新型コロナで打撃を受けたオフィス街の歯科!会社員のいなくなった街で診続けるには…

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 東京都港区台場 ― そこは海を埋め立てたとは思えないほど発展している。某テレビ局の本社を中心に観光地エリアとなり、関東周辺だけでなく全国・世界から多くの観光客を集めていたのだ…。あの新型コロナウイルスの感染拡大が起きる前までは。
新型コロナウイルス感染症は2019年12月に中華人民共和国で世界初の感染者を出して以来、世界中で感染拡大している。パンデミック(感染爆発)と呼ばれるなか、飲食業をはじめとする様々な業種が打撃を受けたのだ。歯科医院も例外ではない。
そこで今回は新型コロナウイルスにより、打撃を受けたオフィス街にクリニックを構える某歯科医院についてとりあげようと思う。

緊急事態宣言下の歯科医療

 2020年4月に発出された緊急事態宣言。東京都を中心に発出され、最終的には全国へ適用エリアが拡がった。新型コロナウイルスの猛威に怯え、政府からの外出自粛も相まった結果、街から人の姿は消えたのだ。 台場の地で開業して8年目となる歯科医院も例外ではなかった。歯科医院の入るビルには、メガバングの子会社でクレジットカード事業を営む株式会社が入居している。そこの社員をメインターゲットとして診療していたが、緊急事態宣言に伴うテレワーク・在宅ワークの影響でオフィス街から人が消えたのだ。

 緊急事態宣言では、「生活の維持に必要な場合を除いて、外出自粛をはじめ感染防止に必要な協力を要請」を政府がしていた。各業界団体へは時短営業要請が出された。歯科業界も例外ではない。厚生労働省より時短要請が出され、全国の歯科医院が「急患対応」を原則とする診療スタイルになった。

 また、アメリカの有名紙・ニューヨークタイムズは「新型コロナウイルスへの感染リスクが高い職種」として歯科医師や歯科衛生士を挙げた。その背景には感染経路の一つとしてエアロゾル感染があるとされ、報道へ至ったわけだが少し安直すぎる。歯科治療を受ける患者の中にはHIVウイルスキャリアや、各種肝炎ウイルスキャリアなど血液感染・経口感染するウイルスキャリアが多くいるのだ。また、発症していないインフルエンザウイルスキャリアも通院するリスクはある。つまり、普段から歯科医院では感染対策が講じられているのだ。実際、国内蔓延期から現在に至るまで、歯科医院で患者とスタッフ間のクラスター(集団感染)発生したケースは聞こえてこない。

メインターゲットがいなくなった歯科医院

 台場の某歯科医院へ話を戻そう。ビル内へ開業した背景には、オフィス街で働く会社員をターゲットにしたい策略があった。しかし、今回の新型コロナウイルスで会社員の出勤数が減少したのだ。
「当初は緊急事態宣言に際して厚生労働省から発出された時短診療へ協力していました。台場という立地は比較的外国人観光客も多く、新型コロナウイルスが流行りはじめた頃は不安でしたね。」と院長先生は話す。

 事実、普段であれば真っ黒になるアポイント帳も2020年4月のものをみると空白が目立った。「今となればどんな感染症でどんな感染経路なのかエビデンスに基づいて判断できるようになっていますが、当時は必死でしたね。移らないように・移さないように」。 院長をはじめ、歯科医院のスタッフはファイザー社製の新型コロナウイルスワクチンを摂取している。しかし、ワクチンを打ったからといって完全に感染を予防できるわけではない。今でも「移らないように・移さないように」行動しているのだ。


2020年4月のアポイント帳

コロナで変わる歯科医療

 2021年6月現在、いまだオフィスフロアへ人が戻ってきていない。会社員をメインターゲットにしていたことを踏まえ、院長へ話を聞いた。 「当初、メインターゲットとしていた会社員やOLの方は少なくなりました。でも、新患としての来院ではなく、メインテナンスや継続的な治療では通ってもらえているので安心しています。周囲のオフィスビルでは、歯科医院も撤退したという話を聞くので周りのオフィスビルから患者さんが来始めています。」

 取材した歯科医院ではコロナ禍関係なく感染対策に力を入れている。フェイスシールドや口腔外バキュームは、コロナ前から導入されていた。コロナの前後で新しい生活様式への移行が必須となっているが、歯科医療も例外ではないだろう。しかし、この歯科医院のように感染対策へ力を入れている医療機関であれば今まで通りの治療を継続すれば良いだけだ。

口腔衛生悪化を予防

 多くの診療学会では時短診療に伴い、患者の健康に影響を及ぼしたと見解を示している。歯科も例外ではない。病状悪化や口腔衛生状態悪化の患者数は増加した。コロナ感染を懸念した受診控えはやめるよう患者へ上手に説明しなければいけない。この歯科医院では、患者へ受診控えをやめ今まで通り医療機関を受診するよう話をしている。

 いまだ猛威を振るい歯科医療へも影響を与えている新型コロナウイルス。日本歯科医師会は口腔ケアで新型コロナウイルス感染症の重症化予防へつながると見解を出している。そろそろ患者へ通院を促し、口腔衛生状態を悪化させないために努めなければならない時期なのではないだろうか。

歯科医師  桐生 賢太

訪問診療に力を入れる歯科医師。
医科歯科連携に力を入れ、患者第一の治療を優先している。

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