2019パラオ共和国ベラウ国立病院における草の根医療ボランティア活動

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 医療法人社団 葵会 AOI国際病院 歯科口腔外科の田島聖士氏と形成外科の須田俊一氏は、2019年3月にパラオ共和国のベラウ国立病院にて医療ボランティア活動を行いました。この活動は個人の有志レベルで実施されており、2017年3月と2018年1月に続く、3回目の活動です。

本記事では今回の活動報告と今後の展望について記載いたします。このボランティア診療の経緯等については、前回の記事をご参照ください
https://www.dentwave.com/article/report_89755/)。

1.活動期間

2019年3月7日~3月8日

2.活動内容

(1)歯科口腔外科

1日の患者数は約10名で、治療内容はコンポジットレジン修復、根管治療、単純抜歯、埋伏智歯抜歯でした。現地の歯科医師と治療についてディスカッションも行いました。
 私たちが昨年にドネーションした根管長測定器(横浜都筑ロータリークラブ様からの寄贈品)を、現地の歯科医師が継続して活用しており、パラオで根管治療が根付きはじめているように感じられました。
(◀ボランティア診療の様子(歯科口腔外科))


 私たちが昨年にドネーションした根管長測定器(横浜都筑ロータリークラブ様からの寄贈品)を、現地の歯科医師が継続して活用しており、パラオで根管治療が根付きはじめているように感じられました。
今回のドネーションは、オーラルヘルス株式会社と昭和薬品化工株式会社から提供されたオーラルケア製品で、ベラウ国立病院のデンタル部門に寄贈いたしました。

▲2019年のドネーション オーラルヘルス株式会社と昭和薬品化工株式会社から寄付されたオーラルケア製品

(2)形成外科
 1日の患者数は約8名で、治療内容は外来診察、外来手術(粘液嚢胞、眼瞼黄色腫、色素性母斑、軟性線維腫、ピアス穴の閉鎖)でした。

▲ボランティア診療の様子(形成外科)

3.課題

(1)歯科口腔外科
Ⅰ.口腔健康
 パラオではオーラルケアの水準は低く、う蝕や歯周病に罹患する患者が増加しており、口腔衛生指導の啓蒙活動が必要です。また多くの国民がビートルナッツを噛む習慣があり、この習慣から脱する対策の考案も重要と考えられます。

Ⅱ.義歯
 今回の活動で義歯に関して多くの問題があることを認識しました。多くの義歯はレストプレパレーションをされていません。咬合平面板はなく、咬合器も少ない状況です。印象採得の方法、咬合採得の方法についても教育が必要と感じられました。昨年秋よりJICAから日本人歯科技工士が派遣されているため、この技工士さんと共に標準的な義歯作製方法をパラオ人歯科医師・歯科技工士に教育できれば良いと考えています。

▲咬合採得されていた咬合床
(2)形成外科
パラオの外来処置室には、滅菌された十分な数の治療器具がないことと、事前の打ち合わせが出来ていなかったことにより即時には対応できない症例(皮膚移植片壊死)がありました。今後は事前のコンサルを実施して対応すべきと考えております。

4.今後の展望

 この活動に関して今年も多くの方々からご支援をいただきましたことを感謝いたします。
今回私たちが行く直前に、日本人の別の歯科医師がベラウ国立病院にボランティア診療へ来られていました。その先生が抜髄された患者さんの継続治療として、私が根管充填等も実施しました。その先生と面識はありませんでしたが、継続治療を担当したことにより、日本人らしい丁寧な治療をされていることが分かり大変感銘を受けました。

▲ベラウ国立病院歯科のカルテ
(日本人歯科医師が抜髄後、田島氏が根管充填を担当した。歯式はアメリカ式のため#28は右下4番の意味。)
 このような日本人同士の連携ができれば、パラオの歯科治療技術向上に貢献できると感じており、私たちは今後パラオでのこの活動を「医療ボランティアに思いのある日本の歯科医療従事者に広めていきたい」と考えているところです。

 現地には多くの患者さんがいること、日本の医療従事者がパラオの困っている人に貢献できる可能性が多いにあること、そして活動を通じて喜ぶ患者さんやスタッフの笑顔を見る事により日本での日常臨床でつい忘れてしまっているもの、医療の原点を感じることができると思っております。

「打ち上げ花火」形式ではない継続的なボランティア活動が必要であり、そのためにも多くの日本人医療ボランティアを募り、定期的なボランティア活動を行える支援体制ができればと考えています。

 この活動にご興味のある先生方、歯科衛生士の方、歯科技工士の方等がいらっしゃいましたら私たちにご連絡ください。私たちがパラオ保健省と連絡を取り、テンポラリーライセンスの発行、アポイント調整のお手伝いをさせていただきます。

▲ベラウ国立病院のスタッフ
 海外でのボランティア診療にご興味のある方、仕事をリタイアされた方、パラオ観光を考えている方等、診療は1日だけでも可能ですし、パラオ旅行の中日に診療していただくことも可能です。すべて実費でのボランティアになります。何かご不明な点がありましたら下記連絡先までご連絡いただければ幸いです。

お問い合わせ先

ブランネットワークス株式会社
メール:info@blanc-net.co.jp


 最後に今回のパラオのボランティア診療においてオーラルケア製品を提供してくださった、下記の2社に感謝申し上げます。

お口の健康株式会社
https://o-kuchi.com/

昭和薬品化工株式会社
http://www.showayakuhinkako.co.jp/


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