現在の歯科医師統計について〜厚生労働省統計結果より〜

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厚生労働省は医師、歯科医師、薬剤師の統計を2年ごとに実施している。この統計は厚生労働行政の資料作成の目的とされており、日本国内に住所があり、歯科医師法第6条第3項により届け出た歯科医師が対象とされている。

今回は施設・業務の種別にみた歯科医師数や医療施設に従事する歯科医師数の統計状況について解説していく。

現在の総歯科医師数

令和2年12月31日における総歯科医師数は107,443 人。男性80,530 人、女性26,913 人となっている。 今回の結果は前回の統計と比べると2,535 人、つまり2.4%増加したという結果になった。また人口10 万対歯科医師数は85.2 人で、前回に比べて2.2 人増加していた。


施設・業務の種別にみた歯科医師数

従事している施設・業務の種別の統計によると医療施設の従事者は104,118 人で総数の96.9%で、前回に比べ2.3%増加している。介護老人保健施設の従事者は28 人で、 前回に比べ 17.6%減少し、医療施設・介護老人保健施設・介護医療院以外の従事者は 1,646 人で2.4%増加している。

ほとんどの歯科医師が医療施設での勤務をしているものの、医療施設・介護老人保健施設・介護医療院以外の従事者が増加傾向にあり、多様な働き方が増えてきている現代において、歯科医師としても医療施設のみで働くことが当たり前ではなくなってきているのではないか。

性・年齢階級別にみた歯科医師数

医療施設(病院・診療所)に従事する歯科医師を性別にみると男性が78,335 人で、前回に比べ 1.1%増加し、女性は25,783 人で、6.3%増加している。 年齢階級別にみると、50〜59歳が23,769 人で、22.8%と最も多く、次いで60〜69歳が23,136 人で22.2%となっている。

超高齢化と言われる昨今において、歯科業界においても同様な現象が起きているのではないだろうか。

また、男女の構成割合を年齢階級別にみると、すべての年齢階級で男性の占める割合が多くなって いるが、女性の割合は、年齢階級が低くなるほど高く29 歳以下では46.4%となっている。

男女比で見ると圧倒的に男性の割合が高く、歯科医師といえば男性というイメージも強いが、女性の歯科医師も年々増え続けており、将来的には男女比が対等になるのではないだろうかと考える。

実際に29歳以下では女性の割合が半数近く、歯科医療業界ではすでに男女比の割合は対等になってきている。

施設の種別にみた歯科医師数

施設の種別にみると診療所が91,789 人、医育機関附属の病院9,099 人、病院(医育機関附属 の病院を除く)3,230 人となっており、年々 診療所の増加が続いている。

診療所以外の数はほぼ横ばいとなっており、診療所が増加していることから若いうちから独立をして開業している歯科医師が増えているのではないだろうかと推測する。

出典:厚生労働省・令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況


診療科別にみた歯科医師数

歯科医師の数を診療科別にみると歯科が89,717 人で86.2%と最も多く、次に歯科口腔外科が4,413 人で4.2%となっている。

施設を種別にみると、病院では歯科が42.4%、歯科口腔外科が31.4% と多く、診療所では歯科が92.0%で最も多い。 さらに診療科別に平均年齢をみると歯科が 53.7 歳と最も高く、臨床研修歯科医を除くと歯科口腔外科が42.6 歳と低くなっている。

つまり世の中には一般的な歯科医院の数が圧倒的に多く、さらに専門的な知識を必要とする口腔外科が2番手に存在しているということになる。

出典:厚生労働省・令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況


専門別にみた歯科医師の数

専門性資格別にみると口腔外科専門医が2,369 人で2.3%で最も多く、 専門性資格の割合を施設の種別にみると、病院では口腔外科専門医が10.7%で最も多く、診療所では小児歯科専門医が1.2%が最も多くなっている。

小児歯科医、歯周病専門医に関しては圧倒的に診療所に多いことから、独立をして専門的に診療しているということになるだろう。

出典:厚生労働省・令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況


都道府県(従業地)別にみた人口10 万対歯科医師数

医療施設に従事する人口10万対歯科医師数は82.5 人で、前回に比べ 2.0 人増加している。 都道府県別にみると、東京都が 118.4 人と最も多い結果となり、次いで徳島県 112.6 人、福岡県104.1 人となっている。青森県は56.5 人と最も少なく、次いで島根県58.1 人、滋賀県58.2 人だった。

歯科医師の数は都道府県によってかなり偏りがあり、さらに都道府県の中でも地域によって不足している地域や逆に多くなってしまっている地域があるのではと推測する。

地域差に関しては今後 歯科医療業界の問題としてさらに深く追及していく必要があるのではないだろう。

出典:厚生労働省・令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況


最後に・・・

今回は厚生労働省の歯科医師統計について解説してきたが、今回の結果より歯科業界のさまざまな背景が見えてきたのではないだろうか。

統計をもとに今後の歯科業界のに参入していくべき余地のある専門的分野や地域などをあらためて見直すきっかけとして、今後の歯科業界をさらに盛り上げていく必要があるだろう。


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