【咀嚼能力測定用グミゼリー】簡単、かつ速やかに正確な口腔機能低下症の診断手段として

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口腔機能の低下が体全体のフレイル(虚弱状態)を防ぐといわれるようになってきた昨今、食べる・話すという機能低下が進行すると、オーラルフレイルと呼ばれる状態になる。この状態は、栄養面・身体面のフレイルを進行させ、サルコペニア(加齢性筋肉減少症)やロコモティブシンドローム(運動器症候群)の要因となってしまう。オーラルフレイルを予防・改善することが、全身のフレイルの進行を留める結果を導く。
咀嚼能力と健康寿命*は相関があり、咀嚼能力の維持・向上が健康寿命を延ばすための重要なポイントになる。近年、咀嚼の意義が強く認識され始めており、すべての年齢層においてさまざまな取り組みが実施されている。
(例)児童では食育、成人では肥満・生活習慣病の予防、高齢者では咀嚼・嚥下機能障害への対処
*健康寿命は、平均寿命のうち、健康上の問題がない状態で日常生活を過ごすことができる期間
このような現状を反映し、平成30年度診療報酬改定において、「口腔機能低下症」と診断された場合、歯科疾患管理料口腔機能管理加算100点が新設されており、今回、ご紹介する咀嚼能力測定用グミゼリーを使ったスコア法が歯科疾患管理口腔機能管理加算における咀嚼機能低下の検査項目の一つとして採用された。
咀嚼能力評価の現状
歯科医院では、患者さんに噛める食品・噛めない食品などのアンケートを実施している例がある。また、病院や施設では、さまざまな介護食の分類法が使われている。しかし、いずれも主観的に食べる能力を評価しているに過ぎないのが現状である。アンケートの結果は同一個人内では比較できるが、集団での比較は難しい。したがって、歯や咬合の状態、筋力や感覚、認知機能などの全身状態が、食べる能力とどう関わっているかを明らかにすることができない。
そこで、客観的に咀嚼能力を測る指標が必要となる。規格化された食品を一定の回数の咀嚼でどれだけ細分化できるかを「咀嚼能率」と定義し、「咀嚼能力」の客観的指標とする。それによって、咀嚼の生理学的意義の基本である「食品を細分化して表面積を増加させ、飲み込みやすい食塊を作る」能力を評価することになる。この咀嚼能力測定用グミゼリーに関しては、3つの咀嚼能力測定方法(スコア法・手動法・全自動法)を前提にした咀嚼能力評価システムを開発されている。この評価システムの中で、歯科の医療従事者が口腔機能低下症の診断時に当該グミゼリーを使用できる検査項目は、「咀嚼能率スコア法」のみとなるため、今回は「咀嚼能率スコア法」に焦点を当てたかたちで取り上げていく。

■3つの咀嚼能力の客観的評価法
3つの手法による咀嚼能力の客観的評価が可能になりました。測定結果に高い互換性を有しています。
■咀嚼能力測定用グミゼリー
30回、自由に噛んで吐き出してもらい、どれだけ細かくできたかを判定。
・個別包装されたグミゼリーは、衛生的。
・かまぼこに似た咬断性食品のため、低年齢の患者さんや義歯使用者、高齢者の方にも比較的噛み砕きやすい。
・β-カロテン、グルコースを含有。
■スコア法(視覚的評価方法)
グミ咬断片が、どのくらい細かくできたかをシートをみながら視覚的に10段階で判定。
咀嚼能力が低い人向けには咀嚼グミゼリー(全量グミ)を半分にした半量のグミゼリーによる検査も可能。対象者としては、咀嚼筋力が低下している義歯装着者や高齢者、咀嚼機能に障がいをもつ者、咀嚼能力が未発達なお子様などがあげられる。
■スコア法(半量グミ)
このグミゼリーを使う大きな利点は、歯科医師や関連専門知識を有した者でなくても「いつでも、どこでも、誰でも使える」ことに加えて正確で簡便に客観的な咀嚼能力の測定・評価が可能であり、歯科治療だけではなく、検診、食育、健康管理など、幅広い用途を想定することが可能なことであろう。また、グミゼリーを開発した大阪大学や新潟大学によって多くの研究に使われ、咀嚼能率や咀嚼能率スコアに影響する因子、生活習慣病やQOLとの関係など、多くのエビデンスが報告され、それらを用いた患者指導ができることも大きなメリットである。
口腔機能低下症とは
一般財団法人日本老年歯科学会は、歯科医師が「口腔機能低下症」を知り、口腔衛生管理および口腔機能管理に積極的に介入することによって高齢者の豊かな食生活と健康維持の実現を目指すことを提唱している。 「口腔機能低下症」は、口腔衛生状態不良(口腔不潔)、口腔乾燥、咬合力低下、舌・口唇運動機能低下、低舌圧、咀嚼機能低下、嚥下機能低下の7つの項目で構成されている。
このうち咀嚼能率スコア法は「咀嚼機能低下」の検査項目の一つであり、全量グミゼリーのスコアが0, 1, 2のいずれかの場合、「咀嚼機能低下」と診断される。


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