予期せぬ死亡医療事故は年間1300〜2000件

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<医療版事故調査制度>院内調査に外部医師

 毎日新聞 2013年5月29日(水)22時45分

 

医療事故調査の仕組み

診療行為中に起きた予期せぬ死亡事故の原因を究明する「医療版事故調査制度」の概要が29日、固まった。

国内すべての病院や診療所に対し、第三者の立場で原因を調べる民間の事故調査機関に死亡事故を届け出たうえで、院内調査と結果の報告を義務付ける。院内調査に原則外部の医師を入れて客観性を担保するが、遺族が調査結果に納得できない場合は事故調が直接調べることも可能になる。

制度のあり方を検討してきた厚生労働省の有識者会議で内容がまとまった。厚労省は今後、手続きを定めるガイドラインを作成したうえで医療法改正案をまとめ、早ければ今秋の臨時国会に提出する方針。

相次ぐ医療事故に対し、遺族からは医療機関側による原因究明が不十分との指摘が出ていた。医療界からも医師個人の刑事責任を追及するより、再発防止に向けた中立的な立場での調査が必要との声が上がり、法律に基づく調査機関の設置に向けて2007年から検討が続いていた。

新制度では、事故調が歯科診療所や助産施設を含め、全国計約18万施設の事故事例を集め、原因を分析することになる。

厚労省は、全国の医療機関で起きる予期せぬ死亡事故は年間1300〜2000件に上ると推計している。

厚労省は、一部地域で事故調査のモデル事業を行っている一般社団法人「日本医療安全調査機構」(東京都港区)などを調査実施機関にすることを検討している。院内調査に外部の専門医がスムーズに加われるよう、都道府県医師会や医療団体が支援する。

事故調は遺族の申請があれば院内調査と並行した独自調査も行う。医療機関側も院内調査とは別に事故調に対して自ら調査を申請できる。

将来的には重い障害が残った事故なども調査対象にする方向で検討する。警察への死亡事故の届け出は事故を起こした医療機関が行い、事故調は通報しない。

遺族に事故調の調査費用の負担を求めることについては、一部有識者から反対の声があったが、調査の申請を妨げることのない金額になるよう配慮し、所得によって減額することでまとまった。【桐野耕一、奥山智己】

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