2019年JAID学術大会

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▲2019年JAID学術大会
2019年JAID学術大会 イベントレポート
2月11日、秋葉原駅直近のアキバホールにおいて、「2019年JAID学術大会」が開催された。当日の参加者は200人近くで、参加者の約3分の1が非会員だった。

2019年JAID学術大会のアウトライン

・JAID総会(会員対象)
・清水 藤太先生 講演
・Sam Simos先生 講演
・五十嵐 一先生 講演
・鈴木 仙一先生 講演
本記事は、エンド専門医としてロサンゼルスで活躍されている清水藤太先生の講演内容を取り上げる。「マイクロスコープやNi-Tiファイルを保険の歯内治療で活用したい」とお考えの読者にぜひ一読していただきたい。
清水藤太先生講演「最先端エンドの一般保険診療への導入のヒント」
▲清水藤太先生講演「最先端エンドの一般保険診療への導入のヒント」
「保険中心の歯科医院でも、マイクロスコープやNi-Tiファイルを駆使した歯内療法は可能である」本講演で清水先生は述べた。
清水先生は1人の患者に1時間のアポイントメントをとり、その中で抜髄即充処置を行っている。マイクロスコープやNi-Tiファイルを駆使できれば、1時間という時間で全ての処置を行うことは、十分可能なのかもしれない。
「マイクロスコープやNi-Tiファイルを保険診療で使うのはコスパが悪い」こう考える読者は多いのではないだろうか。しかし、清水先生は抜髄即充の際に算定する保険点数を例に、1時間程度で抜髄即充できれば保険でもコスパは良いことを説明した。
例:上顎前歯歯髄炎の抜髄即充処置における算定
初診料:237点
歯管(文書加算):110点
X線撮影(う蝕進行確認):58点
抜髄即充(1根管):300点
EMR:30点
X線撮影(ポイント試適):48点
加圧根充処置:136点
X線撮影(根充確認):48点

合計:967点


う蝕除去から根充までを一時間で終了させれば、コスパの悪い根貼処置をする必要がなくなり、患者の来院する手間を省くこともできる。その上、空いた時間帯に他の患者を入れて治療できる。このように考えれば、確かにコスパは悪くない。
しかし、短時間で、かつ上手に歯内治療を行うには、見えない世界を見える化するマイクロスコープと、根管の湾曲に追随するNi-Tiファイルが必要不可欠である。特に、マイクロスコープを使用できることは、大きな鍵となる。
では、マイクロスコープを使いこなすために、どうすれば良いだろうか。次項では、清水先生が言及した、「マイクロスコープ上達のための3つのポイント」を紹介する。
マイクロスコープ上達のための3つのポイント
1.エクステンションアームが付いている
柔軟性が高く、軽量のエクステンションアームがあれば、患者の体動に追随しやすく、ピント合わせも楽である。
2.焦点距離が250mmである
肘を曲げた時に手の位置が乳頭の位置に来ると作業がしやすい。固定レンズ式のマイクロスコープでは、この位置で治療できるように、焦点距離が250mmに設定されていることが多い。バリオスコープ(焦点距離が200-300mmと広範囲のレンズ)を使用していたとしても、焦点距離250mmを意識して使用した方が良い。
3.歯内治療以外にも使用する
歯内治療以外でも使用しなければ、上達しない。ましてや、初心者がいきなりマイクロスコープを使って形成することは、難易度が高い。まずは、マイクロスコープを使用し、表麻→浸麻→In・CR形成→歯内治療のように、徐々にステップアップしていくことが重要である。
「歯内治療の上達には、道具(投資)、理に適う治療コンセプト、今までの経験を捨て去る勇気が必要だ」清水先生の受講者に対するメッセージである。講義を通して、マイクロスコープやNi-Tiファイルが歯内治療に欠かせないことが理解できた。近い将来、大学の歯内治療の実習でも、手用ファイルではなく、マイクロスコープやNi-Tiファイルを使う日が来るかもしれない。
本記事が読者の歯内治療の一助になれば、幸いである。
古川 雄亮(ふるかわ ゆうすけ)
  • 日本矯正歯科学会 所属

東北大学歯学部卒業後、九州大学大学院歯学府博士課程歯科矯正学分野および博士課程リーディングプログラム九州大学決断科学大学院プログラム修了。歯科医師(歯学博士)。バングラデシュやカンボジアにおいて国際歯科研究に従事。2018年より、ボリビアのコチャバンバで外来・訪問歯科診療に携わり、7月から株式会社メディカルネットに所属。主に、DentWaveやDentalTribuneなどのポータルサイトにおける記事製作に携わり、現在に至る。


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