薬価と診療報酬本体は差引プラスか?

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別に薬価長期品下げで全体マイナスかゼロ Online Medニュース 2013年12月17日 ・すでに見える行き先、予算編成基本方針の書きぶり 診療報酬改定率をめぐる財務、厚生労働、内閣官房の大臣会合が始まった。政府が12月12日に閣議決定した予算編成基本方針から想定される決着は、薬価の市場価格に基づく引下げ分を財源に診療報酬本体は引き上げ改定をし、別に長期収載品を引き下げてその分は財源としない形。 薬価と診療報酬本体の差し引きは一体改革に基づく医療提供体制の整備の観点からプラス改定、だが、財源外の長期収載品引き下げを合わせると、トータルではマイナスあるいはプラスマイナス・ゼロというところか。 診療報酬改定率について、政府の26年度予算編成基本方針は、「26年度診療報酬改定は新たな国民負担につながらないように努める」とし、新たな国民負担を避けるべきとの姿勢を最初に示している。 だが続けて、「しかし、医師不足など地域における医療に係る諸問題に的確に対応しなければならない」との記載がある。 これを合わせてみると、「新たな国民負担につながらないよう努めた上であれば、医療の諸問題に対応した結果として、わずかに国民負担増となることもやむを得ない」と読み込めそうだ。 また、薬価については「市場実勢価格を適切に反映する」とともに「長期収載品の意義を踏まえた後発医薬品との価格水準の妥当性を検証」して、「改定を行う」としている。 つまり、「市場実勢価格の適切な反映」と、「長期収載品の後発医薬品との価格水準の妥当性の検証」の2つの面からの改定を行うという考え方である。 長期収載品については、平成22年と24年の改定で、後発品への置き換えが進んでいないことを理由にその見合い分の引き下げが改定率決定の政府協議の中で決定されてきた。そして、その部分が診療報酬本体の財源に充てられることはなかった。 一方、今改定では、そうした経緯を踏まえて、長期収載品の価格改定方式の見直し方針が中医協で決定されている。 これに対して、予算編成基本方針の書きぶりを見ると、これまでの「後発品への置き換え」とは違い、「後発品との価格水準の妥当性」を検証するとしている。中医協が長期収載品の改定方式の見直しで対応するのとは別の観点を示したものということになる。 中医協が見直しをしても、まだ対応すべきことはあるというのだ。 そして、診療報酬本体については、「医療費の増加に伴う国民負担の増加を勘案しつつ、これまでの改定による影響なども踏まえ」て、「適正な評価を行う」としている。 「医療費の増加に伴う国民負担の増加」があるので「それほど大きな伸びにはできない」が、「これまでの改定による影響など」を踏まえながら、「適切な評価を行う」のである。 「これまでの改定の影響」としては、医療経済実態調査に見られた医業経営の安定した状況、あるいは日医の主張である「大病院に手厚く、中小病院と診療所に薄かった改定」といったところが想定される。医療経済実態調査の結果を踏まえるなら、やはり大きな引き上げが必要とは言い難く、一方で中小病院と診療所にはある程度の対応が必要ということになりそうだ。 財政審建議や中医協支払側が主張した、薬価改定分を診療報酬本体の財源とは切り離すべきという点に関しては、予算編成の基本方針では直接触れることを避けている。 それに対応する考え方と見られるのは、「診療報酬本体と薬価のそれぞれについて真に必要な分野への重点的な配分を行う」との記載だ。「それぞれについて」という表現は、かなりあいまいな言いまわしである。診療報酬本体はその中で、薬価もその中で、というように切り離して考えることもできそうだが、「診療報酬本体も薬価も必要な分野に重点的に配分」と両者を取り混ぜて考えるという見方もできる。 こうして見てきたときに、薬価は市場実勢価格を反映する部分については従来通り診療報酬本体の財源として使用。「診療報酬本体の適切な評価」がさらに必要であれば、薬価改定分を突き抜けることもやむを得ない。ただし、「国民負担の増加を勘案」することが必要で、突き抜け分はできるだけ抑える。 他方、薬価について、別に長期収載品で「後発品との価格水準の妥当性」の観点から引き下げを行い、これは診療報酬本体の財源とはしない。 その結果、診療報酬本体の引き上げで薬価の市場価格の反映分を突き抜けた部分は、長期収載品の引き下げ分で賄うことができる。医療費全体としては、マイナスあるいはゼロ改定とし、少なくとも診療報酬改定に伴う国庫負担の増額はおこらないようにする。 財政審建議を後ろ盾に診療報酬本体マイナス改定を求める姿勢の麻生財務相に対し、田村厚労相は一体改革で消費税増税分を使った医療提供体制の整備が求められていると本体引き上げの考えで始まった関係大臣会合だが、予算編成の基本方針からは、こんな幕引きが想定される。 中医協が12月11日まとめた意見書は、支払側はマイナス改定とすべきとの意見、診療側はプラス改定が必須との意見、と両論を併記、また支払側主張の薬価・材料価格改定分の診療報酬本体への充当の取りやめに対しては「診療報酬本体、薬価・材料価格の改定を一体的に実施する」と表現、診療側にも配慮した。 その政治決着が予算編成の基本方針であり、具体的姿としての数値は数日後の予算編成の冒頭で示されよう。 資料1:田村厚労大臣閣議後記者会見概要(12月13日、厚労省) http://www.mhlw.go.jp/stf/kaiken/daijin/0000032278.html 資料2:平成26年度予算編成の基本方針(12月12日閣議決定)(内閣府) http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2013/26_yosanhensei.pdf 資料3:平成26年度予算の編成等に関する財政審建議(11月29日、財務省) http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia251129/01.pdf 資料4:平成26年度診療報酬改定について(12月12日、中医協意見)(厚労省) http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000031918.pdf
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