第1回中国歯科医療研究会 Q&A
日本アンチエイジング歯科学会(松尾通会長)の第1回中国歯科医療研究会が9月25日、東京・中央区日本橋の八重洲ホールで開かれた。
各講師が講演し、Q&Aのあと講師と参加者たちの名刺交換が行われた。
Q&Aでは、松尾通会長が司会を務めた。
司会: 松尾通会長
中国と対応していくためには、第一歩となるのが中国のカードシステムである。
あらゆる業種が中国に殺到している。
そこで新しい状況について、特別に三井住友カード(株)の加盟店事業部部長の大谷博之さんをお招きした。
「銀聯カードの取り扱いについて」
三井住友カード(株)の加盟店事業部
部長大谷博之さん
銀聯 ぎんれいと読む。
2002年 中国銀聯は、中国の中央銀行である中国人民銀行が中心・連合となり政府主導で設立された。
中国の銀行間の決算ネットワーク運営会社である。
中国を中心に香港・マカオなどの金融機関約200行以上が加盟している。
2010年1月現在で約21億枚の銀聯カードが発行されている。
これまでは各銀行がそれぞれカードを発行していたので、店のレジのところに支払のために6、7台のカード読み取り機が並べてあった。
そこで政府が中心となりカードを統一するこことなった。
2008年1月に三井住友カードと中国銀聯カード発行業務で提携し、発行を開始した。
中国から来られた方は100%銀聯カードを持っているので、このカード支払をする。
カードには銀聯ブランドマークがついている。
暗証番号は日本が4桁であるが、銀聯カードの暗証番号は6桁だ。
ATMは中国国内での1日の現金引出限度学は5000元(約7万5000円)。
国外では1万元(約15万円)。
中国の富裕層は、日本国内で1回に2000万円を支払っている例もある。
デパートで300万円〜400円の買い物をしている。
高級時計などを買っている。
日本円で回収できる。
クレジットカードではないので、銀行口座に残高がないと支払いはダメであり、10秒で残高が照会される。
トラブルはない。
(歯科医院でも、銀聯カードの加盟契約ができるので、端末機を設置できる)
歯科関係はまだないないが、健康診断では千葉県の亀田病院が銀聯カードを導入している。
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2006年から北京龍頭クリニックで働いていた奥田麻美子さん(中国歯科医師免許取得)もQ&Aに参加した。
奥田さんによると、患者は大半が日本人で企業関係者であった。
中国へ滞在した場合は、紹介できると述べていた。
今回のテーマは、「医療観光」であり、(株)楽電インターナショナル(日本政府中国公民赴日旅行指定招待社)の何軍さんは、「富裕層に対して、難病の治療や腫瘍の手術などを想定しているが、受け入れのために模索中だ」と述べた。
また、日本で一部人間ドックが行われているようだ。
1回の支払は20万円~30万円の金額を想定しいているが、治療が必要な場合、あとのフォローをどのようにするのかを検討中という。
司会:松尾会長は以下の考えを述べた。
医療観光は可能性はあるが、色々な条件をクリアーしなければならない。
私たちはそこのところを真剣に受け止めなければならないと思う。
すでに福岡の先生が弁護士会と組んで、インプラントを中心に医療観光をしている。
そのような芽生えがすでにある。
時間がかかる根管治療などはなかなか難しい。
高度先進医療費は大学病院で、一般開業医としては、審美系とインプラントになると考えている。
これから医療観光のシステムを構築していかなければならない。
日本へ観光で来られた中国の方は、ほとんど日本が好きになる。
これは間違えのない事実である。
それはなぜかというと、インフラがよく整っている。
街がきれいであり、食べ物がおいしい。
観光でも見るところがたくさんある。
温泉もある。
物は豊富にある。
そこでできれば、日本でいい医療を受けたいという中国の人もたくさんいると思う。
第1回の中国歯科医療研究会を契機として、今後、医療観光のシステムを構築できたらいいと思っている。
日本アンチエイジング歯科学会のネットワークを利用して、医療観光を実現させたい。
日本は医師が足りないが、幸い歯科医師は人材が余っているので、医療観光の可能性はあるはずだ。
また、自由診療であり、高額な歯科治療が対象となるが価格についてはきちんと説明できなければならない。
福岡の歯科医院では日本人のインプラント治療より中国人の治療費は高めであった。
司会の松尾通会長会場に質問を求めると、まず、会場から、銀聯カードの手数料についての質問がった。
三井住友カードの大谷部長は、「0.5%ほど高めである」と答えた。
また、会場から最近の事件に対して、「中国の国民と政府の動きが、どうもシンクロされていないという感じであったが、これからはどうなるのか」と質問があった。
何軍さんは、質問に対して、「政府には政府の立場があり、人民には人民の立場がある。
アジアでまとまることが将来的に大切なことだ。中国と日本は兄弟の関係である国なので、たまに兄弟の喧嘩はある、これは私個人の考え方だ」と述べた。
北京在住の田中健一さん(中国歯科医師免許取得)は、「日中で政治的な問題が出たときに、中国政府が人民の意見を吸い上げる仕組はできている、と私は思っている。
各省、地区の人民の声を中央政府に上げる仕組をもっているので、それがいいかどうかは別として、人民の声が国に届きやすくなっている」と述べた。
また、中国の歯科のレベルについて質問があった。
奥田麻美子さん(中国歯科医師免許取得)は、「私が勤めていた北京龍頭クリニックについてさきほど紹介したが、中国系の診療所と比べると日本の普通の保険診療所の方が技術は上だと思う。
外資系の病院になると北京の先生でもかなりのレベルだ。
そして日本の歯科材料よりもいい歯科材料を使っていた。
また、以前は歯科医師、医師は給料が安く、日本のように優遇されていなかった。今は給与プラス袖の下、賄賂があるのでいい待遇だと思う。
日本は技術を磨くために外部で勉強するが、中国の場合は大学の外へ出てしまうと大学へ戻れない。大学で何年働いているのか、公立病院で何年働いているのかを聞かれる。
日本とそこがちょっと違っていると感じた」と説明した。
さらに、田中健一さんは、「全中国の総歯科医師人口は27万人、その1%が4つ星である。4つ星と三つ星を合わせてもせいぜい5%、9割が一つ星だ。
どの面で中国の歯科医師を見るかで違ってくる。
北京大学の8年生の学生は全員、ドイツ製のマイクロスコープを使用して臨床実習を受けていた。上の1%の歯科医師の技術は日本の歯科医師より上と思われた。
10年前は四つ星の先生は日当1万円でもいいと、来ていただいたが、今は日当が10万円となった。年収は5000万円を下らない」と述べた。
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