歯周病治療により糖尿病が血液検査上改善された症例

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第19回茨城県医学会併催第32回茨城デンタルショーは2月6日、水戸プラザホテルで開かれた。

今回は日本補綴歯科学会東関東支部総会・学術大会も主なわれ、1000名余が参加した。

 

医科歯科連携治療を目指して

歯周病治療により糖尿病が血液検査上改善された症例の考察

 

木村歯科医院(水戸支部)

木村利明さん

 

歯周病と全身疾患との関係については、奥田克爾(元東京歯科大学微生物学)らによる多くの基礎研究がなされている。

これは雑誌等でも数多く紹介され、歯科界では取り上げられてきた。

しかしながら、このことが医科の先生方には、ほとんどと言ってよいほど伝わっていないのが現状である。

歯科からの一方的なメッセージとなっていることは否めない。

その要因は、基礎的な報告が主で、臨床の具体的な症例報告がほとんどないことであろうと思われる。

私は、一昨年この学会で歯周病治療を発表した。

多くの重度歯周病と糖尿病との関連があるといわれる症例を経験してきた。

だが、血液検査上で具体的にその関連性について説明できるような検査データはほとんど無かった。

歯周病と糖尿病の関連について、実際に症例で経験してみないことには、患者に説明する上でも説得性に欠けることは言うまでもない。

今回、私は患者が受診する際に持参した血液検査上、糖尿病と歯周病治療が明らかに改善されたとおもわれる2症例を経験したので報告する。

症例1:72歳男性

初診は平成21年5月7日

主訴 歯が動いてものがたべられないと述べていた。

既往歴は、糖尿病と高血圧であり、歯周病治療で歯の動きが止った。

そして血液検査上で糖尿病と歯周病治療の関連が証明された。

症例2:58歳男性

初診は平成20年12月22日

主訴 歯肉出血と奥歯が腫れる。

改善せず臼歯部の動揺と腫れがひどくなり来院した。

既往歴は、糖尿病、大動脈解離、高血圧、高脂血症

この患者も血液検査上で糖尿病と歯周病治療の関連が証明された。

徹底した口腔清掃が奏効した。

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<参考>

 

歯周病は、歯の周囲のハグキなどの組織に細菌が感染して起こる慢性的な感染症。

歯周病は以前から、糖尿病の合併症の一つと言われてきた。

実際、糖尿病の人はそうでない人に比べて歯肉炎や歯周炎にかかっている人が多い、という疫学調査が複数報告されている。

なぜ、糖尿病の人は歯周病になりやすいのか?

まだこの詳細な仕組みは解明されていないが、血糖値が高い状態が続くと、体の免疫機能が低下してさまざまな感染症にかかりやすくなったり、糖分を多く必要とする歯周病菌が増殖しやすくなるためではないかと考えられている。

糖尿病がある人は、歯周病になりやすく、また、歯周病の状態が悪いと血糖コントロールに影響を与えることがある。

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