第37回日本顎咬合学会学術大会・総会

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▲第37回日本顎咬合学会学術大会・総会 「開会式」の様子
第37回日本顎咬合学会学術大会・総会 概要
2019/6/22(土)・6/23(日)、千代田区の東京国際フォーラムで、「第37回日本顎咬合学会学術大会・総会」が開催された。
第37回日本顎咬合学会学術大会・総会の会長は、上田 秀朗氏 (日本顎咬合学会 理事長) で、学会の本年度のテーマは「真・顎咬合学 最新歯科医療最前線-夢ある歯科界の再構築」であった。
日本顎咬合学会は顎咬合学の「真髄」を理解・応用し、患者に信頼される指導医・認定医を育成するための重要な役割を担っている。
第37回日本顎咬合学会学術大会・総会では、例年行われている若手歯科医師向けの「基礎シリーズ」に加え、様々なテーマで著名な先生方が講演を行った。
今年度の日本顎咬合学会では、日本で開催予定のラグビーワールドカップに合わせ「スポーツ歯学」の講演が企画され、その他、超高齢社会の問題に関連して「自立支援歯科学―要介護高齢者の自立支援と咬合の回復」・「認知症/寝たきりを変える『食べる力』」の講演が催されるなど、最近の話題を中心とした講演が二日間に渡り行われた。
自身が聴講したプログラムの概要(抜粋)
▲第37回日本顎咬合学会学術大会・総会 「受付」の様子

【特別講演】


・Horizontal and Vertical Ridge Augmentation – myths versus reality
(水平的垂直的顎堤造成術―幻想と真実)

Bach Le 氏 (USC 南カリフォルニア大学歯学部顎顔面口腔外科臨床准教授)

【歯科臨床最前線】


・間違いだらけの顕微鏡歯科治療
三橋 純 氏(デンタルみつはし 院長)

【基礎シリーズ】


・必見!!日常臨床が楽しくなる咬合調整!!
南 清和 氏 (医療法人健志会 理事長)
*他、テーブルクリニックに参加。

本記事では、日本顎咬合学会を通じて学んだことを紹介していきたい。
インプラント再埋入後は成功率が著しく減少
▲インプラント治療の成功率は回を追う毎に下がっていく
インプラントの成功率は90%以上と報告している論文もあれば、80%と報告している論文もある。各々の研究デザインは異なるが、宿主要因(糖尿病, 喫煙有無など)、部位要因(骨質、骨量など)、医原性要因(インプラント埋入本数・経験年数など)の3つの要因がインプラント治療の失敗に影響しているのは言うまでもない。
初回のインプラント治療の失敗率は大きく見積もっても5本中1本だが、仮に失敗した後に、再度インプラントを埋入した場合の成功率はどうなるのか。過去の研究報告によると、2回目の成功率は70%以上、3回目の成功率は60%以上と、インプラント治療を繰り返す毎に成功率は下がる傾向にある。
現在、インプラント治療を行っている歯科医院は全体の約2割であり、まだ少数ではある。しかし、非侵襲的咬合再構成の今後の需要を考慮すると、全額ブリッジではなく、矯正歯科治療やインプラント治療も併せた包括的歯科治療が求められるに違いない。
糖尿病や喫煙などの宿主要因、骨質や骨量などの部位要因も勿論無視できない。インプラント治療失敗症例の約3割の患者が歯周病患者、糖尿病患者、喫煙者のいずれかに該当していたという過去の研究報告もある。
一方で、医原性要因(歯科医師のインプラント治療の経験年数)が最もインプラント治療の失敗に繋がるという研究報告もある。我々歯科医師が日々自己研削を行うことで、医原性要因によるインプラントの失敗を可及的に少なくすることが責務である。
支台歯形成は形成後をイメージすることが大事
このパートは支台歯形成に苦手意識を持つ読者に読んで欲しい。
支台歯形成を行う前に形成後のイメージをしっかり持つことは非常に重要である。削る対象歯を観察し、支台歯形成後の歯の形態を想像してから削り始めることが勘所となる。
支台歯を上手く形成するためには模型を使った形成の練習も重要だが、「歯のスケッチ」をお勧めする。歯のスケッチにより、歯の細部の解剖学的形態が頭に入り、綺麗な支台歯形成につながることはもちろんのこと、TEK作製に要する時間も短縮されるなどのメリットもある。
▲イラスト作成ソフトを使うことで、歯のスケッチは一層容易に
模型を使った支台歯形成の練習も大切だが、今一度歯の形態を復習し直して欲しい。
急化Perの応急処置では根管をOpenにしない
急化Perが原因の急性疼痛で来院した患者の歯を治療後、除痛を兼ねた排膿路を確保するために、仮封を行わず、根管を開放したままで帰宅させることは日常臨床でよくある場面だ。しかし、根管をOpenのままにすることは口腔内細菌の更なる侵入を許すため逆効果となり、仮封した方が良いという考え方もある。
▲波動(+)による歯肉切開は最大豊隆部よりやや下方に設定する
急化Per罹患歯には、元々強い咬合接触がみられることも多い。抗生物質の投与は耐性菌出現の問題がある。以上から、急化Perの急患対応の1つとして、穿通後に咬合調整でバイトを落として仮封を行い、NSAIDsのみを処方することが考えられる。
自身の少ない臨床経験での話になるが、穿通・排膿後も根管をOpenにせず、仮封を行って、NSAIDsを処方している(全身疾患によっては抗生物質の処方も考慮。歯肉に波動が認められる場合は、切開して排膿を試みる)。患者に治療後の経過を伺うと、疼痛が緩和されることが多かったので、有効な対応方法の1つであると納得している。
第37回日本顎咬合学会学術大会・総会参加を通じて
本年度の第37回日本顎咬合学会学術大会・総会では、スポーツ歯科の公開フォーラムや超高齢社会における歯科の役割など、目を惹く講演が非常に多かった。
▲第37回日本顎咬合学会学術大会・総会 学会会場(東京国際フォーラム)
若手歯科医師対象の「基礎シリーズ」もあり、自身の日常臨床にも役立つ内容であった。第37回日本顎咬合学会学術大会・総会に参加した会員は、様々な観点から多くの知識を吸収することができたに違いない。
「我々歯科医療従事者は咬合の重要性にもっと目を向けなくてはならない」初回となる第37回日本顎咬合学会学術大会・総会への参加は、そのように強く感じる機会となった。
古川 雄亮(ふるかわ ゆうすけ)
  • 日本矯正歯科学会 所属

東北大学歯学部卒業後、九州大学大学院歯学府博士課程歯科矯正学分野および博士課程リーディングプログラム九州大学決断科学大学院プログラム修了。歯科医師(歯学博士)。バングラデシュやカンボジアにおいて国際歯科研究に従事。2018年より、ボリビアのコチャバンバで外来・訪問歯科診療に携わり、7月から株式会社メディカルネットに所属。主に、DentWaveやDentalTribuneなどのポータルサイトにおける記事製作に携わり、現在に至る。


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