第25回 記事から引用:見捨てられる「歯科医」 特集:歯科医の「自然淘汰」を待つ厚労省”

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先日,新聞を読んでいるとその広告に,特集「見捨てられる歯科医,歯科医の自然淘汰を待つ厚労省」を掲げた雑誌があった。これは大事ではないか,と思い,早速本屋にて購入し読んだ。(店頭で見つけれると思います)

雑誌を開くと一つ目の特集に今回の題目があった。14頁から始まっている。特集の一つ目は,「開業医の所得は17%減,歯科医の自然淘汰を待つ厚労省」。歯科業界について,「ワーキングプア」として報道されるようになって久しいが,状況はさらに深刻になっていると書かれている。給料が安い状況にあることが書かれているが,立派な歯科医師になるまでは,給料が低いのは当たり前ではないでしょうか。20年位前になるが,私の初任給は20万位,私の友人は10万だった記憶がある。しかし,彼は好んで選び,その後立派な歯科医師になっている。

その記事では,ある月の実質的な収入が,(おそらく昨年と比較して)17.2%減り,99万円5千円になったとのこと。安い?高い? 徐々に減少しているようだが,現在の経済状況の中で,収益が大幅に増額しているのは,アップル社などの特別な企業であり,どの業界も厳しい状況であると思われる。ソニーでさえ,赤字なのだから。

厚労省担当は「開業してもなんとかやって行けるように見えるが,それまでにかかった諸々の費用を考えると,元が取れる商売とはとても言えなくなっている」と述べている。諸々の費用とは,歯科医師になるまでと開業費用の事を指していると思われる。もちろんそういった面もあるが,諸々の費用がかかっても,成りたい職業になれたことは,良いのではないだろうか。収入が低いから歯科医師になるのは良くないという表現は避けてもらいたい。歯科医の仕事は,面白く,とても価値のあるものだと思うからだ。これでは,ケーキ屋さんになりたい人はどうしてなりたいのでしょうか。

開業医さんは次のように述べている。「親から借りたお金が返せなくて,両親の老後費用を食い潰しているわけで,親不孝者だと自責の念にかられます」。私は私立大学歯学部を卒業し,大学に勤務している。親に出していただいた学費を返すことはできないかもしれない。これでは,同じように私も親不孝者になってしまうが,お金の代わりになにか親にできることを考えている。

「保険診療はもともと安い上に,分野によっては経費を差し引いたらほとんど利益が出ないことも珍しくない」と開業医さんが述べているが,ほかの職種と比較して,本当に安いのだろうか。保険診療があるから一定の医療方持たれていることは無いのだろうか。また,どうして,保険診療の点数が上がらないのでしょうか。

インプラントについて開業医さんは,「インプラントバブルが弾けた。ブームは終わり,数年前から価格破壊が起こり,儲からなくなった」ブームは,終わるものであり,ブームになった後で乗っても遅いのは,どんな職種でも同じではないでしょうか。ブームは歯科医師から見たブームではあり,患者さんには,ブームは関係ないですよね。

中国製の歯科技工についても,日本では使われていないニッケルクロム合金が使われているという指摘されているが,誰が問題なのでしょう。歯科医師には歯科技工士を育てる役目もあるのではないでしょうか。

これ以外の記事として,過去の不正の問題に触れていた。

二つ目の特集は「学費値下げも焼け石に水,存続が危ぶまれる私立歯科大学」である。私は私立大学に勤務しています。内容は「松本歯科大学」のことと,「神奈川歯科大学」の事が主に書かれていた。松本歯科大学は学費を下げた後の学生の充足がどうなるかということに焦点をあてていた。昨年も学費を下げて,受験者数が格段に増えた大学もある。私立大学は学費を少しづつ下げる傾向にあるが,学費が高くても入学したい大学にしたいものである。しかし,現在の日本の経済状況を考えるとし方のないことかもしれない。神奈川歯科大学の事は過去の話も持ち出している。どうしてこの時期にと考えると,今は入学試験シーズンであることが影響しているのかもしれない。

東京歯科大学と昭和大学歯学部の人気の秘密についても書かれている。東京歯科大学には市川総合病院があり,そこで,研修を受けることができる。昭和大学には,医学部に転部できる制度があることが述べられている。本学は昨日が入学試験だった。優秀な学生の入学を望むが,我々,教員も質の高い教育ができるように常に努力しなければいけないと感じる。

次の特集は「無個性歯科医は淘汰される。終焉したインプラントブーム」である。その中で,ある開業医の先生が次の事を述べている。「先駆的な人は別として,インプラントに参入した多くの歯科医はブームに乗っただけだと思います。自分に得意分野が無いから,何かが流行ると,それに飛びつく。こんな経営スタイルでは歯科医の危機的状況は打破できないでしょうね」

飲食業界においても,いろいろなレストランや食べ物屋さんがある。流行るレストランは,そのお店の独自のスタイルがあると感じる。お客は自分にあったレストランに行く。または,好きな店長のお店に行く。どこの業種も同じです。

最後の特集は「徳真会グループ」である。理事長さんは,「いかなる職種でも競争があって当然だし,逆に競争をしなければ技術や診療は生まれない。楽(らく)していい思いをしたい歯科医にとっては競争は反対だろうが,患者さまにとっては競争のある方が良いのだ」と述べられている。

昔は,私の父もそうだったのではと想像できますが,楽をしていい思いをした歯科医さんが多かったと思われます。忙しかったと思いますが。1日100人ぐらいの患者さんが来ていたこともあったことを覚えています。そのようなイメージで歯科医師になると,今回取り上げられた特集と同じ気持ちを持たれると思います。どんな職種でも競争は当たり前にあることを前提にして,歯科医師を目指せば,今回の特集は,特に気にならないものであるような気がします。どうして,こんな特集が組まれるのでしょうかね。

今回の特集は,一部の歯科医師のためへの警鐘であると思われるが,歯科界全体が,このようであると誤解を招く記事が多いと感じた。

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