医科歯科連携に力を入れ、患者第一の治療を優先している。

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